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いわき、清水に2対3で惜敗

明治安田J2リーグ 第10節

 サッカーのいわきFCは13日、ホームのハワイアンズスタジアムいわきで首位の清水エスパルスと対戦し、2対3で敗れた。いわきは前半開始早々に2失点。その後はボールを保持して攻め込み、西川が22分にゴール中央からミドルシュートを沈めて1点差に。68分にクリアミスから追加点を奪われるも、谷村が80分に山下のCKからダイレクトシュートを決めて追いすがった。昨季は2戦続けて大量失点した伝統クラブを相手に、確かな成長を示したいわきは、通算成績を3勝4分3敗とし、勝ち点は13のまま。次戦は17日にハワイアンズスタジアムで、YBCルヴァンカップ1stラウンド第2回戦を行い、J1のアルビレックス新潟と対戦する。

王国への挑戦、悔しさと手ごたえと

 いわきサポーターが残した「惜しかった。楽しかった」という簡潔なコメントに、この試合の内容が凝縮されていた。選手もサポーターもモチベーションを高く持ちながら試合に入ったものの、開始早々、北川にディフェンスラインをブレイクされ、ルーカスブラガ、乾と立て続けにゴールを許した直後は、誰もが昨年大敗した苦い記憶を思い出したに違いない。しかし、浜通りはここからしぶとさを見せる。

 前半の得点シーンは、この日も左ウイングバックに入った大迫のアーリークロスから。ペナルティアーク前のスペースを見つけてボールを送ると、谷村が体の強さを活かしてこれをおさめ、西川へ優しく落とす。この日キャプテンマークを腕に巻く西川は、得意の左足を一閃。GK権田にジャンプの暇さえ与えない、美しいシュートが見事にネットを揺らした。3人の個性が見事に調和した得点でいわきは主導権を握り、大逆転への期待感を抱かせた。

 惜しむらくは68分の失点シーン。五十嵐がゴールライン際での判断を誤って、競り合った山原にボールを奪い返された点はもちろんのこと、乾にまたしても中盤から的確なスルーパスを許した点もいただけなかった。ただ、試合の趨勢を決めたかに思われたこの場面から、いわきは再び盛り返す。山口が激しく縦に上下して、清水守備陣に綻びを作り出し、フリーになった山下や谷村からチャンスボールが配給される。谷村の得点もその流れから生まれた。

 谷村の豪快なゴールが決まった瞬間、観客は総立ち。ハワスタが熱狂空間に変貌し、同点、逆転への機運が再燃した。結局勝ち点を得ることはできなかったものの、強大な相手に最後まで立ち向かうファイティングポーズは、見る者の魂を確実に揺さぶっただろう。それはスタンドで大きな声援や拍手を送り続けたサポーターもしかり。ネガティブな感情に負けず、選手を後押しする雰囲気を作った4,000人近くのいわきファンもまた、尊ぶべきチャレンジャーだった。

 「あとちょっとだった」という悔しさと手ごたえを胸に、次戦はJ1クラブとの対戦に挑んでいく。相手は昨季までいわきの主力を張っていた宮本と遠藤も所属する、アルビレックス新潟。「桜いい感じよ」(いわきサポーター)という春爛漫のナイターゲームで、アップセットの花が咲く。今度こそ。


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