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衝突事故による東海道新幹線運休と阿蘇高森湧水トンネル公園から学ぶこと

今週初め、神戸でライブを行った友人が名古屋に立ち寄り、東京の自宅に帰ろうとしたら、新幹線が豊橋―浜松間で止まっているという。
「こりゃあ、早めに諦めた方がいいぞ」
ということで、早々と名古屋泊を決め、自宅近くの居酒屋で旧交を温めたのですが……

5年ほど前、海外を旅した時、一行に静岡から来たカップルがおり、リニア中央新幹線建設に反対だ、と話していた。
彼らは南アルプスにトンネルを掘ることによる水資源の問題に関心があるわけではなく、
「だって、1本あれば十分でしょ? そんなに人が行き来する必要あるの?」
── それはそれでひとつの考え方ではある。

「でも、少なくとも今の東京―名古屋間の新幹線って、頻度も混み様もすごいですよ。既に限界です」
そればかりでなく、仮に東南海地震による災害で太平洋岸を走る新幹線が止まれば、たいへんなことになります。今週の事故は1日で回復したけれど、これが数か月続いたら……。
少なくとも現在の東京一極集中が続くならば、東京―名古屋ー関西はバイパス的な高速鉄道が必要でしょうね。

川勝元知事は、リニア中央新幹線が静岡県を通過するばかりで何のメリットももたらさないと思っておられたようですが、おそらくその開通後、東京から名古屋以西に向かう乗客はリニアを利用するため、現在の「ひかり」「こだま」にあたる静岡県内停車車両はかなり増加し、静岡県に大きな経済効果をもたらすであろう、とも言われています。

ここで、話は変わって:
今年3月に熊本・阿蘇を訪れた時、かなり偶然、高森町の『高森湧水トンネル公園』に行くことになりました。その名を聞くまで、いや、聞いた後も、そこが一体どんな公園なのか、まったく知りませんでした。

トンネルの前にはきれいな水が流れています

阿蘇周辺はきれいな水が豊富に湧き出る場所がいくつもあり、TSMCが半導体工場を熊本県菊陽町に決めたのも、『水資源』が鍵だったと言われています。

トンネル入り口
トンネルを奥に向かって歩いて行くと、中央は水路になっています

このトンネル、一体何だと思います?

九州の熊本県側と宮崎県側を鉄道で結ぶのは長らくの悲願だったそうです。そこで、前者(旧国鉄高森線)と後者(同高千穂線)をつなぐ『高森トンネル(全長6480m)』が計画され、1973年(昭和48年)に建設が開始されました。
ところが、何度にも渡り出水事故が起こり、その度に豊富だった周辺の井戸水が涸れてしまいます。そして、ついに国鉄は1980年(昭和55年)にトンネル工事を中止しました。
この公園は、中断したトンネルの跡というわけです。

中に進んで行くと、こんなクリスマス・デコレーションも……

ここを訪れた時、リニア中央新幹線のトンネル工事を連想しました ── けれど同時に思った。
(当時に比べると、トンネル建設技術は格段に進歩しているだろう。今ならこの高森トンネルだって問題なくできるかもしれない ── 今さらJR九州はやらないだろうけど)
でも、そうだとしたら、どの技術がどう変わったかを具体的に明らかにした方がいいんじゃないかな、と思いました(ひょっとしたら計画段階で、あるいは静岡県への説明で公表しているのかもしれないけれど)。

そんな中、5月になってトンネル掘削工事が進む岐阜県瑞浪市で多くの井戸やため池の水位が低下した、というニュースが流れました。

トンネル工事との因果関係はあるのでしょう。

でも、その上で、今こそ、現在のトンネル工事技術がかつてとどう異なっており、どのように対策するから問題は解決可能だ、ということを示して欲しいな、と思うのです。

Again、
少なくとも現在の東京一極集中が続くならば、東京―名古屋ー関西はバイパス的な高速鉄道が必要でしょう。

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