事件事故

ネットワークが人間の意識の深くまで根を張りつつある。

仮想空間に散らばる写真は1秒また1秒と時が進む度に、
大量の情報による波によって流されている。
日々の行動範囲を超えた大量の情報は、
自分自身の存在価値を大きくぶらす。
誰しもの全ての感覚が、
体験した気になって通りすぎてしまう。

だからこそもう一度、写真の存在が曖昧な今、
写真に触れた者にとっての基本的な問題を、
もう一度考えるべき時代に立たされているのではないか。

忘れられた現実を、もう一度再確認するための濁流。

ハーフカメラ
Olympus pen-FT + Nikon 55mm or 105mm

パソコンの画面をハーフカメラで撮影する。

コンタクトシートにする。

それをさらに複写し、大きく引き延ばす。

参考
 トーマスルフ、べッヒャー夫妻 タイポロジー・巨大化
 森山大道 写真さようなら
 トゥルーマン・ショー、マトリックス 仮想空間
 ネットによる情報過多
 記憶、印象、情報、過去、記録、虚構、消費、共有、共感


膨大な写真が溢れる中で写真は何を提示するのか?
今だからこそ撮れるスナップ写真とは何か?

ネットワークというものが人間の意識の深くまで根を張りつつある。
SNSや動画サイトに広がる他人の写真や動画によって、
それを「体験」をしたきになってしまっている。「体験」はしていても、
その場の雰囲気や情感、反省などの認識を伴った「経験」をできているのか?

誰もが機材をそろえれば、写真もそうだが、絵や映像、音楽など、
ある程度は綺麗なものが作れるような時代になった。
しかしその反面、SNSやインターネットによって
ただただ消費されては消えていくという状態にもなったとも思う。
(ツイッターやインスタグラムなどのタイムラインに一瞬出ては、
その後、誰も知らないうちに消えるような状態。)
まるでそれはポテトチップスのようで、食べる前からどのような味かわかっている状態で、
食べているときは無心、食べてしまえば終わってしまう。
さらには、見ただけでその風景などを体験した気になって終わってしまっている。
この先絶対に出てくるであろう、五感すべてを使うVRのようなものが出てくれば、
誰しもの全ての感覚が、体験した気になって終わってしまう、
つまらない状態になっていくだろうと思う。
そう言った状態を考えていると、
それが本当に写真であっても、映像であっても、音楽であっても、
簡単に消費して消えてしまっていることを
何の疑問も抱かないのだろうか?と考えてしまう。
さらには、有名だからすごい、みんなが言っているからすごいみたいな、
人との距離がSNSによって距離が縮まったからこそ、
周りの訳の分からない人たちの作る広告やキャプションなどに惑わされ、
本質から遠ざかり、全てが曖昧な感じになってきているようにも感じる。
だからこそもう一度、写真の存在が曖昧な今、
写真とは何か?なぜ写真を撮るのか?といった、
写真に関わる者にとっての基本的な問題を、
もう一度考えるべき時代に立たされているのではないかと思う。

今あなたが見ている世界が世界の全てではない。
しかし、他人のプライバシーや真偽の不明のニュースなどの
日々の行動範囲を超えた大量の情報は、
自分自身の存在価値を大きくぶらす。

人間はひとくきの葦にすぎない。
自然の中で最も弱いものである。
だが、それは考える葦である。

世のメディアには、やらせや再現ドラマ、劇的なニュース番組、防犯カメラや車載カメラ、
空撮などリアルな映像がリアルタイムの溢れ、
視聴者は椅子に座ったままパソコンやスマートフォンなどからそれらを観て
少なからぬ影響を受けている。

よほど気を付けていないと、視野は一人でに狭くなっていく。
日々の行動範囲を超えた外側に広い世界があると想像することは難しいことだ。
日常のルーティーンはあっという間に思考を侵食し、価値観を固定させてしまう。

発展したマスメディアを強烈に批判しながらも、
それを見て楽しんでいる受け側にも問題がある。
プライバシーをおもちゃにすることは絶対に許されないが、
人のプライバシーを覗き見ることほど楽しいことはないという矛盾。

写真も画像もフィルム上に焼き付けることで同質のものとして扱うことができるようになり、コンセプトを構築するためのひとつの“素材”となる。

人との距離がSNSによって距離が縮まったからこそ、
周りの訳の分からない人たちの作る広告やキャプションなどに惑わされ、
本質から遠ざかり、全てが曖昧な感じになってきているようにも感じる。
だからこそもう一度、写真の存在が曖昧な今、
写真とは何か?なぜ写真を撮るのか?といった、
写真に関わる者にとっての基本的な問題を、
もう一度考えるべき時代に立たされているのではないかと思う。



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