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ミネルヴァ映画会 2024年4月26日金曜日開催 解説①



毎月第4金曜日の20時から、
オンライン読書会/映画会を開催します。
「オンライン寺子屋」と考えてください。
無料だといろんな意味で維持することが不能ですので、
参加費1000円をいただきます。
東京の立川から新宿までは片道490円。
往復1,000円かかりますので、
行き帰りの交通費と考えてもらえば、
「参加料は事実上無料」ということもできるわけです。
ファシリテーションする私の力量を加味して、
最低敢行人数2人。
最大参加人数5人。
とさせていただきます。
チケットはこちらからから。

いくつかルールがございますのであらかじめご了承ください。
(毎回オンラインでも事前確認します)

1.読書会/映画会は90~120分ぐらいの「対話」になります。
その際、私がファシリテーションしますので、
「私に呼んで欲しい名前」をZoomで表示してください。
カメラはオンでもオフでもどちらでも結構です。

2.これが一番重要なポイントですが、
読書会/映画会は録音させていただき、
それを後日noteで550円で販売し、
「アーカイブ聴取」ができるようにします。
(当日参加者の方には無料で配布します)
自分の声が録音に乗ったらいやだ、
という方は、是非アーカイブ視聴のみにしてくださり、
対話の内容が有料音源で販売されることを了承してくださる方のみ、
ご参加いただけますと幸いです。

3.録音部分が終わりましたら、
休憩を挟んでから有志で二次会をします。
ここまでの参加もありですし、
二次会まで残ってくださっても結構です。
二次会は「アルコールOK」で、
録音中には話せないようなディープな話しをする予定です。
24時を回らないようには気をつけますが、
時間はその時の参加者次第になります。
もしかしたらこの部分が一番面白くなるかもしれないと期待しています。
お楽しみに。

4.扱う映画について。
ミネルヴァ映画会は、
私が一定期間に観た映画を、
事前にメルマガ/YouTube/Podcastで紹介していきます。
その中で一本でも観た方は、
楽しく参加していただける可能性が高いので、
よろしければ観られるものがあれば事前にご視聴くださいますと、
学びが深まると思われますが、
1本も見てなくてもOK。
とにかく仲間と映画を語り合う、
「映画同好会」的な交わりですが、
参加者が映画をどう観たかを知ることは、
あなたの映画リテラシーを必ず向上させるはずです。
要するに、どなたでもご参加下さい笑。
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愛なのに


鑑賞した日:2024年2月29日
鑑賞した方法:Netflix

監督:城定秀夫
主演:さとうなほみ、瀬戸康史、河合優実
公開年・国:2022年(日本)

リンク:
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0B5PLXRL5/ref=atv_dp_share_cu_r

▼140文字ブリーフィング:

女子高校生に言い寄られる30歳の古本屋店員が主人公。
その店員が思いを寄せるのは、
結婚式直前に婚約者が浮気していたことを知り、
自分も浮気をして仕返しをしたいと願う女性で、
女性は主人公の店員のとことに行って、
浮気をして欲しいと頼む。

「規範から外れたところにある性愛」を描くことで、
愛とは何かを再考する、みたいな映画だと思うのですが、
私はいまいち刺さりませんでした。
性愛の規範を問うているようでいて、
「性愛という規範」からは自由になっていない、というか。

性愛で苦しむ人々の話なのだけど、
誰一人「友情」とかそういう方にはいかないところが、
かえって不自由になっている感じがしました。
瀬戸さんの演技はとてもよかったけれど。

あと、以前『佐々木、インマイマイン』という映画で知った、
河合優実さんがやはり良いですね。
彼女は『不適切にもほどがある』に娘役で出てて、
ネクストブレイク女優みたいになってるけど、
『佐々木、インマイマイン』に出てる人、
全員凄くなっていきます。
藤原季節さんもすごいし。
そういう映画って、時々ありますよね。
(448文字)


バービー

鑑賞した日:2024年2月15日
鑑賞した方法:Amazonビデオでレンタル(509円)

監督:グレタ・ガーウィグ
主演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング
公開年・国:2023年(アメリカ)
リンク:
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0CB1YLC2N/ref=atv_dp_share_cu_r

▼140文字ブリーフィング:

千葉に家族旅行に行くと、
妻と二人で映画を見る習慣があります。
主に私が一番見たい映画や、
年間ベストの映画を私がもう一度見たい!
というやつを一緒に見ます。
『バービー』は去年から絶対に見たかったので、
迷わず選びました。

一言で言うと、
「フェミニズム3.0」みたいな映画で、
口では「男女同権」と言いながら、
無意識の男尊女卑をまき散らす、
すべての男性がこの映画を見るべきだと思います。
「いや私はフェミニストだ」と言っている、
私のような人間こそ、ズドンと心臓を打ち抜かれるような、
本質を突く批判が胸をえぐります。

マジで凄い。

男が『ゴッド・ファーザー』について女性に説明する、
「マンスプレイニング」の描写や、
「女性の活躍」を語る黒スーツの会社役員男たちなどの描写、
そして何といっても「ケンダム」が最高です。
「自称リベラル」な欧米圏を含む全世界が、
未だにミソジニー(女性蔑視)と、
男性優位な社会であるという事実、
そしてそのことに気付いてすらいない無自覚なそれが、
いかにたちが悪いかということを教えてくれる。

