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Unity 1週間ゲームジャム 個人的これまでの総振り返り

こちらの記事はUnityゲーム開発者ギルド Advent Calendar 2021 14日目の記事です。

はじめに

いつも通りunity1週間ゲームジャム(以下u1w)の振り返り記事になるのですが、その前に冒頭に記載したUnityゲーム開発者ギルドについてご紹介。

Unityゲーム開発者ギルドってなにさ
Unityゲーム開発者ギルドはunityroom管理人でもあるないちさんがslackにて運営するゲーム開発者コミュニティです。u1wでおなじみの開発者の方も多く在籍しています。

2021年4月から参加させていただき、日々レベルの高い議論や知見の共有に刺激を与えられています。なかなかTwitterでは発信しにくいしょうもない雑談もしやすい雰囲気で(というか自分の発言はほぼ100%雑談)、最近はギルドに入り浸って夜更かしするのが日課になっています。
u1wくらいでしか作品を発表する機会がない自分でも馴染みやすく、気軽に交流ができています。興味のある開発者の方はぜひチェックしてみてください。

これまでのu1w総まとめ

さて、今回の記事はこれまでに参加したu1wの個人的な総まとめです。
u1wに参加するようになって2年近くになり、作ったゲームは7作・遊んだゲームは1000作以上になりました。年の瀬ということもあり、一度これまでの活動を振り返ってみようと思います。

まずはこれまでに作ってきたゲームから。……ただ、自分の作ったものを見返すというのが結構つらい。というのも自分は何か作っている間はそれに対し愛着もあり、世界で一番好きくらいのつもりでいるのですが、いざ完成してみると興味を失ってしまい見るのも恥ずかしくなってしまうタイプ。もっと作品に対して誇りを持てよとは思うのですが、ある意味向上心が強いとかなんかいい感じに解釈してもらって……。そんなわけで恥ずかしさに耐えながら過去のゲームのレビューとなります。ぐえぇ。

シロクロハイウェイ/お題「逆」

記念すべきu1w初参加作品。プレイヤーの色を切り替えることで障害物をすり抜けていくランゲームです。

当時はわりと頭を使ったつもりになってゲームデザインを考えた覚えがありましたが、今見るとあからさまに他のゲームの影響が強かったり。名作シューティングゲーム「斑鳩」そのまんまと言われても言い逃れはできない……ゆるして〜。
それでも経験が足りないなりに見た目をまともにしようとしてる気はします。特にチュートリアルを兼ねたスタート画面はちょっぴりお気に入り。

OrbitalStriker/お題「密」

自機の衛星を敵にぶつけるという攻撃方法が独特な(だと思う)弾幕シューティング。

なかなか独自性はあるような気はしますがいかんせん操作性やゲームバランスに難があり、全体的にもう一つな印象。ここでも素材の制作まで手が回らず、ほぼunityデフォルトの機能でなんとか絵作りしていました。もちろん当時から見てもあまり大したクオリティではなかったのですが、手持ちの技術でやりくりするスキルは身についたのではないかと思います。この辺は今も活きている貴重な経験。

セミコロン/お題「ふえる」

セミを発射して繁殖させる落ちものパズル(?)。タイトルでオチてる。

実はもともとタワーディフェンス的にセミを増やすという別のコンセプトのゲームだったのですが、作りが悪く異常に負荷の重いゲームになってしまい、泣く泣く2日で全て作り直したという経緯があります。そんなわけで突貫で作ったゲーム性はよろしくなく、どう楽しめばいいのかわかりにくいデザインになってしまいました。とはいえグラフィックを全て自作したりセミの声を演出に組み込んだりと、それなりに努力と工夫は感じられるような気も。

dreambox/お題「あける」

箱を回転させてプレイヤーを脱出させるパズルゲーム。

明確にユーザーの評価を意識して作るようにした最初のゲームです。それまでのゲーム作りではとにかく完成させるのに手一杯で、遊んでくれた人がどう感じるか?どうやったら評価を上げられるか?といったところまで気が回っていませんでした。(そもそもu1wで自分の順位が見られることを知らなかったり)
評価軸を意識したり、新たな技術を試したりといろいろ工夫した結果とても良い評価をいただけました。それでも今見ると至らない点が多く恥ずかしいのですが、自分の物作りにおいて大きな転換になった作品だと思います。

Any% Glitched/お題「回」

バグを利用して最速タイムを目指すランゲーム。

アイデアの部分でとても良い評価をいただき、自分のゲームの中で一番多く遊んでもらえた作品です。また本格的にドット絵やサウンドを作るようになり自分の技術の向上を体感しました(今見るとやっぱりまだまだですが)。
順位発表時点で総合5位と非常に高い評価で驚いていたのですが、その後の変動で1位になっており倒れそうになってしまいました。
こういうメタっぽいゲームは最近のインディーゲームで割と見かけるような気がするのですが、どんどん使いどころが難しくなっていく印象。乱発して自分の首を絞めてしまわないよう、高評価に驕らずきちんと考えたゲーム作りをしたいですね(とか言いつつそのあとすぐメタなゲームを作る)。

最後のふたり/お題「2」

少女とイヌを操作するポストアポカリプスな世界観のパズルゲーム。

前2作がありがたいことにとても高い評価をいただけたのですが、今回は評価のみを求めるのではなく自分の好きなものを作ろう!というテーマで開発しました。u1wという場で変にメッセージ性を持たせたり露悪的な演出にはしたくないかな…というところに気を遣った記憶はありますが、それ以外はおおむね趣味を入れて楽しく作れた気がします。順位を気にせず作ったつもりでしたがこれも良い評価をいただき、結果発表時総合2位、現時点で1位とほげぇなことに。ありがたや……ありがたや……。

