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【他社戦略】合わせるのは組織ではなくお客様のニーズ!

水曜日なので今日のブログは【他社戦略】!

今日紹介するのはカインズのPB(プライベートブランド)の開発方法。寝具部門、インテリア部門…部門別の縦割りの商品開発ではなく、「お客様のニーズ」に合わせた商品開発方法をとっているようです!

 ホームセンター大手のカインズがプライベートブランド(PB)商品の開発手法を見直している。PBを8つのブランドに分け、テーマに沿った商品を開発する。「縦割り」だった開発を、ブランドのコンセプトをもとに編成した「横割り」チームが主導する方法だ。「商品」より「ニーズ」に開発の軸足を移しPB商品に磨きをかける。
 現在、同社のPB商品は社名と同じ「カインズ」で統一されており、1万数千点ある。これとは別に、家事を楽にする「カインズスタイル」や、寝具など健康的な生活を後押しする「カインズフィット」といった「ブランド」を立ち上げる。
~中略~
 商品開発体制もブランドを中心にした体制に改めた。各ブランドにチームリーダーを置き、部署を横断して開発チームを編成する。品目ごとに開発する縦割り組織は維持するが、担当者個人のアイデアで開発が進む従来の手法とは異なり、斬新なアイデアを発掘しやすくなる。
 例えば「睡眠」をテーマにした場合、寝具の開発だけでは終わらない。眠りを促す香りや音楽といった要素を取り入れるなら、インテリアなど別部署の担当者もチームに引き入れる。「眠りが浅いから」と枕を買いに来た消費者に「快適な眠り」を実現するその他の商品も提案することが、消費者の本当の課題へのアプローチにつながるという考え方だ。
~中略~
 ただ、ブランドの細分化は消費者の混乱を招く可能性もある。「カインズスタイル」と「カインズイズム」は便利さを追求するという意味で方向性は似ている。「カインズ」という基本ブランドも継続するため、似たような機能の商品が増える恐れもある。

日経MJ2023年12月20日 P6

寝具部門なら寝具だけ、インテリア部門ならインテリアだけ…そういった縦割りの組織開発をやめて、「眠り」といったお客様のニーズに合わせた商品開発手法をとるとのこと。

現在の組織体制からしたらやりにくい方法ではないかと思うが、大事にするのが「お客様のニーズ」ということなのだろう。

痒い所に手が届く
そんな感じで商品が揃いそうでイイネ!

【今回の注目ポイント】
お客様のニーズに焦点をあてて組織横断的に商品開発を行っている点


<注目した背景>
※何度も読んだって人は読み飛ばしてね
今回これに注目した理由の理論は佐藤義典先生の、「戦略BASiCS」から。以下、「戦略BASiCS」を簡単に説明する。

戦略BASiCSの解説

この「戦略BASiCS」は、佐藤義典先生の中核的な理論。この理論、見た目は簡単でも、非常に奥が深い。ここで書くのは、あくまでもさわりのところだけ。詳しくは是非佐藤義典先生の本を読んでみてね。

「戦略BASiCS」とは、経営戦略・マーケティング理論は世の中に数多あるが、まとめると5つのパターンに分類され、それを再構築した経営戦略理論。その5つを一貫性具体性を持って考えることで強い経営戦略ができるという実践理論。その5つは以下の通り

attlefield (戦場・競合)
sset (独自資源)
trength (強み)
i
ustomer (顧客)
Sellingmessage (メッセージ)

頭文字をとって「BASiCS(ベーシックス)」。それぞれを簡単に説明すると、
 :自社が戦っている戦場・戦っている相手(競合)を明確にし
 :競合が真似できない強みを支える独自な資源を構築し
S :資源を強み(買ってもらえる理由)にし、
 :自社の強みを選んでくれるお客様に対し
Sm :メッセージを伝えて選んでもらおう
とこのような考え方で構築される理論。

「お客様(C)が、競合(B)でなく、自社を選んでもらう理由を強み(S)とし、それを独自資源(A)で支え、それを伝えよう(Sm)」という言ってみれば当たり前のこと。だけど、これを自社で考えると難しい。この理論、すべてにおいて「一貫性」を持つことが重要。

例えば、とても高品質なワンピースを作れる縫製技術(A)があるが、それを「ウチの強み(S)は『安さ』です!」といって売り出していたら?『安さ』といっても、高品質なもの。ユニクロと比べて安いか?しまむらと比べては?こう考えると、この会社は、「独自資源(A)」と「強み(S)」の一貫性がとれていないよね。

一貫性を5つ全てでとるというのは、非常に難しい。この一貫性だけど、以下の「3つの差別化軸」で考えると一貫性を取りやすくなる

※3つの差別化軸
佐藤先生の理論では、上記強み(S)のパターンは大別して3つしかない
商品軸:(競合より)高品質・新技術
密着軸:(競合より)個別ニーズに対応
手軽軸:(競合より)早い、安い、便利
強みはこの3つのパターンしかないので、これを考えることで一貫性がとりやすくなる。

例えば、先ほどの縫製技術の話だったら、他社よりも「破れにくい」という強み(S)を生み出せる技術力(A)があるなら、安くするのではなく、高くても「破れにくい服を欲しがるお客様」(C)を探す。といった感じ(具体性はないが…)。

これは①商品軸の例。このように、自社が戦える(戦いたい)軸は何かを考え、それに合わせて一貫性を取った戦略を作っていくことで、BASiCSの一貫性がとれるようになる。

簡単ではないが、できればとても強い経営戦略となる。そうしたら自信を持って、経営戦略を遂行していくだけ!是非この「戦略BASiCS」考えてみよう!!


お客様のニーズを大切にする
言葉ではよく聞くし、そう言っている会社も多いだろう。だけど、どこまでできているだろうか?経営戦略でも上記の通り「お客様」というのは中心にあるが。

A商品はX事業部の商品だし、B商品はY事業部の商品。それぞれに開発を進める~なんてことも多いのでは?

縦割りの組織を超えてやっていくって思っているより大変なことだ。これまでずっとそれでやってきたならなおさら。

カインズさんはそころ「新ブランド」を作ることで横断的な対応をするという意思決定をされている。ブランド名があれば社運をかけてのプロジェクトとして横断的な対応ができるのだろう。

寝具売り場に来たお客様がただ「眠りたい」というニーズだけを持っているわけではない。TOCでもよくあるが、表面的な問題の裏には根本問題が隠れている。

眠りたいのではなく、「毎日元気に活動したい」これが本当のニーズかもしれない。でも、寝具売り場の人だけが対応していてはこれを見逃すかもしれない。

そういう意味でも「ブランド」なのだろう。

ブランドが乱立してしまうとそれぞれの特徴が分かりにくいなどの弊害があるかもしれないが、「お客様のニーズに合わせる」ためにはここまでする必要があるのだろうね。

私達は本当の意味で「お客様のニーズ」を考えて対応できているだろうか?カインズさんのやり方をみて、今一度考えてみましょう!

最後まで読んでくれてありがとう!!
vol.2061


意思決定インストラクター
FSAコンサルティング株式会社 代表取締役 谷川俊太郎

まずは経理情報を経営の羅針盤情報に
そして経営をシンプルに考えられる理論
・佐藤義典先生の戦略BASiCS
・MG(マネジメントゲーム)
・TOC
この3つのシンプル経営理論を駆使し企業改革の後押しを行う「意思決定インストラクター」として福井で企業をお手伝い中!

ご質問等ある方はコチラまで!



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