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【RX 松尾】2019ツール・ド・おきなわ 市民140km 58位

【準備(食事など)】
4時間前後とそこまで長くない競技時間の140kmだが、余るくらいがちょうどいい量の補給食を用意した。バターロールを半分に切り、はちみつを流し込んだパンを6個。エナジージェルを4つ。ボトルにはパラチノースを入れた水を用意。

金曜日から意識的に多くとってきた炭水化物量も前日夜からさらに増量。前夜はパスタ250gとごはん1.5合、当日朝はパスタ500gとごはん1合。ちょっと食べすぎた気もするが、胃腸薬のおかげもあり内蔵の調子はレース中も悪くなかった。

【作戦】
140kmオープンに臨むメンバーはキクさん、永瀬さん、クニさん、タカミー、荒井君、そして松尾の6人。レース経験を鑑みて松尾が監督として指名された。フィジカルでは仕上げが足りていなかったが、展開の組み立て方は自信があったのでチームに貢献できる役目を務めることができ嬉しい。

作戦はスプリンターのキクさんをゴール前に残すこと。単騎でも絶対に負けることはないが、アシストできるチームメートが1人でもいるとなお良い。羽地の上りまでに逃げ生まれていると昨年の二の舞になるため、慶佐次の補給所までには誰も逃がさない展開に持ち込むことも必要だった。

クライマー勢が上りでアタックをかけることは予想できたので、ペースアップでもチームとして駒数を減らさない展開が望まれた。よって、誰かが上りでペースを上げても瞬時に判断しないことを共有。上りを終えた後の下りと平地で人数を使って捕まえた方が省エネで済む。仮にチームから1人をチェックで入れて、無駄に脚を使い果たし、その後に遅れてしまってはスマートではない。逃げようとするメンバーを把握することも徹底。メンバー間ですぐに共有ができるよう、とにかくチームがまとまって集団内で走ることを徹底した。

積極的に動くのであれば慶佐次の手前の海岸線から。上りに秀でた永瀬さんにあえて平地区間で抜け出してもらい、残す上り区間をリードしてほしかった。平地区間では集団も羽地に備えて誰も踏みたくなくなっているし、仮に有力どころの数名が永瀬さんと抜け出しにかかっても後続のチームメートがフォローに入りやすい。上りでのフォローアップは脚を使ってしまうためだ。追い風が予想されたし、永瀬さんの実力を考えると逃げ切りも狙える。仮に捕まってしまっても、レース後半にライバル勢の脚を使わせた状態にできる。

【レース】
個人的には初めての挑戦となった140km。210kmでは平地が70kmあり、ウォーミングアップは全く必要としないが、開始すぐに普久川ダムの上りが始まるのでかなり集中した。スタートは集団最後尾からとなったが、1kmほど走った時点で最前列までポジションを上げることに成功。チームメートとも合流でき、良い位置で上りに突入した。

1回目の上りではパラパラと抜け出しにかかる選手が出てくる。チャリダーや他有力勢は時期尚早と静観している。しかし、ペースはなかなかに速い。自信がなかった上りの処理能力が現実のものとして脚に実感を覚え、やや焦る。集団前方ではKOM、補給所を越えることができたので胸をなでおろした。チームメートたちはミーティング通りにまとまり、声を掛け合っている。皆調子も悪くないようだ。

下りに差し掛かり、ペースで走ろうとすると若干自分が遅いように思えた。他が速いだけなのかもしれないが。何人もの選手に抜かれる。ここで差もつかないし、逃げているわけでもないのでそこまでスピード出さなくてもいいのではとも感じた。クニさん、キクさんもいいペースで下っていく。ちょっとリスキーかなと思える。

下りがひと段落するとアップダウン区間に入る。ここで、チャリダーの川田選手がアタック。実力者なので要注意人物としてチェックしていた選手だ。距離をかなり残しての動きだったので、そうとう対処に悩んだ。逃げ切りを狙うアタックなのか、積極的に動いてレースを活発にさせるチャリダーの作戦なのか…この後チームをまとめなければいけない自分がアタックに乗り、脚を使って早々に離脱してしまってはただの間抜け。悩みに悩んだが番手に居たのでとりあえずついていくことにした。

後ろを振り返ると集団は見送りモード。思わず「まじかぁ」とつぶやいた。早く捕まえてほしいと後方のチームメートに手を挙げてアピールしたが伝わってなかったと思う。抜け出してしまったが、前に出て積極的には引きはしない。そのうち1人が合流して3人となったが、後ろをたびたび振り返り、「僕は逃げ切るつもりはありません」アピールしておいた。しばらくして集団が吸収してくれたので一安心だった。

奥の上りではWAPPAの鈴木選手が先頭に出た。昨年の上位者だとキクさんからすぐに情報を教えてもらい、即座にフォローに入る。これが大正解で、鈴木選手のペースが速く、下から上り切るまで一人で一本引き。平均5倍のパワーが出ていたようで、縦一列に集団が伸びていたらしい。結構辛い時間だったので集中しようと後ろを振り返らなかった。上り切り後ろを振り返るとかなりの選手が残っていたので軽く絶望する。こんなペースでも減らないのか…。

