味〜欠点〜味
目が覚めたら午前10時だった。
一般職の方々はもうバリバリと働いている中「まだ睡眠薬が残っているなー」などとぼんやり天井を眺めて、少ししてから本を読んでいると、自分が世間から完全に隔離された状態に陥っている様な感覚を覚えた。
自分から「出来損ないかけ」の一日をスタートさせておいて何を被害者っぽく言ってるのだと、いそいそと服を着替えて歯を磨き、外に出かけた。
文房具を買って駅前の蕎麦屋へ入る。
どこにでもある様な昔からある店構えの、ランチタイムに蕎麦とセットでカレーや卵が完全に固まったカツ丼が出る様な何でもない蕎麦屋。
ランチどき、親子連れやおじいさん、おばあさんで店はなかなかに賑わっていた。
ほどなく出てきた蕎麦は本当になんて事のない味。
でも店内の賑わいやテレビの音、誰かの会計で聞こえる「ありがとうございました」という声や物音が何とも居心地が良い。
が、やはり蕎麦は普通だ。
活気と歴史と何を食べても60点位の感じ。「駅前のそういう蕎麦屋はこれで正解なのだ」と思いつつ、イキイキしたお婆さんにお金を渡して言われた「ありがとうございました」に思わず「ごちそうさまでした」と言って店を出た。
世間と僕は隔離されてはいなかった。
そこから「全ての物事は絶対こうでないといけないという事なんてないなー」と思いつつ半日を色々としながら過ごした。
そしてさっきスーパーで買った蕎麦を茹でて食べたら、昼間の蕎麦屋のよりもかなり美味しかった。
「なんでやねん」と思いつつも、またあの蕎麦屋に行く日もあるんだろうなーと思いながら蕎麦湯を飲み干した。
飲食店ではやれ「味だ値段だ」と思う事も多いけど、欠点ごと違う意味での味に変わる事もあるなと思った記念に、これを書いておきました。
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