UnderDevelopment/お題「ちゅう」

ゲームエンジン「ウニテェ〜」を使って未完成のゲームを完成させるパズルゲーム。

お題が幅広く解釈でき、いかようにもつなげられそうだったのであえて参加者の多くが共感できるであろう「開発中」というテーマで挑むことにしました。
かなりトリッキーな切り口のゲームで、明確にターゲット層を絞っています。正直に言ってu1wという場以外ではなかなか評価されにくい内容だとは思うのですが、今回はばっちり目論見がハマり念願の結果発表時総合1位という栄誉をいただきました。あらためて遊んでくださった皆様に感謝申し上げます!
ただ、今でこそ良いものを作れたという感覚はあるのですが制作当時はなかなか辛かったのを覚えています。なんとなく想像できる通り入り組んだロジックのゲーム、それに対し圧倒的に足りない自分の設計力・技術力。当初の完成見込みを大幅にオーバーし4日の遅刻となった頃には完全に自信を失い、提出を諦めようかと思ったくらいです。完成してしまえば良い思い出かと言えばそうでもなく、個人的には反省の多い開発でした。
それでも得るものは多く、過去一番のコメント数や評価の高さには本当に救われました。特に驚いたのがサウンド部門で1位をいただけたこと。ゲーム内ゲームのサウンドは自作なのですが、自分でもとても気に入っておりロング版を作って毎日ヘビロテしたりなど……。

普段自分の作ったものにずっと愛着を持っていることは少ないのですが、胸を張って自分が好きと言えるものが作れたのは本当に良かったと思います。
ゲーム全体としては反省点があるものの、これほど高い評価をいただけたことはとても嬉しく誇りに思います。一度しか使えない変化球的なネタではありますがこれまでの経験を活かした自分らしいゲームにできたのではないでしょうか。


自分のゲームの振り返りは以上になります。自画自賛になってしまいますが、こうしてみると着実に実力をつけているのではないかと思います。特に初めのころの漠然としたゲーム作りを脱却でき、遊んでくれる人の感情を意識したものづくりができるようになったのではないでしょうか。u1wで遊んでくださった皆様、素晴らしいゲームを作られる制作者の方々、なによりイベントを運営いただいているないちさんには頭が上がりません。成長の機会をくださった皆様に心からの感謝を申し上げます。


印象に残ったu1wのゲームたち

さて、自分のゲームのことばかり書いてきましたが今までのu1wを振り返った時に一番語りたいのはこれまで遊んできた他の方のゲームです。毎回数多くのゲームを遊ばせていただき、そのたびに「自分ではとても敵わない」「こんなゲームを作れるようになりたい」と思えるような体験をしてきました。今でこそありがたいことに自分のゲームに評価をいただけるようになりましたが、それも他の方のゲームから多くの学びを得た結果です。ここからは自分のゲーム作りに特に影響を与えたu1wのゲームを(勝手に)紹介したいと思います。

お題「あつめる」

REC/たアケイクさん、Ryosukeさん

ステージの状態を記録/復元して先に進むパズルアクション。

自分がu1wに興味を持ったきっかけのゲームです。ユニークなゲームシステムと魅力的なドット絵で引き込まれ一気に遊んでしまいました。今見ても非常にハイクオリティで、u1w全体を通して見てもトップクラスに完成度の高いゲームではないでしょうか。アクションとしての楽しさとパズルとしての楽しさを両立させ、細部までこだわられた絵作りとまさに非の打ちどころのない素晴らしい作品だと思います。自分がu1wで作るゲームもたびたびこのゲームの体験を参考にしており、ものづくりの原点と言ってもいいかもしれません。
そしてなんとこのゲーム、ブラッシュアップされてNintendo SwitchおよびSteamにて発売予定とのこと。u1w発のゲームがコンシューマ機で遊べるということに驚きと感動を覚えます。お祭りイベントであることはもちろん、このようなゲームも現れるu1wという場のすごさをあらためて感じました。
※12/16追記 この記事を書いた直後にNintendo SwitchおよびSteamで発売開始されました。ぜひ遊んでみてください!実はほんの少しだけ開発時のお手伝いをしており、クレジットに自分の名前を入れていただいています。光栄の極みです……!

お題「逆」

終末/ジェッドムさん

ダークな世界観のアクションゲーム。

ジェッドムさんと言えばユーモラスなゲームをよく作られる印象ですが、珍しくギャグ一切なしの硬派な世界観。
ゲーム中、とあるギミックが存在しオッと思わされるのですがそこに至るまでの導線が驚くほど自然。プレイヤーの心理を考えた巧みな演出だと思います。モノクロで統一された絵作りもカッコよく、どうやってもバッドエンドな雰囲気が魅力的。短いながらも独特の体験を得られる作品でした。

お題「密」

SAVE THE I/Nurikanさん

さまざまな物を回転させて進めるパズルゲーム。物語性もあり、メインのストーリーはノベルパートによって進行します。

短くきれいにまとまったシナリオで、パズルパートとの親和性が驚くほど高いです。パズルの演出そのものを物語に組み込み、どちらのパートも必要不可欠なものとしています。あまりの手法の鮮やかさに当時の自分は嫉妬すら覚えてしまいました。
u1wという場でストーリー性を語るとなるとどちらかというと蛇足となりがちで、シナリオがなくてもゲームとして成立するのでは?となりかねないと思っています。そこにきてこのゲームの完成度たるや。シナリオとメカニクスの融合という点で、u1wでこれ以上のゲームはなかなか思いつきません。容易に真似ができる類のスキルではありませんが、非常にものづくりの参考となる作品の一つです。

ペタリムーブ/シロニルニルさん

謎の生物の3本の足を巧みに動かして進んでいくアクションゲーム。

とても独特な操作性で、慣れは必要ですがこのゲームならではの体験を味わえます。グラフィックはシンプルながらぬるっとした動作で不思議に魅力的なキャラクター(どうやってこの足を表現しているんでしょう……)。次にどう足を伸ばせばいいか考えさせられつつ急いで判断しないといけない場面も。ワンアイデアを必要十分の構成で伝えきる技術が非常に優れていると感じました。