全男性必見です。
これだけ深く社会をえぐってるのに、
とにかく終始、爆笑の連続という手際とバランスも凄すぎる。
脚本の洗練度合いが群を抜いていましたね。
(508文字)


Ribbon


鑑賞した日:2024年2月28日
鑑賞した方法:Netflix

監督:のん
主演:のん
公開年・国:2022年(日本)
リンク:
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B09RPY9F6Y/ref=atv_dp_share_cu_r

▼140文字ブリーフィング:

「のん」さんが監督した映画です。
ネトフリで見られるようになったので鑑賞しました。
ひとことで言えば「コロナ映画」ですね。
コロナで大学が休校になり、
美大生の主人公は卒業制作が頓挫する。
そのなかでも「芸術したい!」という内発的な叫びを描いた映画です。

のんさんは常に素晴らしいし、
映像も綺麗です。
しかし、それ以上ではない、という感じが私はしました。

映画が全体としてPV映像のような芸術性で、
ロジカルというか、構造的な脚本ではないのですよね。
これは好みの問題なのですが、
感性に振り切った映画よりも、
どちらかというと数学的に組み立てられた脚本のほうが好きで、
それに感性が乗っかると最高、というような鑑賞者なので、
のんさんの感性に、理系の脚本家が加わると、
とても良いものができそうだなーとか思っちゃいます。
いや、のんさん自体は好きなのだけど。
(346文字)

そばかす


鑑賞した日:2024年2月2日
鑑賞した方法:Netflix

監督:玉田真也
主演:三浦透子、前田敦子
公開年・国:2022年(日本)
リンク:
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0C5K3SJ6Q/ref=atv_dp_share_cu_r

▼140文字ブリーフィング:

これも妻と見ました。
一回、ひとりで見て、
千葉旅行のときに妻と、
「これはマジで良いから見よう」と、
私は二回目を見ました。

セクシュアルマイノリティのなかでも、
ゲイやレズビアンやバイセクシュアルとも違う、
「アセクシュアル」という方々がいます。
性指向が誰にも向かない、という方々です。
ゲイやレズビアンほどに数が多くもないし科学研究も進んでいないのですが、
これもおそらく異常でも病気でもなく、
生物学的基礎があると思われます。
というのはまったくセックス(生殖)に興味を示さない個体は、
動物界にも一定頻度で観察されるからです。

さて。

この方々からみるとゲイやレズビアンですら、
「多数派」だと感じるつらさを抱えます。
三浦透子さん演じる主人公の「そばたかすみ」さんは、
「アセクシュアル」というフレーミングを持っていません。
つまり自分がセクシュアルマイノリティという自覚がおそらくない。
ただ、みんなが「誰か好きな人いる?」「結婚はまだ?」と言う、
意味がまったく理解できない、ということに苦しむ。
家族すらそれを理解していない。
妹が「分かった!お姉ちゃんレズビアンなんでしょ」という。
「そうよ」と言えたらどんなに楽だろう、
と彼女は叫びたかったことでしょう。
惹かれるのが異性か同性か、という以前に、
「(性的・恋愛的に)惹かれる」ということの、
意味がそもそも分からないのですから。

周囲が異性愛規範(性別二分法)、
および「性愛は誰もが持つもの」という、
無自覚な規範を押し付けてくることに、
なんとも言えない息苦しさを覚えながらかすみは生きる。
あらゆる人間関係に、
「性愛」の匂いが立ちこめているこの世界で、
自分はどこにも居場所がないように感じる。

劇中、三人だけ、彼女を理解する存在が現れます。
ひとりは前田敦子演じる元セクシー女優の幼なじみ、
もうひとりは鬱病で休職中の父親、
最後は(ネタバレになりますが)、
ラストシーンで登場する同じくアセクシュアルの男性です。
全員が「普通の人」の集まりとしての社会に居場所がない人々です。

私はアセクシュアルの当事者の方とお会いしたことがあります。
「今はパートナー(同じくアセクシュアル)と暮らしている」
と仰っていました。
そのとき私は、アセクシュアルの方は、
そもそもパートナーなんて必要ないんじゃないか、
とちょっとだけ疑問に思ったのですよね。
(もちろん口には出しませんが)

鑑賞後、私は自分の不見識を恥じました。
本作を見て、完全に腑に落ちました。
アセクシュアルの方は、
絶対に同じセクシュアリティのパートナーといたほうが良いです。
世界にとって自分がどうしようもなく「異物」である場合、
同じような無理解に傷ついてきた人と一緒にいるということが
どれほど救いになることか。
どれほど深呼吸させてくれるか。
(ちなみに今月は扱いませんが映画『正欲』も、
 同じテーマを取り扱っています)
創世記にあるとおり、
「人がひとりでいるのは良くない」のです。

とにかく、三浦透子さんの演技の説得力がヤバいです。
この映画、マジで必見です。
(1,079文字)


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・5枚限定での販売ですので参加希望の方はお早めに。
 もし決済方法などでnoteでは買えないが参加したい、
 という方は直接メールなどでご連絡いただけますと幸いです。
 STORESでの販売も現在検討中で、
 またはメールでの直接連絡による販売も対応できますので、
 参加したいけど決済などの理由で参加できない、
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