【Behind The Scenes】「YARIS DIRECTORSCUT」を制作した話。
〇YARIS DIRECTORSCUTとは?
つまりは膨大な映像素材と音源素材を使って、一つの映像作品を自由に作るという企画。instagramの広告でこの企画を知った時は、深く考えずに「あ、やってみたいな」と思いました。クルマのCMって格好良いし、サカナクションだし。くらいの気持ちで。
〇音の大切さを改めて考える
ミュージックビデオを制作していて思うのは、やっぱりアーティストの楽曲にだいぶ助けられるなということです。映像と音楽が五分五分なんてことはなくて、音楽ありきのMVだなと思うわけです。こう書いてみると当たり前の話なのですが。
今回の企画は提供されているサカナクションの楽曲をそのまま使ってもよかったんですが、せっかくステムデータ(各パートがバラバラのデータ)まで提供してもらってるから「トラック制作の猛者」と一緒になにかやってみたいなと思ったんですね。サカナクションの音源データをもとにオリジナルのトラック音源を作って、そこに映像をのせたい、ということです。
「トラック制作の猛者!おらぬか!」とinstagramストーリーズで募ったところ、たった一人興味を持ってくれた方がいました・・・(寂)
disco 10年来の仲間ではありますが、この方の作る曲は凄くてですね。今回はトラックのみですが、凄まじい歌詞も書く人なので、ディスコの活動はずっと追っていかなきゃと思っています。そんなこんなで尊敬できる猛者が手を挙げてくれたので、僕はいっそう気合が入りました。
〇制作の流れ
まずは自分で大まかなテーマを設定したので、それをディスコに送ってトラック制作に入ってもらいます。
こんな感じで、制作のヒント的なものを事前に送りました。もちろんこれを参考にしてもしなくてもいいですよ、という前提で。
それからしばらくしてディスコからトラックが送られてきます。
ディスコの中でさらにテーマの枝葉を広げてくれて、
新たに「繰り返す」「(曲が終わった)その先に何が待っているのか」などなどが追加されて、それが音楽になって返ってきました。この瞬間が一番痺れましたね!!
さて、ここからが映像編集です。
〇中盤の作り
まずは数多ある素材の中から、「円、丸、球」などを感じる映像を切り取っていきます。円状の道路、カーブ、ハンドル、タイヤなど、クルマに関するまるいものって多いですね。
これらをトラックのテンポ感に合わせて並べていきます。なるべく寄り・引き・絵の印象がバラバラになるように順番を組んでいきます。
トラックの展開に合わせて、最初に使った素材に戻ったりすることで「繰り返す」というテーマを匂わせています。
トラックはどんどんと勢いを増していくので、映像のスピードもどんどん上げていきます。
「月」を感じさせるために、サカナクションメンバーの演奏シーン映像をエッジ化させたものをクレーター風に透過させています。常にぼんやりと月が浮かんでいるイメージ。なんとなく感じてもらえたら十分です。
〇始まりと終わり
映像作品は、始まりと終わりがめちゃくちゃ大事だと思ってます。MVでいえば、曲が始まる前の数秒、終わった後の余韻。このあたりを毎度こだわって作っています。もはやそこさえ決まっちゃえば、安心できます。
今回の"始まり"は、ベタですが車の起動と物語の起点を重ね合わせました。ボタンを連打する動きはちょっと遊びも入っていますが、電話が繋がらない音の中での苛立ち・焦りも表現しています。
"終わり"は、音が収束していくのに合わせてこの映像をはめました。元の素材はスピードメーターがどんどん上がっていくんですが、逆再生させてスピードが下がっていくようにしています。スピードは下がっていきますが、0にはならない。ここが僕が今回一番気持ちを込めた部分です。
再び電話はつながらず、バッドエンドが漂う。この後車は停止してしまうのか、はたまたもう一度スピードが上がっていくのか。
物語の先を、観た人に委ねたいという気持ちでこのエンディングを選びました。
「re_en_」
この作品のタイトルですが、「リエン」と読みます。
色んな字をあてたり、分解したり、形を見たり、色んな意味を持たせてください。
長々と説明させていただきましたが、1分15秒です。
ぜひ一度ご覧ください!
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