ゴリラが人類を強制的にSTAY HOMEさせるゲーム/EIKI`@yukkumaさん

タイトルの通りゴリラが人類を強制的にSTAY HOMEさせるゲームです(これで伝わるのか)

わりと世界観は謎なのですが、絵面だけですでに面白い。時事ネタを扱いつつも誰が遊んでも楽しいゲームに仕上がっています。物理演算をメインにしたゲームは比較的大味になってしまいがちなイメージがあるのですが、このゲームではそれも笑いに昇華させる勢いがあります。繰り返し遊ぶことでゴリラの性能を強化できリプレイ性も抜群。演出を含めた絵作りもハイレベルで、初見のネタっぽさとは裏腹に驚異的な作りこみのゲームです。

LongBreather智野大(とものひろし)/光山Jr.さん

ロングブレスで様々な問題を解決していく……ジャンルは何でしょう……とにかくそういうゲームです。

気の抜けた音楽にunity標準の青空、なぜか一部の筋肉だけが描写されたローポリの人体。そしてこのゲームのメインであるロングブレスにはやたら重低音のSEが。何もかも不条理なのですが、謎のポジティブさだけはひしひしと伝わってきます。さまざまなシチュエーションも理不尽、そしてそれを解決するロングブレスも使い方がおかしい。何一つ理解できていないにもかかわらず、このゲームを遊んでいる間は終始腹を抱えて笑っていました。「よくわからないけど笑顔になれる」という、理屈や知識ではなく本能に訴えかけるエネルギーを持ったすごい作品です。

お題「ふえる」

受精3D/パセリさん

だいぶ衝撃的なタイトルですが(笑)
精子の一つとなり、受精を目指す3Dレースゲームです。

一見ネタに走っているかと思いきや、教育ビデオ風の絵作りや演出は本気で作りこまれています。VHS風のノイズエフェクトや本来必要ないであろうロード画面、出生届の形で表わされるランキング、現在順位など。仕込まれた数々の仕掛けに笑うよりむしろ「すげー!」と感心してしまいました。独自の着眼点をネタとして終わらせるのではなく、徹底的にゲーム的要素へ変換するという姿勢に感銘を受けます。この絵作りは自分もやってみたい……でも題材にするなら受精ではないかも(笑)

こけぴよぱずる/Puzzler Kさん、丸ダイスさん

にわとりを操作し、ひよことともに柵を脱出するパズルゲーム。

わかりやすいルールながら問題のクオリティが異常に高く、存分にパズルの楽しさを味わえる一作です。
自分自身それなりにパズル好きだと思っているのですが、特に制作者の意図を感じられる作問やルールを踏まえたうえでの思いもよらない解答といった気づきを与えてくれるパズルが好物です。u1wでパズルゲームには一定の人気がありますが、パズル制作となると作問の技術は一朝一夕で身につくものではありません。このゲームではまさにそれらの体験を味わえ、u1w参加者の只者でなさを強く印象付けられました。

のびのび/さめみずさん

くっつくブロックを操作してゴールにたどり着くパズルゲーム。

とにかく基本ルールが秀逸で直観的にわかりやすく奥深い、理想のようなパズルゲームです。パズルデザインも素敵で、「そんなことができるの!?」「作った人すげ~~~」となってしまうようなものばかり。当時のu1wで何も考えずに一番最初にこのゲームを遊んだのですが、あまりの面白さに「これは絶対に勝てない……」と初手から絶望してしまった記憶があります。いや、今でも勝てる自信はないですね……。

ヒメをゴールへつれてって/Ryosukeさん

複数キャラクターを同時に操作してヒメをゴールに導くパズルゲーム。

かわいいキャラクターがけなげに動く画面はそれだけで楽しく、パズルも歯ごたえがあり高い満足感を得られます。Ryosukeさんと言えば画面作りの技術に定評がありますが、この作品では特に色彩について非常にこだわられていました。こちらの記事に詳しいのですが、技術や理論を惜しげもなく公開し知見を共有してくださる姿勢が素晴らしく、自分も大いに参考にさせていただいています。まだまだ他人になにかを与えられるような立場ではないのですが、このような知見に助けられたからには自分も他人の役に立てるよう発信を続けていきたいと思う次第です。u1wではゲーム作りの技術以外にも学ばされることが数多いなと感じました。

ふえるゾンビちゃん/ハネダさん

ゾンビの徘徊する町を脱出するパズルゲーム。

ホラー×パズルというなかなか珍しいジャンルの作品です。かわいらしい絵柄ながら凝ったストーリーと相まって雰囲気が抜群で、パズル自体もかなり歯ごたえがありとても楽しめました。u1wという場ではあまりストーリーやキャラクターに力を入れた作品はクローズアップされにくい面があると思っているのですが、このゲームでは丁寧な導入やパズル自体の面白さからスッと物語に入り込むことができたように思います。ゲームジャムのゲームというよりはきれいにまとまった1作品という印象で、u1wにおける物語の可能性を見させてもらえました。

わたちこ -始末書修正ゲーム-/わにさん

勝手に文言が増えていく始末書を修正していくテキスト系(?)ゲーム。

非常にユニークかつユーモラスなゲームデザインです。文字を消していく、逆タイピングゲームとでも言えばいいのでしょうか。ゲーム性だけでなく設定も面白く、古いPCユーザーにはおなじみのイルカくんがやたら厳しかったり、(勝手に増えていく文言もおかしいのですが)元の文章がすでに結構おかしかったり。このセンス、自分にとても刺さってしまいました。まさかこのようなモチーフをゲームとして面白くシステムに落とし込めるとは思わず、着眼点のみならず実装力も非常に優れていると感服しました。

