ジャズを楽しく聴くための基礎知識 vol.1
最近映画「BLUE GIANT」が公開されたことでちょっとだけ話題になるジャズ。
ジャズが好きで演奏もする私としては大変嬉しいです!
ジャズを聴き始めた方、これから演奏をしてみたいという方も増えているかもしれません。
しかし、そんなジャズ初心者を待っているのは
・聴いてみたけど良さがわからない。
・演奏がすごそう!だけどよくわからない。
・とにかく長くて眠くなる。
・歌がない。
という大変とっつきにくい音楽であるという事実…!
それでも、どんな音楽なのか知りたい!出来たら自分でも演奏してみたい!と思う方のために、
「ここに注目して聴くと面白い」とか「こういう構成で演奏している」といった
初心者でもわかる≪ジャズの聴き方・楽しみ方≫を書いていこうと思います。
実はポップスもジャズも曲の構成はそんなに変わらない
ジャズといえば即興音楽というイメージが強く、
実際にアドリブ要素を重要視する音楽であることは間違いありません。
この”即興”という言葉が話を少しややこしくしています。
即興というと、いきなりその場で曲を作って演奏者全員が聴いた音に対して反応しながら演奏していると思う方もいらっしゃいますが、
プロでもそこまで難しいことは出来ません。
一応フリージャズというジャンルがそれに近いことをしていますが、
一般的なジャズはしっかり構成としての枠組みがあって、そのルールの中でそれぞれが自由に演奏しています。
演奏の全てが即興というわけではないので、ポップスやロックなど他のジャンルに比べ自由度が高いという表現が合っているかもしれません。
ジャズの枠組み・ルールを知ってから聴いてみると、ポップスやロックと変わらない音楽だということがわかります。
今回はまず、このジャズの枠組みについて書いてみたいと思います。
【ジャズの流れ】演奏パートは大きく分けて3つだけ
では早速、どんな枠組みかというと…
実際にジャズの演奏中やっていることは、
テーマ → アドリブソロ → テーマ
という大きく分けてこの3つのパートだけです!
※この枠組みにイントロやエンディングがつく場合もあります。
(それぞれの詳しい内容については別の記事でご紹介したいと思いますので、ここでは簡単に概要と流れだけ書きます。)
①テーマ
まずテーマパートですが、ジャズではメインのメロディのことをテーマという言い方をします。
普段よく聴くポップスで置き換えると、
【Aメロ、Bメロ、サビ】を
ひとまとめにしてテーマと言っている感じです。
そしてこのテーマ1回分を≪1コーラス≫という言い方をします。
②アドリブソロ
アドリブソロパートは、テーマを演奏したときのコード進行を使ってアドリブでメロディフレーズを演奏していきます。
先ほども記載しましたが、テーマ1回分を1コーラスという言い方をするので
例えば、3コーラス分アドリブソロをするというのは、
テーマ32小節の曲のなら
32×3(小節)分の長さでアドリブソロをするという意味になります。
アドリブソロの基本的なやり方などは、電子書籍【ゼロから学ぶJAZZ アドリブソロ編】でも詳しくご紹介していますので、気になる方は是非こちらも読んでみてください!
ジャムセッションでは基本的に演奏している人全員(全パート)が1人ずつアドリブソロを順番に演奏していきます。
(ベースやドラムもソロがあります)
このアドリブパート中は、その時ソロを演奏している人が主役です。
ポップスなどでボーカルさんが主役ならそこからメインが変わっていくことはないですが、
ジャズの場合は演奏者全員が対等にメインを担当して、ソロをバトンタッチしながら演奏を繋いでいきます。
ソロの順番にも大体のルールがあり、
例えばアルトサックス(AS)、ピアノ(Pf)、ウッドベース(WB)、ドラム(Ds)の4人編成でセッションしていた場合
AS→Pf→WB→Dsの順番でアドリブソロを回していきます。
今アドリブソロをメインで演奏しているのが誰なのかに注目しながら、ジャズを聴くと面白いと思います。
このアドリブパートがやたらと長いなと感じる方もいると思いますが、先ほどの4人編成で1人2コーラスずつアドリブソロを弾いたとすると
テーマ×1→AS×2→Pf×2→WB×2→Ds×2→テーマ×1
という計10コーラスというとてつもない長さの曲になります。
しかもメインのメロディではなく間奏の方が長いという。笑
ジャズとポップスの共通点と違い
ジャズにはアドリブソロパートという"即興"要素があるので一見わかりづらいですが、ポップスの流れに当てはめてみると…
【ポップスの場合】
一番(歌)
↓
間奏(ギターソロ等)
↓
二番(歌)
【ジャズの場合】
テーマ(ポップスでは一番の部分)
↓
アドリブソロ(ポップスでは間奏の部分)
↓
テーマ(ポップスでは二番の部分)
こう考えるとジャズは、それぞれが即興で表現する一番大事な要素として、間奏であるアドリブソロパートに重きを置いている(長い)のに対し、
ポップスではテーマであるメロディと歌詞が大事な要素だと言えます。ポップスの場合、間奏で演奏するのはギターソロぐらいですよね。
このようにどこを一番重要な要素と捉えているかの違いはありますが、実はジャズもポップスも曲の構成自体はあまり変わりません。
今回ご説明した枠組みを意識すると、今までよくわからなかったジャズが
「今はこの人が主役なのかな?」とか、場面場面で誰に注目して聴けばいいのか分かってくるようになると思います。
ジャズって一曲一曲が長いなぁと思う方も、まずはアドリブソロのメインが今は誰なのか、一人一人に注目して聴いてみてください!
次回はさらにジャズを楽しむために、
『ジャズは会話と同じ』と言われる理由を説明していこうと思います。
これを読むと、アドリブソロ中にプレイヤー同士でどんなやり取りがされているのか?何を考えて演奏しているのか?等、もっとジャズの魅力を知って頂けると思います!!
▼アドリブソロについて詳しく知りたい方は▼
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