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【他社戦略】安さで勝てない?なら何で勝負するかを考えるのが戦略!

水曜日なので今日のブログは【他社戦略】!

安いものってみんなが買っていくよね。特に日用品ならなおさら。その「安さ」に対抗しようと思っても、経営環境の違いで対抗できない場合は?

自社にとってはピンチ!しかし、そこからどうするか考えるのが「戦略」ですよね!今日はそんな事例のご紹介です。

広い田畑で効率的に農産物を生産することができない都市近郊の農業の強みとは何か。取れたてで新鮮な野菜を提供することができるのは特徴のひとつ。でもプラスアルファの工夫をすれば魅力はもっと高まる。

2023年11月19日、東京都国分寺市の農園「Agritario(アグリタリオ)」が畑の近くで開いたマルシェを取材した。棚の上に敷いたシートや野菜を入れる箱は黒一色。そこにAgritarioと白い文字で書いてある。デザインにこんなに凝ったマルシェは珍しい。

もっと目を引くのは棚に並べた野菜の彩りだ。黄色や赤のニンジン、真っ赤や紫のダイコン、黄色いカブ、深い赤のビーツ。赤いトウモロコシもある。野菜の種類は40以上にのぼる。

~中略~

転機はいまから5年ほど前。農業も営む父親が高齢で畑に出るのが難しくなった。家業の不動産業の傍ら、島崎さんが農作業もするようになったのだ。カラフルな西洋野菜の栽培はそのとき始めた。

広い農地のある地方と比べると、都市近郊の畑は生産効率の面でハードルが高い。ただでさえ狭い畑なのに、年に80種類もの野菜を作れば効率の向上はもっと難しくなる。

それでもたくさんの種類の野菜を作ることにしたのは、「自分にとって意味のある農業をやりたい」と考えたからだ。それは「野菜を買ってくれる人の食卓をもっと華やいだものにしたい」ということだった。

~中略~

考えてみれば、住宅やビルが立ち並ぶ中にある都市の農地自体が特別な存在だ。そこで作物を育て続ける意義は、建物の間にふと現れる畑を見て、和む気持ちに気づけば知ることができる。珍しい野菜がその価値を高める。

日経MJ 2024/1/22 P12

都市で農業をやろうと思っても、地方と比べて大規模な農場を設けることは難しいだろう。

大規模になれば効率的にできるし、規模の経済も働く。輸送コストを合わせても都市の農地で作るよりも安くなるのだろう。

近くで採れた野菜なので新鮮です!
といっても輸送網も今は発達しているし、大きな違いを感じられないかもしれない。そんな「安さ」で勝てないならどうするか?

他で勝負する
という戦略だよね。こういう思考がまさに経営戦略だ。

【今回の注目ポイント】
勝負する「お客様のニーズ」を変えている点


<注目した背景>
※何度も読んだって人は読み飛ばしてね
今回これに注目した理由の理論は佐藤義典先生の、「戦略BASiCS」から。以下、「戦略BASiCS」を簡単に説明する。

戦略BASiCSの解説

この「戦略BASiCS」は、佐藤義典先生の中核的な理論。この理論、見た目は簡単でも、非常に奥が深い。ここで書くのは、あくまでもさわりのところだけ。詳しくは是非佐藤義典先生の本を読んでみてね。

「戦略BASiCS」とは、経営戦略・マーケティング理論は世の中に数多あるが、まとめると5つのパターンに分類され、それを再構築した経営戦略理論。その5つを一貫性具体性を持って考えることで強い経営戦略ができるという実践理論。その5つは以下の通り

attlefield (戦場・競合)
sset (独自資源)
trength (強み)
i
ustomer (顧客)
Sellingmessage (メッセージ)

頭文字をとって「BASiCS(ベーシックス)」。それぞれを簡単に説明すると、
 :自社が戦っている戦場・戦っている相手(競合)を明確にし
 :競合が真似できない強みを支える独自な資源を構築し
S :資源を強み(買ってもらえる理由)にし、
 :自社の強みを選んでくれるお客様に対し
Sm :メッセージを伝えて選んでもらおう
とこのような考え方で構築される理論。