かたぐるまクローンズ/ゆーじさん

クローンを生み出し同時に操作しながらゴールに向かうパズルゲーム。

これは本当に自分のものづくりに影響を与えたゲームで、u1wへの取り組み方を大きく変えさせられたきっかけでした。
ドット絵の絵作りは非常にハイレベルで常にどこかしらがアニメーションしており死んだ画面になっていません。一つ一つの動きもやりすぎかと思えるくらいに丁寧に調整されています。一画面ごとに魅力的な動きが展開され、感嘆のため息が出っぱなしでした。かと思えばパズルデザインもあまりに出来がよく、これ一つで単体のパッケージソフトにできるほど。当時の自分は衝撃に打ちのめされ、それまで漠然とゲーム作りをしていたことを恥じ入りました。徹底的にこのゲームを遊び、「この演出はどうやって作るんだろう?」「今の技術で再現するにはどうしたらいいんだろう?」といったことを考えるように。しかし知れば知るほど技術や工夫が見えてきて、一朝一夕に身につかないゆーじさんのそれまでの努力をうかがい知ることになりました。この域に達するのはすぐには無理だろう、であれば地道に努力するしかないと考え、それが今もu1wに参加し続けている理由の一つです。このゲームを遊んで以降はあらゆるゲームを学びの機会ととらえるようになり、そのかいもあって少しは良いゲームを作れるようになってきたのではないでしょうか。それでもこのゲームに追いつけるのはまだまだ時間がかかりそうで、いつかは超えたい目標として今も心にずっと残っています。

隕星アルファルズ/NightS/ナイトレイさん、九藤周(くどうあまね)さん

ビジュアル・サウンドともに非常に完成度の高いシューティング。

u1w作品内のみならずコンシューマと比べても見劣りしない、圧倒的にカッコいい演出が魅力です。断片的に語られるストーリーやソリッドなデザインも雰囲気づくりに貢献し、総合的に世界観を作り上げています。制作のプロセスも独特で、まず音楽が先に作られそれに合わせる形でゲームのデザインをしたとのこと。映像作品にも通じる制作手法ですが、u1wという場で見事に形にしなおかつ面白いゲームとしても成立させる技術力に驚きました。

カルネアデスの扉/岩崎@Unityゲーム開発さん

ウィルスが蔓延する世界でシェルターの番人となり、救いを求める人々を選別していくゲーム。

ブラックな世界観が雰囲気抜群で、恐ろしいながらも惹き込まれる雰囲気です。ゲーム性としては「Papers, Please」を踏襲した書類審査シミュレーションといったもので、条件に基づいて救う人々を選別することになります。世界に入り込ませる工夫が優れていて、AIによって作成されたという架空の顔写真はまるで実際に自分が人々の選別をしているような没入感を与えます。それだけに意に沿わない選択をせざるを得ないときの後味の悪さ、無力さは並のゲームの比ではなく、u1wの後もしばらく残るほどでした。技術を利用した巧みなアプローチが非常に面白かったです。

お題「あける」

パーティー師匠あける/あざぶラボさん

できるだけ中身を散らかさないようにポテチの袋を開けるゲーム。

日常のあるあるネタですが、ゲームへの落とし込み方がとても面白い。大量のポテチが物理演算で動く様はそれだけで楽しく、1ゲームのテンポもいいため何度もやってしまいます。最低スコアを競う仕組みがあるのも独特で、逆にどれだけ散らかせるかを考えることに。ランキング登録もさらにひとネタあり、スロット形式で名前が決まります。変な名前にしようとして本編より長く遊んでしまったのは自分だけではないはず……。誰がやっても楽しくなれる、題材とゲーム性をうまく考えたユニークなゲームです。

Time to GOLF/nattuhanさん

ゴルフボールを打って頂上を目指す、登山系ゲーム。

「Getting Over It」や「Pogostuck」に代表される、繊細な操作で進めつつも一歩間違えると進捗を大きく戻される登山系と呼ばれるアクションゲームのジャンルがあります。恥ずかしながらこのゲーム以前に登山系というジャンルを詳しく知らなかったのですが、nattuhanさんはこのゲームを入り口として登山系を広めたいという意図があったとのこと。
登山系をよく知らないまま、いざゲームを始めて軽快な打球音や美麗なグラフィックに癒されていたのは開始10数秒まで。その後は地獄のような体験をさせられることになりました。なかなか思うようにいかないボールコントロール、度重なる高所からの落下でモニターを何枚叩き割ったことか。結局、残念ながらu1w期間中のクリアは叶いませんでした。
u1wという場においてこのゲームデザインがなかなか評価されづらいというのはあると思います。しかしそれを承知でジャンルの魅力を伝えたい・もっと苦行を楽しむ人が増えてほしいという心意気を感じました。まさに新たなジャンルへの門をあけた作品として、u1wの歴史に欠かせないゲームだと思います。

YOUR GAME/ノイさん

画面をクリックして進めるシンプルな脱出ゲーム。

……と、一見何の変哲もなさそうなゲームに見えます。しかしゲーム中のとあるギミックが非常に印象的で、個人的に今まで遊んだ脱出ゲームで最も好きです。ギミックの○○といいクリア時の演出といい、ゲーム作りの初心を思い出させてくれるような雰囲気作りにも心を打たれました。こういった切り口は何度も使えず意図通りに伝わらないことも多そうですが、この作品においては非常にスムーズに受け入れられたように思います。語りにくいギミックなので魅力を伝えることが難しいのですが……ぜひ一度触ってみてほしい作品です。

