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#1 ランドスケープとは?

こんにちは。ヨシタケです。
早速ですが今回は、自己紹介でも何度も出てきた「ランドスケープ」という言葉について、今の私の認識を書き留めたいと思います。
造園など緑のデザインと一緒にされることも多いですが、ちょっと違うと思っています。ではなんぞ。



ランドスケープという言葉

ランドスケープとは、英語で "Landscape" です。
直訳すると「景観」「景色」「風景」などですね。
実は、これらの言葉も実は少しづつ意味合いが異なります。

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景観とは?

中村良夫先生いわく、

「景観とは人間をとりまく環境のながめにほかならない」

(土木工学大系 景観論, 中村良夫ほか, 1977)

ここで「ながめ」とは眺め、いわゆる景色に近い言葉です。
ただし、景色とは環境=身の回りの複数の要素の構成の物理現象としての見えです。

一方で、人が何かを見るときには、その人のコンテクストによってその物理現象の受け取り方は異なります。
例えば、山の景色を見たときに植物に詳しいくない人は山の輪郭や山肌の様子が認識されます。ところが、詳しい人には木々の種類が把握され、一本一本が生物として認識されうるというようなことです。

つまりは、
景色を見る自分と景色の関係性(見え方+とらえ方)そのものが景観
という事になります。


景色を見ている自分とは? 風景とは違うの?


ここからさらに難しくなります。笑
とらえ方というのは個人による主観性の強いものですが、
同じ文化や風土の中で育った人は、共通する傾向があると考えられます。
そこで「景観」は、景色をとらえる際の個人の主観(内的)よりも客観的(外的)な側面に重きを置いています。
客観的な側面とは、平たく言うと社会のシステムのようなものだととらえられるでしょうか。

一方、「風景」という言葉は、その言葉自体に良い評価が含まれていますよね。ゴミ屋敷の風景とは使わない。そのため、こちらは美醜の判断も含めた主観を優先した言葉です。


平たくまとめると、

ランドスケープ≒「景観」
「景観」=自分と環境の社会的な関係性(見え方+とらえ方)
*「景色」=環境の見え方、「風景」=景色の主観的な(良い)とらえ方

ですかね。

もちろん在学中勉強しましたが、卒業論文や修士論文執筆時にもとても言葉の扱いには悩みました。これが正解ではないと思いますが、なんとなく理解してもらえたら幸いです。

これからランドスケープデザインについて語るのには、
「関係性」という言葉が非常に大切なキーワードです。
ぜひそこだけでも覚えて帰ってください。笑


それではまた。

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