新卒一年デストロ記

入社の前に1年間、特定社員のXを監視してから入社した。

ここでもし娯楽に着手できてない〜とか、仕事がクソや〜みたいな素振りがあれば内定承諾は一旦考えようかな…と思っていたものの、
めちゃくちゃちゃんと映画や旅行を楽しんでいたので「いけるぞ!」と入社を決意した。

ただしこれ、今になって思うのは、特定社員(n=1)は完全なミステイクであって、もう少しその人を起点として数名分監視しておけばよかったということである。
n=1では、本人が異様にタフ(今回はこれだっった)などのイレギュラーの影響が大きすぎる。
とはいえ、もし該当者を起点に数名見つけられたとして、Xで見つけられる弊社社員は割と人生を楽しんでいる人が多いので、結論は同じだったろうとは思うけれど。

さて。
そんな経緯で入社した自分の近況はどうかというと

・アス…
・チス…
・先輩!やっちゃってくださいよ!
・ギィ…

この4コマンドを交互に連打していたら一年が終わっていた。
はっきりとした人間の言葉を話した記憶はあんまりなく、
先輩に頼る時の声だけ快活明朗、スタッカートで小気味よいものだったはずだ。

とはいえ、それは仕事がハードだから…とか、ブラック企業で…とか、教育が施されなくて….なんてことはなく、
純粋に、仕事というものに対する適性が極めて低かった。
仕事に向いていないことがわかったねアニバーサリーイヤーだ。
人生は本当に、気づきの連続だ。

それなのに精神性だけはどこまでもワーカーホリックで、流れてくる情報が本業(もしくは副業)に少しでも影響しそうかを終始考えているし、
slackだって深夜〜土日まで、小刻みにずっと見ている。なんなら自部署以外の未読もガンガン消して回るので、やけに他部署の近況に詳しい。
入社前からストーカーで、今もそうなのだ。会社に対して。

心臓なんかすっかり会社に捧げているのに、
自分にできることといえば「ギィ…..」しかなく、二児の父である先輩社員の三児目として日々自宅で奇声を上げている。
好きなんだよ、弊社のこと。ぜーんぜん好き。
でも別に弊社にバリューは発揮できないし、このままだと私の先輩は育児疲れでまっすぐ歩けなくなる。社内におけるキーマンを「ギィ….」で潰してしまう。まずい。
こんなにも会社や社会に対して貢献したい気持ちがあるのに、デストロイの才能しかないのは、なんだか純愛系の化け物みたいだ。シザーハンズとか。
でも、バカとハサミは使いようだと聞いたので、いずれ「化け」る日を信じて、明日も、ギィ………

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