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仮初

【仮初】一時的なこと。また、そのさま。

私は、野球が大好きだった。

小三から地元のチームに入り、仲間にも恵まれた。
そして、なにより体格に恵まれた。
みるみる背が伸び、ぐんぐん力がついてきた。
しかし、技術は大して上達しなかった。
五年生になれば、ほぼ毎試合のようにマウンドに上がった。
キャッチャーめがけて思いっきり投げるのが楽しかった。
投球フォームなど教わった記憶はない。
背が高くて球が速ければ投手、ちょっとぽっちゃり体型は捕手
と決まっていた時代なのだ(嘘)
一日に3~4試合組まれることもあり、投球制限もなかった(本当)
なんてったって、「水飲むな」世代なのだ。
そんな中、投げるのが楽しくて楽しくて仕方なかった当時の私は、
投げたいアピールがうまかったのか、1日三試合投げたこともあった。
相当な球数を投げいていたが、勝てば疲れなど吹っ飛んだ
(・・・今思えば、肩肘の疲れは飛ぶ訳がないのだが。)

「大好きだった野球」は、とりあえずここまで。

中学生になり野球部に入部した。
やはり体が大きいので投手。
二年生の春、肘に違和感。
我慢して投げていたが、肩にも痛み。
夏前に耐え切れず先生に告白。
どんなに走って鍛えても、力任せのフォームでのツケは回っていた。
電気治療やら、マッサージやら、灸やら、針やら、揉み?叩き?
摩り?気功?ツボ?・・・
当時の口コミ治療を信じて、あちこち通ったが痛みは治まらず。
なんとか諦めずに続けたが、最後までマウンドに立てなかった。

高校では野球を断念し、陸上競技に転向。

小学校の作文で書いた「甲子園出場!」の夢は儚く散った。
今思えば、野球が楽しくて仕方なかった時間は「仮初」だった。

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