盆ウィーク

上司がずっと、お盆のことをゴールデンウィークと呼んでいる。
可哀想に。
休暇を剥奪された人間は暦を知らないのだ。

かく言う私も同様に休暇が存在しないので、
「ゴールデンウィークですね」と返す。
だって暦を知らないんだ。仕方がないだろ。
指摘する気力だってない。

ここのところさらに生活が滅茶苦茶になっている。
理由は分かり切ってて、うっかりスパルタ部に所属してるから、なのに驚くほど仕事ができないから、なのに風邪とか引いたから。
それなのに副業をしていて、ついに三足の草鞋になってしまったから。

盆ウィークは電車がガラガラで嬉しい。
駐輪場だってスカスカだった。最近のうちの街では、自転車が大ブームらしく、駅前の駐輪場はいつもオーバーフローしていたというのに。
都心部の人口なんて、本当はこれくらいが適正値だと思う。
でも盆休みの会社から返信が来ないことを思うと、国民全員の暦の方を書き換えてやりたくなる。休むな。働け。都会に戻れ。
いくら快適な駐輪場と比べたって、通常業務が通常に回せる平時がギリギリ勝つ。

昨日は、高校の親友グループのご飯に行けなかった。みんなは盆ウィークと、あとは夏休みなので昼から会っていて、私は夜から合流する予定だった。それすら無理だった。
先週コロナで寝飛ばした分のツケを、まだ払いきれていなくて。
集まった写真にコメントすらできなかった。みんな可愛かった。
でもそこから「次は絶対」なんて口にできなくて挫折した。何月になれば身が空くか全くわからないから。
別所では「これからしばらく、私は死んだと思ってください。連絡はつきません。」とすでに伝えていたけれど、ここにも本当はそう伝えた方がいいのかもしれない。
それを繰り返して、もういくつかのコミニュティでは死んだことになっている。

そもそも盆ウィークがいたからいつまでなのかを知らない。
いつになったら、取引先から返信があるのかを知らない。なんか土地によって違うらしい。
再来週かどこかを盆ウィークに設定して休むらしい。盆ってそんな任意でいいんだ。

本当はいま帰ってきてるはずの、祖父や祖母やモルモットやハムスターのことを想う。
今はちょっと対応できないから死んだことにしてください、なんて、言えるわけないのに。いるなら教えてくれれば、みんなの分くらいは答えるのに。