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いわき、最終戦で快勝

アウェイで藤枝に4対2、J2初年度は18位

明治安田生命J2リーグ 第42節
 サッカーのいわきFCは12日、藤枝総合運動公園サッカー場で藤枝MYFCに4対2で勝利し、今季最終戦を白星で飾った。いわきは13分、加瀬のクロスに近藤が頭で飛び込み先制点。藤枝が40分に退場者を出すと、後半は数的優位を活かして近藤、山口、永井が追加点を奪った。藤枝のテクニックに苦しむ場面も見られたが、失点を2に抑え、開幕戦の借りを返した。初のJ2挑戦となったシーズンを終え、最終成績は12勝11分19敗の勝ち点47で、18位。来季は20チームで編成されるJ2に、再び挑戦する。

個性活かした3-5-2、来季に光明

 有田、岩渕の名前がベンチにも見当たらず、久しぶりに近藤、宮崎がメンバー入り。いわき市内から声援を送ったいわきサポーター(40代男性)が「スタメンもベンチも来季を見据えてなのか」といぶかしむような構成だった。しかし、スタメンに抜擢された近藤、加瀬が攻守に躍動。テクニックのある有馬とフィジカルに優れた近藤が2トップを組み、この日1ゴール1アシストと出色の出来を見せた山口がトップ下に。右のウイングバックにスピードのある加瀬を配置した一方、左には低めの位置から長短のパスを配給できる山下を入れた。3バックにはヘディングの強い家泉、遠藤、速水をチョイス。最後尾にはチーム最年長の田中を据え、選手の個性を活かした布陣で、効率的に得点を重ねていった。

 田中が開始直後の5分に、相手FW矢村と迎えた1対1の場面でビックセーブを見せなければ、試合展開はまったく違ったものになっていたに違いない。ただ、この試合のメンバーはほとんどが自分の特色を出せるポジションで出場していたため、チームとしての結果はどうであれ、選手個人としては最大限のパフォーマンスを発揮できていたのではないか。そう思わせるほど、田村監督の人選は理に適っていた。約3か月に及ぶシーズンオフの間にチーム編成はまた変わっていくが、選手の長所を組み合わせれば、来季も十分に戦えることを示した、実りある最終戦となった。

ありがとういわき、ありがとうJリーグ

 長かったシーズンの全42試合を終え、最終結果は18位。J3とは異なり、フィジカルでそこまで優位に立てないJ2では、いわきのストロングポイントだけで押し切ることは難しかった。それでも村主前監督が築いた土台に田村監督が修正を加え、けが人の復帰とともに徐々に勝ち点を拾っていったことで、最終的にはJ2残留を決めた。人件費は1.9億円程度で、リーグ平均の6.8億円には遠く及ばない(※数字は2022年度)。クラブの本格始動から8年、Jリーグ加盟から2年という短さも考慮すれば、十分な結果だろう。

 何よりサポーターの数が格段に増えた。今節と昨年8月の藤枝戦を比べれば、その変化は一目瞭然。統率の取れたコールに、豪快にたなびく大旗。アウェイでも存在感を示す、映画『フラガール』から飛び出してきたトヨエツこと豊川悦司さんの赤い大弾幕。さらに地元経済界の強烈な後押しも受け、「オレげの街のチーム」は加速度的な成長を遂げている。藤枝に2年続けて参戦したという小学生のいわきサポーターは、今節も藤枝ラーメンに藤枝サイダー、ロングポテトを味わい、「楽しかった」とコメント。学校の日記にも試合のことを書きつけたという。

 19もの敗戦を経験しても、サポーターの愛は深まるばかり。来年はもっと多くの人を巻き込んで、浜通りの魅力を高めてくれるに違いない。まずは2023シーズン、我々を楽しませてくれたいわきFC、そして遠方から浜通りへ足を運んでくれた他クラブの選手とサポーター、Jリーグの関係者に心から「おつかれさま」と「ありがとう」を贈りたい。








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