テレビからの脱出/kurosanさん

さまざまなギミックを使用した脱出ゲーム。

ちょっぴりホラーな雰囲気で、まず世界観が秀逸。さらに驚くような謎解きのギミックが多く用意されています。「こんなことも遊びに組み込めるの!?」と思わされ、しかも世界観と見事にマッチしておりさらにうならされました。常識の枠でゲーム開発をしていてはなかなかたどり着けないアイデアに思います。あらためてゲーム作りに求められる視野の広さを実感させられました。

夢の中で、あなたと/青木とと(ˊ꒳ˋ*)さん

テキストベースの脱出ゲームという斬新な切り口の作品。

基本的にテキストのみで進行するのですがその活かし方がとてもユニーク。テキストノベルにこんな発展性があったとはと思わされます。もちろんアイデアだけではなくグラフィックや演出もハイレベルで、特に少しひねりのきいたストーリーがお気に入りです。ユーザーに想像の余地を残す作りで本来のテキストノベルらしさも十分。コンパクトにまとまった非常に上質の体験を味わえました。

37°/こーひーあーるさん

ドアをうまい具合に空け、unityroomのアイコンと開き具合を一致させるゲーム。

webサイトのアイコンをモチーフにするという、あまりに斬新な着眼点に笑ってしまいました。ゲーム性も極めてシンプルで1秒で終わるのですが、異常に細かく誤差を出してくれるため極限まで精度を求めたくなります。一発ネタでありながら参加者の多くに共感されるであろう体験で、天才的な発想に思わず舌を巻きました。

5秒間の黒子さん/丸ダイスさん、うすい しおさん

演劇の黒子さんとなり、いろいろおかしなシナリオを進行させていくゲーム。

かなり独自性の高いシステムで、なかなか類似のゲームが思いつきません。基本はシナリオを楽しむアドベンチャーですが謎解き要素もあり、しかも短い時間で瞬時に判断しなければなりません。うすいしおさんによるキャラクターは魅力的で掛け合いが楽しく、シナリオの分岐はどれも非常に面白いためすべて見たくなってしまいます。特にすごいのが音声読み上げによるフルボイスという点。丸ダイスさんにより詳細にノウハウが公開されていますが、技術的に高度というだけでなく演出への寄与も大きくとても素晴らしい仕様でした。u1wの規模でここまでこだわる例は今後もほとんど出てこないのではないでしょうか。アート・アイデア・技術とすべて揃った素晴らしい作品だと思います。

時空運送/るっちょさん

空間や時間を超えるワープゾーンを使い荷物を整理するパズルゲーム。

パッと見でわかる絵作りのすさまじさにまずは惹かれてしまいます。はじめ見た時は超精密なドット絵かと思ったのですが、PixelPerfectCameraを使った3Dだったんですね……まったく気づきませんでした。システムも驚くような仕掛けがあり、なんと過去にさかのぼって現在の状態を改変するという仕組みが。言葉で説明しづらいのですが、実際にやってみても説明しづらい(笑)。これ作問めちゃくちゃ難しいですよね……。このシステムの構築に絵作りにパズルデザインを……1週間で……。あらためて人間ワザではないことを再認識します。世の中には自分の想像をはるかに超える強者が存在することを思い知らされ、自分もこの高みに到達したいととてもモチベーションをもらった作品でした。

あける2020/tnk / ティーエヌケーさん

音楽に合わせてキーを押し、いろいろなものをあけていくリズムゲーム。

軽快なサウンドにかわいいイラスト、そしてtnkさんによる作詞・歌唱というとても雰囲気がよいゲームです。当時ゲーム制作者による歌唱サウンドはかなり数が少なく、その中でもリズムゲームに取り入れた例は知らなかったためとても新鮮に映りました。リズムに合わせたリアクションが気持ちよく、数多くの手描きイラストは全部見たくなる魅力があります。
また個人的な話なのですが、当時はゲーム作りの方向性を模索している最中で自分に自信が持てず、ややネガティブな気分でu1wのゲームを遊んでいる時でした。そんなときにこのゲームを触り、とてもポジティブな歌詞に心を打たれたのを覚えています。救われたのと同時に人の心を動かすゲーム作りもいいなと学ばされ、その後のゲーム制作に大いに影響を与えてくれました。

お題「回」

彼女は時の魔法使いだ。/staraさん

何度もタイムループするデスゲームを通して各参加者の正体を特定する推理パズルゲーム。

ゲームを始めて最初に感じるのは前提となる情報量があまりに多いこと。
初見はまず間違いなく圧倒され、ゲームの目的を把握することすら一苦労なはずです。いざゲームを開始してみてもわけもわからず状況が進んでいき、いつの間にかプレイヤーが殺害されてしまう。正直に言うと初めの感想は「???」でした。
しかし、これこそがこのゲームの面白さの中核だったのです。何度か繰り返すうちに少しづつルールが開示され、推理の手掛かりが見えてきます。微妙に異なる行動を繰り返して論理的に推理を進め、これしかない!という回答にたどり着いて実際にクリア画面を見た時は感動してしまいました。
何の手掛かりもなく何をすればいいかもわからないことは決して不親切やデザインの不備ではなく意図されたものでした。つまりわからない状態で試行錯誤することそのものを楽しませるゲーム性だったわけですね。当然、難解すぎるように見えた推理にもヒントがちりばめられており、理解してしまえば非常に丁寧に練られたデザインであることがわかります。
自分であれば「もう少し複雑さを削って万人向けに」などとしてしまいそうなところ、staraさんはそれこそがこのゲームの良さであるととらえ真っ向から自分の面白いと思うものを作ろうとしているように感じました。その結果尖りつつも唯一無二の体験を作り出せたのではないでしょうか。ゲーム制作への向き合い方について、大いに勉強させられた作品でした。

