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映画

公開二日目に『シン・ウルトラマン』を観てきた。こんなに気合いを入れて映画に臨んだのは、『君の名は。』以来。今となっては特大ヒット作として知られるが、当時は通好みだった新海作品。公開二日目に行ったのだが、後々あんなことになるとは。

そして映画館自体も超久々であった。自分の付けている記録によると、最後に映画館に行ったのが2019年10月で『ジョーカー』を観ている。ミーハーなので、基本的に話題になった作品でないと手を出さない。本当は『パラサイト』や『映画大好きポンポさん』、『ジョゼと虎と魚たち』あたりも映画館で観たかったのだが、今の社会情勢と自分の行動力のなさのために断念していた。

今回は例に漏れず話題作とあって満員だったらいけないと思い、8時55分からの上映を選択した。楽しみ過ぎて6時に起床。はやる気持ちを抑えて、なんとか一本早い電車に乗ったまでは良いのだが、映画館のある駅を間違えて二つ前のホームに降り立つ失態を犯した。二年半も行っていないとこうなる。偶然一本早い電車にしておいたのが功を奏した。

映画館に着くと、すかさずQRコードで発券。そしてポテトとドリンクを購入した。映画館に来たら飲食物は必須である。これを楽しみにしているくらいだ。ここで買う飲食物は高いなどと言い出すのは野暮である。映画を観ながら飲み食いするものはなんだって旨い。みんなそれを知っているからあの価格なのである。多分。

肝心の映画の感想だが、「私は」満足した。ここで含みを持たせたのは、この映画が万人受けするかは疑問だったからである。私が書くまでもなく、既にいろんな感想が出ているのでここでは最小限にとどめたいが、『シン・ウルトラマン』はウルトラマンが大好きな人が作ったウルトラマン好きのための作品だ。世界観を知っている人にとってはある程度受け入れる下地ができているから問題ないが、そうでない人は何が何だかわからないまま終わってしまう可能性がある。ウルトラマンをそこそこ知っている私だからおもしろかったが、まったく知らない人が見たらどう感じるかは正直わからない。いずれにしても、ずいぶん前から楽しみにしていた作品を観ることがかなって、個人的にはとても幸せである。

ここからは、自身のウルトラマン体験について。私はウルトラマンティガが世代なのだが、思い返すとウルトラマンの話を友人としたことがない。ウルトラマンを見ていた時は語り合うような年齢ではなかったし、語り合えるころには「ウルトラマンなんて子供が見るものだ」と思っていたからだろう。それでも、スペシウム光線のポーズをとっていたことは覚えているし、幼心にもティガは格好よかった。自分も右手を振り上げれば、いつか巨大化できるときがあるのではないかと思ったものだ。ウルトラマンの記憶は、大人になった今でも残り続けている。

後になって断片的に情報を整理するにあたり、『ウルトラマン』がいかに映像の世界で特別な作品であったか、『ウルトラセブン』が持ち込んだ本格SF路線、平成に入ってからの『ウルトラマンティガ』の革新性等々を知ることとなった。とはいえ、これらは大人からみた「ウルトラマン作品」の分析にすぎない。私自身が子どものときに右手を天に突き出したり、フォーメーションチェンジのポーズをとったり、スペシウム光線の構えをしたりしていた「あのウルトラマン」こそが、ウルトラマン好きの共通認識なのだ。

「あのウルトラマン」が心にいるかいないかで、今回の『シン・ウルトラマン』の評価は分かれてしまうかもしれない。それでも、自身が幼いときに心躍らせた「あのウルトラマン」を忠実に再現させた庵野・樋口両監督には、素直に敬意を表したい。「ウルトラマンはこれだから最高だよね」という思いが伝わってきた。心に「あのウルトラマン」がいる私には最高でした。

蛇足になるが、ウルトラシリーズでは『ウルトラマンティガ』が一番好き。もちろん世代補正があるのは否定しないが、平成最初のウルトラマンとして、これまでの世界観を一切切り捨て、一から新しいウルトラマン像を作り上げたところに好感が持てる。その次に『ウルトラセブン』。これは子供向けの作品ではない。クラシック音楽を効果的に用いたラストシーンは、映画史にも残る最高傑作である。(『シン・ウルトラマン』にもこのシーンらしき演出があった。)

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