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就活セクシズム ー男女二元論編ー

すみません、今、確か、令和ですよね?
就活サイトやスーツ販売店の広告が目に入るたび、そう叫びたくなります。なぜならそこには、大きな「女性用」「男性用」などの文字が踊っているから。
就活関連企業のジェンダー観、私がかつて就活をしていた(しようとして断念した)頃よりも幾分、マシになっていると思っていました。
でも、私の見通しは完全に甘かったみたいです。
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就活関連の情報って、どうしていまだに「女性」「男性」の二元論でもって展開されているんでしょうか?
服装から立ち居振る舞いから、頭から爪先まで「この世にはジェンダーは2種類しかありません!『女性』『男性』です!あなたはどちらに当てはまるか分かるよね?」ってされないといけないんでしょうか?

スーツの形や髪型、靴や鞄、お辞儀の仕方や立ち方・座り方に至るまで、就活にまつわる指南は、はっきりと「女性用」「男性用」の2つに分けられているのが現状です。
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この社会には、様々なジェンダー(社会的な性別)の人々がいます。お馴染みの「女性らしい」「男性らしい」ジェンダー表現*をしている人もいれば、そうでない人もいる。日によって表現が変化する人もいる。ここにはそのすべてを挙げることは不可能で、人の数だけ表現があります。
そんなふうに元々あった多様性が、就活となった途端、大きな力によっていつの間にか無理やりこの『男女二元論』に押し込められるのって、よくよく考えると、異様ではないでしょうか?
なんというか、「人間のジェンダー表現は2種類だけではない」という事実がまだまだ就活業界に浸透していない、というより、就活関連企業によってその事実が意図的に黙殺されているようにしか思えません。その2種類に収まらない人間は、まるでいないことにされているようにしか思えません。

ここまで読んで、「ああ、今話題のマイノリティとかなんとかの話か」と思われる方も多いと思います。しかしこれは、ジェンダー・マイノリティに限った話ではありません。誰であっても、1人1人に、自分のジェンダー表現を自分で決める権利があり、それは、他者から一方的に分類されるものではない、と私は考えています。

冒頭の文章とは矛盾するようですが、「時代が変わったから、就活の服装・マナーも変わるべきだ」という言い方を、私はしたくありません。この『男女二元論』の枠を、他者から押し付けられ、苦しんできた人たちは、以前からずっと存在していたはず。その抑圧の問題が今、この時代になって、ようやく顕在化し始めたというだけのことです。

他者から一方的に「女性」「男性」と分類され、まるで制服のような、性差を強調した服装を強制する。それによって、自分が望まないジェンダー表現をせざるを得ない状況に陥り、自分を見失ってしまったり、自分を無理やり押し殺してしまったり………自身の能力が発揮できないだけでなく、就活どころではなくなってしまう人たちもいます。
今なお続いている「男女二元論に基づいた就活の服装・マナー」が持つそういった暴力性に、どうか、気づいてください。
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働く人として相応しい服装や振る舞いをすることと、自身のジェンダー表現を守ることは、両立します。
就職活動や採用活動は、他人や自身を無理やり「男女二元論」の枠に押し込めずとも、成立するはずです。

どうか、一人でも多くの就活生が、自身のアイデンティティを潰されず生きられますように、
一人でも多くの就活産業に携わる方が、より良い未来を作るために動いてくださいますように。



*ジェンダー表現とは:
自分がどのようなジェンダー(社会的な性別)として振る舞いたいかという表現のこと。と、少なくともこの記事では定義します。「女らしさ」「男らしさ」などは、その一部の例。

*使用画像には配慮をしていますが、不都合がありましたらお問い合わせください。

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