「お客様(C)が、競合(B)でなく、自社を選んでもらう理由を強み(S)とし、それを独自資源(A)で支え、それを伝えよう(Sm)」という言ってみれば当たり前のこと。だけど、これを自社で考えると難しい。この理論、すべてにおいて「一貫性」を持つことが重要。

例えば、とても高品質なワンピースを作れる縫製技術(A)があるが、それを「ウチの強み(S)は『安さ』です!」といって売り出していたら?『安さ』といっても、高品質なもの。ユニクロと比べて安いか?しまむらと比べては?こう考えると、この会社は、「独自資源(A)」と「強み(S)」の一貫性がとれていないよね。

一貫性を5つ全てでとるというのは、非常に難しい。この一貫性だけど、以下の「3つの差別化軸」で考えると一貫性を取りやすくなる

※3つの差別化軸
佐藤先生の理論では、上記強み(S)のパターンは大別して3つしかない
商品軸:(競合より)高品質・新技術
密着軸:(競合より)個別ニーズに対応
手軽軸:(競合より)早い、安い、便利
強みはこの3つのパターンしかないので、これを考えることで一貫性がとりやすくなる。

例えば、先ほどの縫製技術の話だったら、他社よりも「破れにくい」という強み(S)を生み出せる技術力(A)があるなら、安くするのではなく、高くても「破れにくい服を欲しがるお客様」(C)を探す。といった感じ(具体性はないが…)。

これは①商品軸の例。このように、自社が戦える(戦いたい)軸は何かを考え、それに合わせて一貫性を取った戦略を作っていくことで、BASiCSの一貫性がとれるようになる。

簡単ではないが、できればとても強い経営戦略となる。そうしたら自信を持って、経営戦略を遂行していくだけ!是非この「戦略BASiCS」考えてみよう!!


野菜などの農産物のウリと言えば、新鮮さ、美味しさ、安全性などあるが、大きい点は「安さ」ではないかと思う。

特に毎日の食卓のおかずにしようと思う野菜、白菜とか人参とかキャベツとかブロッコリーとか。スーパーに並んでいたら基本値段を見て買うよね。

都市部で広くない農地しかないと効率的な農業が難しい。地方で大規模にやっているところとは「価格では勝てない」だろう。

だったらどうするか?他で勝てる部分を探すというのがセオリーだが、今回はさらにそれを超えて…
勝てる戦場に移る
ということをやっている。

普通の農産物をお客様が買う理由が
「美味しい食事を手ごろな値段で作りたい」
ということだろう。これがお客様のニーズ。

いくら美味しさ、新鮮さをだしたところでお客様のニーズの中心が「手ごろな値段で」という点だったら値段が高い時点で中々選んでもらえない。

しかし、今回の「Agritario(アグリタリオ)」さんでは、その戦場(お客様のニーズの取り合いの場所)を変えてしまっている。
「食卓に彩りを与えて気分を盛り上げたい」
というニーズに変わっているのだ。

そのために非効率かもしれないが、80種類以上の野菜を作っているらしい。スゴイ!

このやり方業界の中にいると中々思いつけないものだ。しかしAgritario(アグリタリオ)さんはそこをやって、「お客様のニーズが違う戦場に行く」ということをしている。

簡単ではないが、効果的な戦略の立て方だ。これぞ経営戦略!という感じがする。

ライバルに勝つというのも大事だが、ライバルが少ない戦場に移るという方法もある。そういう方法もあるのだということを覚えておこうね!

最後まで読んでくれてありがとう!!
vol.2089


意思決定インストラクター
FSAコンサルティング株式会社 代表取締役 谷川俊太郎

まずは経理情報を経営の羅針盤情報に
そして経営をシンプルに考えられる理論
・佐藤義典先生の戦略BASiCS
・MG(マネジメントゲーム)
・TOC
この3つのシンプル経営理論を駆使し企業改革の後押しを行う「意思決定インストラクター」として福井で企業をお手伝い中!

ご質問等ある方はコチラまで!



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