Supra animus quo/カバン@Stab of Bee Projectさん

ゲーム性はいわゆるスライドパズルの変形なのですが、まるで映像作品のような個性的な絵作りのゲーム。

パズル部分はオーソドックスな作りと言えますが、その見せ方があまりにオシャレすぎる。ゲーム部分とシームレスにつながった演出はサウンドも上手く使っており、画面全体から物語を伝えてきます。常に画面が動きつつもシーンの移り変わりはスムーズで、どうやってレイアウトを調整したのか全く想像がつきません。オチもかわいいながらスタイリッシュで映画を見たような満足感。自分の中にあったu1wでの雰囲気作りの概念を完全に一変させた、印象に強く残り続ける作品です。

パジェロへの挑戦/100yenさん

懐かしの某TV番組を彷彿とさせるダーツゲーム。

なんといってもパジェロコールが雰囲気を盛り上げてくれ、司会者の辛辣さにも笑ってしまいます。サウンドやイラストなど自作の素材に味があり、ゆるいゲーム性と絶妙にマッチして何度も遊んでしまったり。「グラフィックスが」とか「ゲーム性が」というよりは感覚的に「これは好き!お気に入り!」というゲームで、なぜ好きなのかがきちんと説明できないのがもどかしいところではあります。技術やアイデアの優れたゲームももちろんですが、こういった感覚にしっくりくるゲームと出会えるのもu1wというイベントのいいところだと思います。

ROOM/NEKO DONUTさん

手描きのグラフィックがとても魅力的な脱出ゲーム。

雰囲気が抜群によく、お題である「回」を部屋の形に見立てたセンスあるデザイン。適度なひらめきを要求され脱出ゲームとして謎解きの質も高いです。細かいアニメーションや謎解きのフィードバックが気持ちよく、細部までこだわられた実に丁寧な仕事だと思いました。特にすごいのはこれらの工夫をごく自然に練りこんでいることで、パッと見でわかる超技術のようなアピールをしていません。ステージ遷移一つとっても「遷移に伴うプレイヤーのアクション」「カーソル・画面のちょうどいいTween」「隣り合うステージの配色の調整」と、間違いなく綿密に調整されているはずなのですがプレイ中に不自然に意識させることなくゲームに組み込まれています。(たぶん自分が気づいてないだけでもっとこだわられているはず)
ユーザーに意識させずに工夫や努力を伝える技術がとても参考になる、気配りの塊のようなゲームでした。

Press Button/ゆーじさん

謎を解いてボタンを押していくパズルゲーム。

優れたパズルゲームが本質なのですが、モーショングラフィックスを活用した演出もとても素晴らしい。u1wで優れた絵作りと言えばドット絵やイラストレーション的なアプローチが目立ちますが、そこに新たな視点を取り入れた意欲的な作品だと思います。そもそもゲームジャムにおいては少人数・あるいは1名で作られることが多く、絵作りにまで手が回る制作者が稀少ではあります。その中でゆーじさんは3D・ドット絵・モーショングラフィックスと、ゲーム自体の面白さのみならず多彩な技術を試行されており本当に尊敬しています。個人的にu1wにおける神のような方で、自分の作るゲームでゆーじさんを意識していないものはないでしょう。後追いではありますがこの絵作りもいつか試してみたい……。

窓の中の先にあるもの/とぶ@うさおいみとさん

視点を変えることで新たなルートを見出すパズルゲーム。

斬新なルールを取り入れたパズルで、見た目のインパクトが強いためわかりやすく印象に残る作品。数秒プレイ動画を見ただけでオッと思わされ、面白そう、やってみたい!と引き込まれてしまいます。ゲームジャムにおける「面白そう感」の重要性は実感しているのですが、この作品に匹敵するほどにつかみを成功させることは至難の業だと思いました。もちろんインパクトだけでなくゲーム性も良く、思いもよらない解法を要求される優れたパズル。内容でも期待を裏切らない確かな実力を備えた作品に感じました。

お題「2」

NOW SHIPPING/瓜頭(かず)🍈さん、nyoさん

ノアの方舟をモチーフにした動物箱詰めパズル。

ドット絵で描かれた数多くの動物が非常に魅力的です。画面はにぎやかですし、ピースを組み合わせるようにつがいの動物たちを方舟にセットしていくルールもとても面白い。お題「2」の回収方法もスマートです。物量・クオリティともにあまりのレベルの高さに驚愕してしまいました。これはシステム考えるのがとても楽しいだろうな、でも実装めちゃくちゃ大変だったろうな……と勝手に心配してしまう。スマートさと実直さを同時に感じる驚異的な作りでした。

撃竜伝2/ジェッドムさん

「存在しないゲームの続編」というコンセプトで作られたアクションゲーム。

「2」というお題に合わせ続編が作られた「撃竜伝」。そもそもそんなゲームが存在しないというところですでに笑ってしまうのですが、ゲーム性もさらにユニーク。ラスボスとの戦闘はオマケ程度でエンディング画面が実質ゲーム本編です。エンディング画面だというのに理不尽なまでの即死トラップが襲い掛かり、ようやくスタッフロールを終えると次々に続編が。あらためてゲーム紹介するのが野暮になるほどユーモアが洪水のようになだれ込んできます。いったいどうしたらここまで人を笑顔にさせられるのか。
ゲーム作りにおける楽しませ方というのは数多くあると思いますが、その中でも人を笑わせるというのはとりわけ難しいことだと思います。ユーモアにとことん真摯に向き合った、後世に残したいくらいの素晴らしい作品です。

●●/yumehikoさん

非常に独特の絵作りが目を引く、謎解き要素のあるゲーム。

u1wのゲームとしては類を見ない絵作りが魅力の作品です。実写とイラストレーションを織り交ぜたコラージュにより、一種の不思議さや不気味さのようなものを演出しています。しかしゲーム性もこだわられており、最小限の説明ながら試行錯誤とひらめきにより進んでいける気持ちのいいバランス。一見どういった意味があるのかわからないオブジェクト群にもよく考えるとゲーム的なコンテキストがあるように思え、考察そのものも楽しくなってきます。
さらにこのゲームを語るうえで外せないのが隠された最終ステージ。特殊な方法でたどり着くステージの存在がゲーム内でも示唆されるのですが、それまでの体験をさらに超える素晴らしい演出がありました。このゲームが好きだけれども最終ステージに未到達、という方はぜひたどり着いていただきたいです。かくいう自分も複数人数で検証を行い、到達方法を見つけた際には声を上げてしまいました。こういったところも含め謎があり魅力的で、深く心に残る作品として特にイチオシです。

