知らんけど。

 知らんけど。この言葉最強である。大抵語尾に付け足せばあたかも今までの発言は自分の本心ではないようなニュアンスが生まれる。上辺だけの会話ではよく使うかもしれない。
 コロナが流行り始めて2年が経ち、365日マスクをするのが当たり前の日常になった。マスク美人という言葉ができたのもこの2年間のうちであろう。大半の人の顔が半分以上をマスクで占められ、目の周りの表情で相手の様子を読み取る。こんな状態だと会話も上辺だけになってしまうことが多い。相手の顔色を窺うことが意外と会話の核心を引き出せることもあるだけにマスクという存在はかなり厄介である。
 以前、バイト中に完全にとまではいかないが耳が不自由なお客様の応対をした。その際にお客様が「コロナじゃなければ口元が見えて、自分が伝えたいことが店員さんにはっきり伝えられるのに」と仰っていたことがかなり心に残っている。読唇法という技術があるからというのもそうだが、お互いの表情を窺うことはマスク越しではできない。互いの顔が見えるということがどれだけ必要なことであるか知らされたような気がした。

 電話やメールといった通信技術が発達した今日において、互いの顔を見ながら会話するという機会はだんだんと減ってきているだろう。まだまだマスク越しではあると思うが、お互いに思ったことを言い合えるそんな会話ができるようにしていきたい。と思った今年度初日の夜のことでした。

 p.s. こういうスキルも身に付くからバイトは辞められない。あと3年は続けるつもりです。知らんけど。

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