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Future Is Born

吉本ばななさん『王国―その4 アナザー・ワールド―』で楓がノニちゃんに言った言葉、
「見たいよ、君の子供も孫ももっと後の子供たちも、なんでもかんでも見たい。君に出会ってはじめて、人類がその祈りをずっと持ってたことが分かったよ。自分なんて小さいものだ、次の人たちにどんどん超えていってほしい、そんなふうに思うなんて。」
4年前、暑い部屋ではじめてこの言葉を読みながら、ナチュラルに「分かる〜〜〜」と思っていた。

きょうだいが私にとってそれだった。

こいつらは、私が見る以上のものを、生きてどんどん見ていってくれる。私の枠を超えて、どんどん生きていってくれる。私が予想なんかつかないところを生きていくだろう。
当時ストレート男性じゃない子を好きだったこともあり、ほんとーにナチュラルにそう思っていた。私にはこれからを生きて超えていってくれる人たちがいる、幸せだなって。

時は流れて今年の4月。
いつものようにCreepy NutsのANN0を聞いてたら「日本語ラップ紹介コーナー」でRHYMESTERの「Future Is Born」が流れてきた。

もちろん知らない曲で、でもイントロからなにか感じるものがあった。きいてた土曜の昼下がり、日が差し込んだ自分の部屋の景色をとっても覚えている。
日本語ラップのシーンを牽引してきたRHYMESTERだからこその曲なんだけれど、なぜか涙が出てきてしまって、よく分からなくて少しびっくりした。とっても好きになって、その後も何度もきいた。きいてるうちにはっと分かった。

そうだ、
私にとって「未来」とはきょうだいそのものなんだ。
私にとってきょうだいが「未来」そのものだ。

これから先も、私じゃ見えないものをどんどん見ていってほしい。きっと今思う未来ではない、でもそれ以上の未来がくるだろう。現実はいつも想像を超えていくから。それをたっぷり味わって、幸せでいてほしい。それを見届けたい。そのための礎にはいくらでもなる。

すばらしい眼差しがつまったこの曲を、果てしなくきいていた。
(その後の「日本語ラップ紹介ライブ」in日比谷野音もほんと、すばらしかったです…!)


なつ美さんに言われた。
「あなたはお母さんになっちゃってるの。
子育ての煩わしい部分を抜いた、これから育っていくのが楽しみっていう無償の愛の部分だけをもう手に入れちゃってるのよね。
だって普通今みたいにきょうだいに『そっか〜もう大きくなってるんですもんね〜〜』とか言わないよ。
もうその愛で満たされちゃってるから、他の縁が入ってくる余地が今ないし、その愛を知った上で今さら男女のほれたはれたに戻れるかは難しいかもしれない。
でも私としては、普通に恋愛して結婚して子供が生まれて、っていう幸せも味わってほしいのね。子供が教えてくれることっていっぱいあるから。
だから、お母さんをやめていくことが大切。」

私は正直、結婚したいのかも子供がほしいのかもよく分からない。
でももう満たされちゃってる、それは本当にそうだと思った。
そして、私がお母さんというのはちょっとピンときていない部分もあるが、私たちのこの感じが少し濃くていびつなのは分かっていた。環境がそうした、そうなってみんなで生き残ってきた。

だから、これからもみんなで生き残っていくためならお母さんでもなんでもやめてやる。生きていてほしい、だから私も自分の人生を生きる。
書いてみて「力んでんなーー」とちょっと笑っちゃったけど、でもどんどん力を抜いて自分の人生に戻って、大切な人たちの人生を大事にしていきたい、そう思う。

これからの「未来」も、この目で見てみたい。

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