「放課後探偵団2」の感想。

RFA(偽)を使った運動を始めて、一週間が経つ。とりあえず、押し込んだり引っ張ったりを続けてみたが、ずっとやっているお陰か、ほんの少し筋力が戻ってきたような気がしなくもない。最近は、鎖を具現化する修行をするクラピカのように、肌身離さず持って遊んでいる。他にやることがない。

さすがに、時間の使い方が贅沢すぎるので、本を読んだりもしている。せっかくなので、その感想を備忘録代わりにここに書いてみる。ネタバレは、出来るだけしないつもりではある。ただ、ネタバレを上手く避けながら感想を書く技術はないので、多分する。

「放課後探偵団2」は、五人の作者による五本の短編が入ったアンソロジーで、本屋でたまたま見かけたので、購入。全体的に面白かった。

"その爪先を彩る赤"「武田綾乃」
演劇部の所有している赤い靴が盗まれたので、生徒会所属の主人公と、頭は切れるが学内の変人が謎解きにかかるという、学園ミステリのテンプレみたいな感じで始まる話。学内の問題事は、職員室ではなく何故か生徒会に持ち込まれるし、推理役は変なやつ、という構造は、いつから始まったのかは知らないが、よく見かける気がする。
変人枠である久津跡愛美は、靴を履き替えると、人格が変わる。読み始めた直後に、「何だこいつ」ってなったけど読み終わっても、「何だこいつ」っていう感じだった。パンプスを履いているとお嬢様的なキャラになり、ローファーを履くと砕けたお調子者的な感じになる(この人格で推理とかをする)。主人公は、女性だがズボンの制服を着ているという、その学校内では浮いた格好をしているという設定で、それと合わせて最後の展開に繋がる。でも、久津跡さんがボロを出すシーンが来るのが早すぎて、ビックリした。その後、普通に捜査パートが続くが、ずっと気になるくらいには、秒速でボロを出す。
本題の靴探しに関しては、普通だった。靴を持ち出した動機が何かって言う点が、犯人当てに直結していく感じの話だったが、高校生の等身大のありふれた動機から、みんなを巻き込む事件に発展していくと言うのは、学園ミステリ感があってよかった。伏線を撒いて、すぐに拾い上げていった感じで、綺麗に読める感じでよかった。ただ、総じて尺が足りない感じがした。久津跡さんの秘密はともかく、主人公との関係性については、友達で止まるのかそれ以上になるのかとか、面白くなりそうな感じがしたので、長めに読みたい感じの設定だと感じた。

"東雲高校文芸部の崩壊と殺人"「斜線堂有紀」
文芸部で殺人が起きたので、変わり者の部長や、主人公たちが頑張る話。殺人のトリック等は、普通。主人公含め、こいつらめちゃくちゃ現場に触るなあ、とは思った。ただ、事件を通して変わっていく当事者たちの話は、とても面白かった。話し手である主人公は、他人に誇れるような自分の物語を書けないことに焦っている。それと分かりやすく対比されている、新人賞を取ったゆかりは殺害される。他人が認められるのに自分が認められていないことによる焦りや、居場所を守りたいという高校生らしい感情が、ゆかりの殺害をきっかけに暴走するというのは、高校生という期間だからこそ、他の何を置いてもこの感情を優先してしまうという青春の痛みって感じの辛さ。まあ、それはそれとして倫理観ゆるゆるではあった。少々ヤバイやつが数人いる。主人公の、この経験を物語にしようかなって言うのは最高にいい感じに狂ってた。
もう一人、主人公とは対になる存在である部長は、他人に公開する文を書かず、自分のための辞書を作り続けている。本作の探偵役に当たる存在。事件が起きた、犯人も判明した、だからと言って大団円で終われるわけはなく、自分なりに考えた方法でケジメをつけようとする。しかし、一度崩壊した文芸部がもとに戻るなんてことはなく、全員に傷を残して、とりあえず事件は終息する。
事件の真相が分かった、だからどうするのか、という話は、やっぱり青春ミステリと相性がいいな、と改めて思う。

とりあえず思い付いたことを書き留めていたら、思ったより長くなってしまった。僕に、文章を簡潔にまとめる才能はなかったようだ。続く。

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