この時点で2名の選手が逃げている。海岸線沿いからは川田選手も抜け出し計3名の選手が先行していた。2回目のダムを越えるまでの逃げは絶対に捕まると話していたので特に対処はしなかったが、約2分の差が開いていたのでダム手前の海岸線からペースを保つためのローテーションは始めた。自分を含めて前方で回り始めたが、うちのチームばかり力を使っているように感じたうえ、ローテに入りながら横に外れるなどよくわからない動きをする選手も出てきて不快だったので、チーム員にはローテに入らないよう指示。しかし、クニさんだけ前方に残りペースを整えてくれた。チャリダーのゴロウさんが良い意味で蓋をし、その前方を意思疎通が取れたクニさん含む7人程の選手がローテをしてくれたので逃げとの差は開かずに済んだ。自分はゴロウさんの後ろにステイしていたので、クニさんに「ナイス!」と声をかけながら2回目のダムの上りに備えた。

上りに差し掛かると、比較的早い段階で加藤選手がペースアップする。あざみライン日本人レコードホルダーの動きに集団はざわつく。キクさんとどうしようかと相談するも、とにかく集団の動きに合わせて、ペースが上がるならそれに合わせるしかないという結論に。結果的に加藤選手は単独で抜け出し、逃げが決まった。集団が崩壊することもなかったので、チーム員のダメージもなく安心した。ただ、自分の脚が想像以上に回らない。学校坂のことを考えるとかなりストレスを感じながらの登坂になった。無理に力を出してもしょうがないので、頂上までの距離を考えながらポジションを落とし、上り切りを最後尾でクリアできるよう調整。中切れなどのリスクもあったが止むなし。狙い通りに2回目の上りを越え、下りで集団中ほどへ復帰。そのまま学校坂を迎えた。

学校坂では気絶すかと思うほどつらい時間を過ごした。タイム的には速くなかったようだが、とにかくしんどい。途中、クニさんがチェーン落ちで止まっているところに突っ込みそうになるが回避。1人失ってしまい残念。だが、このままでは自分が2人目になる。心肺機能には余裕があるが、筋疲労が激しい。上りのトレーニングが少なかったことを後悔しながら、我慢の時を終え、ぎりぎりで学校坂をクリアした。

次の上りは絶対にもたないと判断したので、チームメートにもそれを共有。逃げている2選手を慶佐次までに吸収するため脚を使おうと決めた。集団内でも徐々に逃げをキャッチしようというムードになる。集団へと戻った川田選手も「そろそろ捕まえませんか。自分は今日狙ってないからローテに加わりたい」と話しかけてもらい、自分の考えと同調。湾岸の雑賀選手やイナーメの北野選手もこれに加わり、RXからはタカミーと荒井君、ほか15名ほどのローテーションで一気にスピードを上げた。脚が揃わない上り区間はペースで、下りと平地で速度を上げるというセオリーを声出ししながら集団内で徹底し、逃げている2名を追った。キクさんと永瀬さんがローテに加わろうとするも、下がって休むように指示を出す。自分はここでした仕事を果たせないので積極的にペースをあげた。タイム差が2分だったり、30秒にいきなり縮まったり、50秒だったりかなり怪しい情報が主催者の車から告げられるも、とにかく追うことだけを考えた。向かい風だったこともあり、逃げ切られる心配は一切していなかった。思惑通り、慶佐次の手前までに逃げの2名を吸収。

この時点でかなり脚を使っており、次の上りで千切れるだろうと予想していた。が、予想に反して慶佐次の補給所をクリア。しかし、次の上りで終了。前方にはまだ多く選手が残っていたものの、うちのチームは3人残している。キクさんもかなり余裕がありそうだし、ゴール勝負も安心して任せられる。本当はフィニッシュ地点までメイン集団で行きたかったが、糸が切れたかのように気持ちも折れ、あとはゴールを目指した。

よろよろと走っていると、羽地の上りでクニさんと合流。「この展開なら絶対勝ったでしょう!」と話しながらグルペットで名護市役所を目指していると、ゴール3km手前でRXメンバーが降ってくるのを確認。近くに寄ってみるとボロボロになったキクさんがそこにいた。残念…。ゴール後に話を聞くと、残り20km地点の工事区間の土砂に足元をすくわれて落車。永瀬さんも一緒に転び、戦線を離れたという。優勝はチャリダーのシュガーさん。おめでとうございます。一方、タカミーが6位と健闘したのは良かった。途中のローテに入ってもらい、脚を使わせてしまったことが申し訳ない。

今回、Roppongi Expressはチームとしては万全に機能していたと思う。まだ個人での出走が殆どなホビーレースではあるが、チームとして動く意義をメンバーがそれぞれ感じ、自ら動くことができていた。優勝という結果は伴わなかったものの、今できるベストな走りはできたと思う。個人的には練習不足としか言えない結果に終わった。しかし、走っていて本当に楽しい時間を過ごすことができた。来年はフィニッシュ前までトップ集団に残り、チームとして結果を残せるようトレーニングを積んで臨みたい。

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