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読書感想 ~オルタネート~

先日まで開催されていた夏の新潮文庫フェアを
キッカケに小説を読み漁っています。

今までは昭和や平成に出版された作品を
読み続けてきました。次は令和になってから
登場した作品を読んでみたくなったのです。

最初に読んだ幽世の薬剤師は令和に出版されて
いますが、登場人物の価値観は今風とは違います。主人公は大人ですし。

だから、実際に発行されただけでなく、
登場人物の背景も令和に生きる人物の作品がどんな内容なのか知りたくなりました。
そこで手にとったのが「オルタネート」です。


本作で登場するオルタネートは高校生限定の
アプリで、インスタグラムとマッチングアプリを融合させた感じです。

日々の高校生活での出来事や自分の好きなことを投稿しつつ、気になる高校生の異性と出会うためのツールです。

私の高校生であった時と違って、今の高校生は
スマホを当たり前のように持っていて、
SNSを使うのが生活の一部なのだと思えます。

さらにスゴイと思ったのは、自分に合う相手を
見つけるためにA Iの診断を使ったり、
同性同士で付き合うことをカミングアウトするLGBTのことも盛り込まれていることです。

これは今までの作品には多分ないでしょう。
明治から昭和のあたりまでに活躍してきた文豪がもしこの作品を読めば、その世界観を理解し難いのではと思えてしまいます。

それどころか、前回読んだ涼宮ハルヒの憂鬱のキャラ達ですら、「何それ!?」と言うのではと思ってしまいます。現代に近くとも、15年以上も経つと高校生活の様相がまるで違ってしまいます。

このように時代が進むとツールと価値観が大きく変わって来るのですが、小説を読み続けると、時代が変わっても不変の原理原則もあるのだなとも気づきます。

それは、家族や友達、彼氏彼女といった人間関係の複雑さに伴う感情の変化、場面の情景描写と登場人物の心理描写はどの年代の作品であっても
読者のココロを刺激してくれます。

高校生は大学進学や就職といった進路に悩んだり、部活動に精を出すのも良いけど。
人間関係の荒波に揉まれて葛藤するのが使命なのかと思えます。

主人公達の台詞と行動、その時に感情を読んでいると、晴れやかな気持ちになったり、モヤモヤしたり、胸が締め付けられたり、この時間がずっつ続いて欲しいと思うことがありました。

エピローグはよくまとまっていて、登場人物のメインが高校生だから台詞と行動の変化が成長を感じられます。青春を過ごす時間は自分を育てるためなのだと思えます。


7月から読み始めていた新潮文庫のフェアで狙っていた純金しおりは残念ながらゲットならずでした。けれど、小説を読み続けることと、その感想や私自身が感じたことをこれからもnoteで綴っていこうと意気込んでいます。これが大きな収穫です。

end☺️

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