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ベスト・バイの話


物質的な買い物による満足感は時間の経過と共に減少する傾向があるが、
逆に経験的な買い物による満足感は時間が経過すると増していく。
―――――『「幸せをお金で買う」5つの授業』エリザベス・ダン


▼▼▼伊集院さんのベスト・バイ▼▼▼


伊集院さんがラジオで、
「2022年のベスト・バイ」っていうのをやってた。
3週にわたって発表していて、
リスナーからも「私のベスト・バイ」を募集し、
いろいろ紹介していた。

僕はいつも移動中に伊集院さんのラジオを聞くから、
電車やバスに乗りながら、
町中を歩きながら、
伊集院さんの紹介する商品を脳の中にメモしていた。

覚えてないやつとかも多いし、
自分には今は必要ないかなと思うものも多い。
(レンタルチェーンソーとか、
 自動梨むき器とか笑)

でも、「お、これは!」と思うやつがあって、
それはたいてい食品なのだけど、
伊集院さんのラジオを聞きながら、
女王蜂のフェロモンに導かれて飛んでいくミツバチのように、
僕は本来行くべきルートを外れ、
街中を徘徊して目標の食品が売ってる店舗に吸い込まれた。

10年以上前に、
「環境ホルモン」が話題になった。
農薬に含まれている物質とかが、
ミツバチのルートを狂わせたり、
食物連鎖で人間にも影響を与えたり。

僕は伊集院さんのラジオという環境ホルモンで
生活を狂わされている。
本人が幸せなので実害はないのだが。

僕が吸い込まれた店舗は三つある。
1.セイユー
2.ドン・キホーテ
3.業務スーパー

この3店舗を、
ときには複数回、
12月から1月にかけて、
何かの用事のついでとかに僕は徘徊してきた。


▼▼▼瑞夢▼▼▼


まずセイユーに吸い込まれて何を買ったか。
「瑞夢」というせんべいだ。
「歌舞伎揚」は有名だから皆知っているだろう。
それを作っている天乃屋という会社のせんべいが「瑞夢」だ。

人間の舌というのは保守的なので、
食品業界というのは、
「一回当てればその商品で20年とか30年食える」
という意味で他の業界と異なる。
人は、ひとつの味に慣れるとそればかり食うのだ。
それがデジタルデバイスや衣料品などの消費財と決定的に違う。

日清カップラーメンのことを考えてみれば良い。
アポロチョコのことを考えてみれば良い。
うまい棒のことを考えてみれば良い。
ピザポテトのことを考えてみれば良い。
あるいはオーストラリアで誰が買うのか知らんけどずっとある、
有名な「ベジマイ」を考えてみれば良い。
アメリカのスーパーで売ってる、
誰が買うのかマジで謎の、
小豆色の固くて味がしない棒状のグミが今も売れてることを考えれば良い。
あれ、マジで誰が買うんだ(オレは一度買ったんだけど笑)。

ずーっとあるでしょ。

でも「ピザポテト」に関しては90年前後に「新参者」として入ってきた。
それが今まで残っているということは、
日本人の舌の「ある部分」を勝ち取ったからだ。
芸人でいうとM-1で優勝したのだ。
だから中川家のように、今もテレビに出続ける。

食品メーカーが世に出す商品の種類は星の数ほどあるが、
残っていくものは本当に少ない。
そしていちど残ったものの息は、驚くほど長い。
芸能界とどこか似ている。
「見慣れるかどうか」が致命的に重要なのだ。

このようにお菓子業界が芸人の世界だとしたら、
「歌舞伎揚」は、
昭和の時代からテレビに出続けてるレジェンド級のお菓子だろう。
黒柳徹子とまではいかないが、
小堺一機ぐらいの年期は入っているだろう。

この「歌舞伎揚」の、
プレミアムラインナップを天乃屋はいつのまにか展開していたのだ。
それが「瑞夢」。

歌舞伎揚師匠の事務所の新顔だ。

よろしく面倒をみてやってほしい。
まずはバーターで出演するかってことで、
「ごきげんよう」のゲスト出演をする。
そんなポジションだ。
(あれ? ごきげんようってまだやってるんだっけ?)

