面白い推理だね探偵さん、あなたは作家になったほうがいいよ 2

大変に重要なことを忘れていました。
前回、当然のようにわかっているよねって感じで書いていましたが、今回のかぐやSF3で最終選考に残ったと名乗りをあげたのは6人です。

暴力と破滅の運び手さん
糸川乃衣さん
関元聡さん
牧野大寧さん
鈴木無音さん
Takemanさん

本来であれば、まずはこの6人の紹介からスタートすべきでした……。色々と考えずに動いてます、すみません。

前回の作者として名指した、暴力と破滅の運び手さんは、いくつもの作品を発表されています。
「灰は灰へ、塵は塵へ」(VG+)https://virtualgorillaplus.com/stories/haihahaihe_chirihachirihe/
翻訳作品に「Rikka Zine Vol.1 Shipping」に収録されたソハム・グハ「波の上の人生」(橋本輝幸氏との共訳)「Rikka Zine Vol.1 Shipping」 https://rikka-zine.com/rikkazine1/
今話題の『京都SFアンソロジー』にも、「ピアニスト」が収録されています。https://amzn.asia/d/62olROT
自費出版されている作品はこちら→鴨川エッチ研究会 https://brutetaro.booth.pm/
他にも
https://privatter.net/u/violence_ruin
https://www.pixiv.net/users/23127187
などに作品があります。

たぶん、ペンネームとタイトルのバランスを考えていらっしゃるので、暴力と破滅の運び手名義のときにはシンプルなタイトルを選んでいる気がします。だから「叫び」なのかなと考えたのを思い出しました。

ということで、前置きはここまででおしまいにしまして、二人目の作者を当てに行きます。

関元聡さんの作品を当てていきます。
関元さんもまた、いくつも作品を発表されています。

第7回星新一賞優秀賞(日本精工賞)「Black Plants」 https://honto.jp/ebook/pd_30201311.html?cid=ip_ebpd_srslineup_03
第1回さなコン特別審査員賞「手をつないで下りていく」 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15146864
第9回星新一賞グランプリ「リンネウス」 https://honto.jp/ebook/pd_31541669.html?cid=ip_ebpd_srslineup_01
第10回星新一賞グランプリ「楕円軌道の精霊たち」 https://honto.jp/ebook/pd_32350229.html?cid=ip_ebpd_srslineup_01

作風としてはハードSFをお書きになる人、というイメージです。
かぐやSF3でハードSFだと感じる作品は4作品。
「あの星が見えているか」
「月はさまよう銀の小石」
「月面ジャンプ」
「プシュケーの海」

注目すべきは「月面ジャンプ」です。妹が兄を「にいに」と呼びます。
第10回星新一賞グランプリ「楕円軌道の精霊たち」でも、妹が兄を「にいに」と呼びます。
かなり重要な手がかりであるように思われます。

では、作風はどうか。
「プシュケーの海」は違う気がするんですよね(もう推理じゃないよね)。
でもって「月はさまよう銀の小石」も、父と子のテーマってところで、関元さんっぽくはあるんですよね(だからそれ推理じゃないよね)。
また、こういう記事もお書きになっている。
「Sci-Con2023の星新一賞企画に参加しました」https://note.com/sekimotosatoshi/n/nafb7c0c0f589
この記事は星新一賞について書かれたものですが、こういう部分はかぐやSFにも生かされているに違いないと思うのです。

あまりにもマニアック過ぎる内容は避け、一般読者が読んでも受け入れられる内容であること、玄人好みのハイコンテクストな文学性よりも、誰もが楽しめるエンタメをつくることが大事ではないかと思います。

SFとして科学技術を書く場合は、科学技術そのものよりも、一歩進んで、それが普及したことによって人の心がどうなるか、価値観や社会構造がどう変化するかをまず考えるとよいでしょう。

これを参考にすると、「月はさまよう銀の小石」であるなら、パワードスーツについてもっと説明を割くように思うんです。だから、「月はさまよう銀の小石」は違うだろうなと。
しかし、この創作するうえでの覚悟を読めば、「あの星が見えているか」も候補に入ってくるんですよ。
文章の感じでいうと、「あの星がみえているか」は関元さんっぽかったりもする。
しかし、問題は「にいに」なんだよなあ……。
ツイートでは、関元さんは最終に残るとは思わないようにおっしゃっていたんですね、以前。
だから、いつものように「にいに」と書いた可能性はある。また「月面ジャンプ」はかなりエンタメの手法が使われている。現在、関元さんは菅浩江さんが主催する「ネコ乱」で小説の腕を磨いていらっしゃいます。その技術をしっかりつぎこんだ作品だとするなら、「月面ジャンプ」が一番ぴったりとくる。
「あの星が見えているか」は、ゲンロンSF創作講座出身者ではないかという気がしているのです。ゲンロンは藤井太洋さんが講師をしていらっしゃるので、そういう可能性が高いのかなと。

それでも文章とかで考えるとかなり迷ってしまうのですが、エンタメを書くという気持ちを関元さんは大事にしているはずなので、「月面ジャンプ」がその作品であるとします。
たぶん合ってるはず。

ちなみに関元さん、ぼくが大賞を受賞したときに、「いいから結果みて!!」と教えてくれました。
https://x.com/skmt3104n2/status/1434004465305018380?s=20
めっちゃいい人ですよね。

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