Re: Terra/かめふぃさん、moriさん

謎めいた森を探索していく2Dアクションゲーム。

映像表現や雰囲気の作り方が非常に優れたゲームです。キャラクターや原生生物は生き生きとしてとても魅力的で、イラストレーション的手法で作られた絵作りが見事に世界観を生み出しています。u1wの中でも絵作りという特化した武器を中心に組み立てられた作品のように見受けられます。自分の場合あれこれ手を広げて浅い技術の組み合わせでなんとかしてしまいがちなのですが、一本芯の通った技術に基づくものづくりを見せられ、気が引き締まる思いでした。

Tonets/アブクデさん

クリックのたびにネットワークを広げ、最終的により多くの枝を増やしていくゲーム。

ルール説明も操作説明も必要最小限ですが何をすればいいかが直感的にわかります。どうしたら最適解となるかなかなかつかめず、出来上がった形が毎回変わるのも楽しい。デザインもシンプルながら洗練されていて、操作に応じたアクションもとても気持ちいいです。プリミティブな楽しさを突き詰めるとこうなるのかという、未知の体験を味わえました。

2縺、縺ョ縺サ縺/さめみずさん

タイトルからしてまず読めない、謎解きゲームです。

多くがネタバレになってしまうため語りにくいのですが、とある謎を解くことが目的のゲーム。非常に挑戦的で尖りつつ、なおかつ理不尽でない程度にヒントをちりばめられた絶妙なデザインに見受けられました。自分は複数人でこのゲームの攻略に挑戦しているところを眺めていたのですが、ああでもないこうでもないと試行錯誤し数時間かけてクリアまでたどり着いた時のえも言われぬ感動は忘れられません。
もし自分だったらこのコンセプトをどういうゲームデザインにするだろう?と考えたことがあるのですが、これ以上の形は今の自分には思い浮かびませんでした。ある種の粗削りさすらもこのゲームの魅力だと思っているので、ゲームジャムという場においては最もふさわしいあり方なのではないかと思います。いつかはこのゲームを超えるような体験を作り出してみたいものですね……。

お題「ちゅう」

ハイパー中国メイカー/Syunichさん

中国のなかにどんどん小さい中国を重ねていくゲーム。(なんだこの説明は)

ユーモラスな設定もさることながら、ゲーム性におけるリスクとリターンの設定が抜群に優れています。中国を重ねるにあたって安全のためには隙間に余裕を持たせたほうがいいのですが、そうするとトータルの個数が少なくなってしまう。またゲーム終了のタイミングを自分で選ぶことになっているのも同様で、失敗すればスコアが0になってしまうがより高みを目指して続けるべきか、という選択を迫られます。プレイヤー心理の面から巧みに調整されたゲーム性には感嘆の一言です。どんどん重ねていった際に出来上がるゲーミング中国や勢いのあるボイスの存在も魅力のポイント。
あとSyunichさんが「中国の方に怒られないだろうか……」と心配していましたが、きっと中国の方も笑ってくれるんじゃないでしょうか。たぶん……。

セップン・インポッシブル / SEPPUN:IMPOSSIBLE/Hiroshi Idenoさん

ちゅうをしている人々を狙撃していく、ユニークなシューティングゲーム。

映画的な演出や突飛な設定はもちろんのこと、最大の魅力はHiroshi Idenoさんによるボイス。これが本当にカッコいいんですよね……。全編フルボイスで進行し、プレイヤーの行動に合わせてリアクションも。操作のフィードバックとしてのエフェクトやSEは一般的ですが、ボイスの存在でこれほどまでにゲーム体験が面白くなるとは思いませんでした。今後もボイスを収録してu1wに挑む方は多いと思うのですが、この方向性は必ずビッグウェーブが来る……!と信じています。

リズム音痴/Syaketaronさん

リズムに合わせてキーを押すいわゆるリズムゲーム……ではないと思います(笑)

上から降ってくるノーツに合わせてタイミングよくキーを押すのですが、明らかに曲とノーツがズレている。Syaketaronさんのリズム感によって作られたノーツとのことで、思ったよりおかしいリズム感覚のほうに合わせなければいけません。もはや音ゲーではなく目押しの技術が要求されてきます。謎のキャラクターによるダンスや爆発も魅力的で、卓越したユーモアセンスに撃ち抜かれてしまいました。
こういった一撃のユーモアを目指したゲームはu1wではなかなか順位で評価されにくい面があると思うのですが、お祭りイベントとして見た時にはむしろこのようなゲームこそが求められると思っています。とても印象に残る、本当に好きな作品のひとつです。

ActionNowLoading…/sart@RYSTEL製作中さん

ローディングを利用してクリア不可能な構成のステージを突破するアクションパズル。

レトロ風の絵作りに独創的なゲーム性・頭を使うものの決して理不尽ではない難易度調整と驚くほどまとまったハイレベルな作品。ゲーム性の核である「ローディングの操作」の裏技感やメカニクスとの融合具合には美しさすら感じます。ワンアイデアをゲーム性に自然に落とし込むというのは自分も常々模索しているところで、見事な手法を見せつけられたなと思わず悔しくなってしまいました。
sartさんいわく低コスト開発がテーマで、なんと制作時間はトータル16時間ほどとのこと。狙いすましたコンセプトを効率的に表現した、ゲームジャムのお手本のようなゲームではないかと勝手に思っています。

