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大叔父と飛行機


 
 私の亡き大叔父は趣味に生きた人でした。模型飛行機をやっていました。自分で飛行機を設計して、木材から加工して組み立てて、プロペラをつけて、河原で飛ばすという趣味です。同じ趣味の仲間たちがいて、大叔父はその世界では有名な人だったらしいです。
 大叔父と話していて、びっくりしたことがあります。そんなに飛行機が好きなのなら、飛行機に乗るのも好きだろうと、私は思っていました。ところが、大叔父は、人生において、飛行機に乗ったのは一度きりしかないそうなのです。大叔父は言いました。
「あんな恐ろしい物、よう乗らん」
 ドローンをはじめ、最近の模型飛行機などはコンピューター制御で安全に飛ぶのでしょうが、大叔父はアナログに生きた世代です。丹精込めて作った機体が、いとも簡単に墜落する現場に、何度も居合わせたのでしょう。飛行機が怖くて仕方がないのですね。
 私たちが平気で飛行機に乗れるのは、私たちが飛行機に詳しくないからかもしれません。
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イラストby TopVectors

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