新人の「瑞夢」は、
10年後も残っている確率は1割以下だろう。
食品業界の新商品の生存率はマグロの産卵みたいなもので、
生魚になれるのは宝くじにあたるような確率、
もしくは漫才師がM-1に優勝するような確率だから。
しかもこの「瑞夢」。
ネーミングが絶妙にダサいじゃないか。

伊集院さんが去年の猛暑に、
自分の草野球チームのメンバーたちをねぎらうために、
かき氷にかける蜜をこだわりにこだわって制作し、
「梅夢(ばいむ)」と名付けた。
奇跡的に美味かったらしい。
僕なら「梅夢」のひと瓶に5000円までなら出す。
それぐらいリスナーの妄想が広がった、
あの「梅夢」だ(誰も知らないだろうが)。

まぁ、伊集院さんのしゃべりが巧すぎるから、
多分、妄想が肥大しているのだけど。

「梅夢」と「瑞夢」。

リスナーからの「ベスト・バイ」の報告を読み、
伊集院さんは瑞夢を一箱、Amazonで取り寄せた。
これが美味い!
とラジオで言ってて、
それを聞きながら歩いた僕は、
気づいたらセイユーの店内にいたよね。

伊集院さんがラジオで紹介すると、
品薄になることは多いのだが、
そのときは運良く「瑞夢」が残っていた。
「瑞夢」はお菓子コーナーの棚でピカピカ光っていた。

7枚入って230円ぐらいとかするそのせんべいは、
1枚30~40円近くするってことになり、安くはない。

でも、美味いんだこれが。

そもそもああいったフライ系のお菓子は、
僕みたいな年齢の人間は、
たくさん量を食うもんじゃないので、
「ここぞ」というときに食べるのに最高なのだ。

脳天に、エビの香りが突き抜けるのだ。

これはお勧め。


▼▼▼ドン・キホーテと業務スーパー▼▼▼


「瑞夢」の話しをしすぎて、
ドン・キホーテと業務スーパーの話しはどうでも良くなってきたので、
続きはまた明日!

、、、と言いたい所だが、
一応書いておこう。

ドン・キホーテで買ったのは、
「ド」っていう字がロゴマークになっている、
ドン・キホーテが展開するプライベートブランドの食品。
伊集院さんは「韓国のり」が美味いと言ってたのだけど、
ラジオの影響からか、売り切れていた。
仕方なく買ったサワークリームポテチも、
黒こしょうのミックスナッツも、
価格のわりに非常に美味かった。
ドン・キホーテは店内がジャングルだから迷子になるのが難点だが、
今後も注目していこうと思う。

業務スーパーには僕は2ヶ月に1回ぐらい行く。
引っ越してから自転車で30分ぐらいかかるようになっちゃったので、
たまにしか行けないのだけど、
安いコーヒー豆とか、
毎朝食べるハチミツとか、
2キロの鶏胸肉とか、
大容量の調味料の類いとか、
そんなものを、自転車の重心が取りづらくなるぐらい買う。

伊集院さんがラジオで言ってて、
どうしても食べたかったのは
「スパイシーカレーチキンレッグ」ってやつなんだけど、
これはラジオの影響か、売り切れていた。

あと、「OK」というスーパーが独自に輸入している、
680グラム入って269円の、
「ヴィット」っていうメーカーのトマトバジルソースは手に入った。

これは最高。

僕は自家製サラダチキンをスライスし、
8枚切りの食パンにチーズとサラダチキン載せ、
トマトがあるときはトマト、
タマネギがあるときはスライスしたタマネギを入れ、
マヨネーズと黒こしょうをのせてはさみ、
それをホットサンドメーカーに挟んで、
ガスコンロで焼いたものを、
最近は毎日朝ご飯にしている。

タンパク質がとれるし、
その後に行う筋トレのための炭水化物も適度に摂れる。

これに、伊集院さんが教えてくれたトマトバジルソースを、
マヨネーズの代わりに載せるとすこぶる美味い。
普通に店で売ってても「あり」なぐらい美味い。

そんなわけで、
僕の「伊集院さんに導かれし者たち」の旅は続く。
ブルートゥースイヤホンを手がかりに、
「そして伝説へ」と、足を踏み出す。

こういうのをコンプリートしていく感覚って、
ポケモンGOやってる人とか、
ドラクエウォークやってる人とかの感覚に近いのかな。
何かをコンプリートしたくなるという。

僕の「趣味というほどでもないささやかな趣味」の話しでした。

あんまりお金かからないし、
あと、いっぱい歩くから運動にもなるし、
お勧めですよ。

以上。

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参考文献および資料
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『「幸せをお金で買う」5つの授業』エリザベス・ダン




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