I want CHU/ゆずゆーざさん

投げキッスをうまく使いみんなをハッピーにしていくパズルゲーム。

まずドット絵がとてもかわいらしく、パズルも骨太なこれぞu1wの王道(独自調査)といえる作り。ゲーム性はわかりやすいながらひねりがあり、一筋縄ではいかない難易度です。幕間のちょっとしたストーリーにもひき込まれ、エンディングでの演出には思わず鳥肌が立ってしまいました。かなり隙のない練りこまれた作りに感じ、自分が過去に作ったdreamboxと比べて「そう、こういうのが作りたかったんだよ!」と思わずうならされてしまったり。個人的に勝手に共感を覚える、イチオシのゲームの一つです。

中/ハイパーマムー_新作ゲーム「ふえまる」公開中!!さん

針を発射し、四角にうまく当てて「中」を完成させるゲーム。

漢字一文字のタイトルが表す通り、「ちゅう」というお題にもっともふさわしいゲームの一つと言っていいのではないでしょうか。お題をうまく使った見事なゲーム性で、そのシンプルさを生かすためのアートやサウンドもとてもマッチしています。ひたすらオシャレなデザインなのですが、その中でも「申」ができてしまったり完成した文字の一覧を出してくれたりとユーモアもたっぷり。自分も真似してみたくなるような絵作りやサウンドの工夫が盛り込まれていて、とても学びの多い作品です。

1982/MetaFormingProさん

時間内に目的地にたどり着く、論理パズル的要素のある多人数オンラインゲーム。一人でも遊べます。

まず勝利条件が提示され、プレイヤーはそこに向かって進むことになります。ただし勝利条件には注釈がつけられており、それに基づいた正しい行動をしなければステージクリアになりません。ステージが進むにつれ注釈の数が増えていき、文章を正確に読み取ることすら難しくなっていきます。他に類を見ない独創的なゲーム性で、特に複数オンライン時のわちゃわちゃ感は比肩するもののない楽しさでした。
自分の場合、u1wにおける斬新さと言えばすぐメタ要素に頼ってしまうところがあります。こういう形で真っ向から斬新さに向き合うこともできるのかと、非常に刺激を受けました。

シロペンロード/baba_sさん

マウスで線を描き足場にしながら進むアクションパズル。

これはもう、語る気になれば何時間でも語れるとんでもないゲームです。プレイヤーがかなりの自由度を持ってステージに干渉できるシステムが言うまでもなく秀逸で、何も考えず引いた線がそのまま足場になるだけでわくわくしてしまいます。さらに優れていると思ったのがステージデザイン。このシステムを使って考えられるであろうパズルがおおよそ用意されています。しかもあえて正規以外の解法も許容する作りになっており、Twitterなどではいかにシステムを利用して想定手数よりはるかに少ない手数を更新するかといったチャレンジも見受けられました。これはいい意味でカッチリしていない挙動にしたことによる、意図的な誘導だと思っています。
グラフィックも考えられていて、3色のみで構成された画面はゲーム性から要求された機能的なデザインに見受けられます。これがもし前作「ムーブロック」のようなカラフルさを用いていた場合、ステージ内で自由に書き加えられる線や書き込み禁止エリアなどとの見た目の整合性を取ることは難しくなってたのではないでしょうか。また、これだけの規模のゲームを1週間で作ろうとしたときシステムやパズルデザインに開発時間の比重をかけたいはずであり、比較的グラフィックへのコストは削る必要があると思います。そういった要求を満たし、なおかつクオリティの高いドット絵を実現しているデザイン力には感服するしかありません。
製品と言ってもいいほどの完成度を誇り、さらにそれを1週間で作り上げるという驚くべき事実に当時の自分はショックを受けました。とても敵わないと思わされ、いつかはこれだけのゲームを作れるようになりたいと強く思ったものです。それだけに結果発表時に自分のゲームが総合順位で上回っていた時は信じられず、畏れ多くも光栄の極みといった感じでした。もちろんゲーム単体のクオリティで見れば圧倒的にシロペンロードが優れていると思いますが、u1wという場に特化してターゲット層を絞ったり、インパクトに振ったりといった工夫で何とか食らいつけたのではないでしょうか。(事実PV数やイベント後のプレイ数を見ても、シロペンロードは開発者以外のユーザーからの支持が桁違いであることがわかります)
あらためてこれだけレベルの高いゲームと同じ土俵で見てもらえ、工夫によっては対等に渡り合えるかもしれない場であるu1wには感謝しかありません。これまでゲームを作ってきて本当に良かったなと思います。


まとめ

以上のようにこれまでのu1wのゲームを振り返ってきました。ここに挙げたもの以外もお気に入りのゲームや影響を受けたものは数多く書ききれないほどありますし、自分が遊べていない素晴らしい作品もあるかと思います。皆様が影響を受けたゲームやイチオシなどあればぜひお教えください。他の方が遊んだゲームをどう感じているのか、自分も気になります!

あらためて見ると結構な量になってしまいました。普段からゲームはそこそこ遊ぶ方ですが、特にu1wはゲーム作りの参考として毎回数多く遊んでしまいます。どのゲームにも学ばされる点があり、作るだけでなく遊ぶことも含めてu1wの醍醐味だと思います。影響を受けすぎて、だんだん自分がu1w特化になってないだろうか……と思わなくもないですが(笑)
ゲーム作りは楽しいものだという初心を忘れないよう、u1wにはこれからも参加していきたいと思っています。今後ともぜひよろしくお願いします!

おまけ

過去に自分がu1wで作った「Any% Glitched」をスマートフォン向けにリリース予定で現在開発中です。

ステージやシステム追加で大幅にパワーアップ……のつもりですが、いつ出せることやら……。一生懸命頑張りますので、楽しみにしていただけると幸いです!


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