幼稚園の砂場

大抵どこの幼稚園にもあるのであろうが、

私の通っていた幼稚園にも砂場があった

それは園の裏手にあって、

休み時間になると何人かでそこに行って、砂で水路を作る

水路を作るとそこに水を流したくなる

すると砂を集めてダムを作る

そして休み時間の終盤にはダムに水を貯め、

最後にはダムを決壊させて水路に水を流し切る

水路にはその部分を作った子の工夫がされていて、

最後に水が思い通りに流れていくと、なんとも言えない達成感を皆で味わった

休み時間に作っているのでタイムリミットがある

それも最後にうまく行った時の達成感を後押ししていたのだろう

うまく行かなかった時はまた今度、次に遊ぶ時まで持ち越しだ

休み時間に砂場に行くと別のグループがそこで遊んでいたこともあったが、

けんかをした記憶は一度もないし、

一緒になってダムを作って遊んだ記憶もない

不思議とどのグループがその砂場で遊んでいても、

水路とダムを作り、

最後には水を溜めたダムを決壊させて、

水路に水を流し切る遊びをしていた

あとになって考えてみると、

砂で作ったダムなのに水がしっかりと貯まってくれていたこと、

水を流し切った後に砂場が水浸しにならず、

流した水が砂場にしみていってくれていたこと、

そもそも、水道がすぐ近くにあり、その水道には砂場まで届くホースがつけられていたこと

その砂場でダム遊びをする条件が揃っていた

小学校はその砂場のすぐ隣にあった

卒園して小学校に上がると、

「もう幼稚園生じゃないんだよ」と、

親からも学校の先生からも、成長を促す声が飛ぶ日々になり、

幼稚園の砂場からは視線も意識も離れていった

あの砂場でダムを作って最後に水を流して遊んだ毎日

楽しかったなぁ