時代の転換点

アフターコロナの世界の議論が始まっている。
VR世界の発達、ドローン運送の加速、テレワークの普及など、働き方や教育のあり方まで言及され始めている。

これら変化は間違いないとは思う。10年かかるはずのことが、この数年で一気に実現する可能性が出て来ている。

でも、僕はそれは本質的な話ではないのではないかと最近思い始めた。
もっと、根本的な根源的な変革が、人類にもたらされる気がするのだ。

この数百年に渡り、当然と考えられていた、社会のフレームワークが大きくパラダイムシフトをする転換点になりうると考える。

それは欧米型民主主義統治への疑義だ。

今回の自然災害に対する中国やシンガポールの対応の速さと、欧米のそれを比べたら明白だ。中央集権型統治国家が、迅速に対応出来たのに関わらず、民主主義体制の国々は、世論への忖度が意思決定の正確さと速度を鈍化させる。

そもそも、中央集権統治の危うさは、意思決定フローにおける情報の不透明さにある。統治側からすれば、現場で何が起きていて、国民が何を考えているかを正確に把握するのが難しいゆえに、適切な判断が出来かねるのだ。

毛沢東による大躍進政策での鉄製造の失敗が分かりやすい。伝言ゲームのように情報が上に伝わり、途中で歪められて伝達してしまうのだ。それによって、意思決定に誤りが起こる。

統治される側も、為政者側がいま何をしているかを、把握することが難しく、適切にクレームや賛同をすることが出来なかった。

そういった中央集権的な欠点を、インターネットは補完してしまったのかもしれない。

むしろ、中央集権による権限によって、国民の正確で大量な情報をダイレクトに収集し、ビックデータとして分析することを可能に、AIが意思決定を補助することも出来る。

逆に、為政者の一挙手一投足の情報は、多少の誇張や歪みがあったとしても、国民はそれを監視することが出来てしまう。為政者の過度な暴走はもう出来ないのではいか。

つまり何が言いたいのかというと、
テクノロジーと中央集権型統治はすこぶる相性がいい、ということだ。

特に今回のように、生命に関わる緊急事態時において、その強さがより明白になってしまった。世界経済が停止していく中で、中国がいち早く回復を見せるのであれば、その強さはより顕著に周知されていくはずだ。ちなみに、リーマンショックから、どこよりも早く立ち直ったのは中国だ。

産業革命が欧州で起こった理由を、地政学的に説明しているのを読んだことがある。欧州は寒くて、土壌が弱く、穀物を栽培するのに不利な場所だった。

一方アジアは、暖かく、土壌に恵まれていた為に、長い間世界経済の中心だった。

早い話、パンと米の違いだ。欧州では、小麦を引いてパンに加工する手間があるが、アジアは米をほぼそのままの形で食すことが出来た。

そういった過酷な条件下の為に、植民地を獲得するインセンティブが生まれたし、1人あたりの生産性を高めざるを得なかった。それが産業革命を誕生させた背景だと。

皮肉なことに、現在においては、この立地がより状況を悪化させる要因になっている。今回の疫病は、気温と相関関係があると言われており、高緯度地方に位置する欧州は、その気温が流行を後押しさせてしまっているとも言われている。

今世紀の後半には、民主主義に対する懐疑心が生まれるのではないかとは思っていたが、今回の件がきっかけで、この数十年のスパンの間で、強く激しい議論が巻き起こるのではなかろうか。

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