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rufus『Introdufus』リリース20周年を迎えて


rufus(ルーファス)という名義でSecond Royal Recordsから初めてのCD作品『Introdufus』をリリースしたのが2003年9月6日という事で、2023年9月6日でちょうど20年になった。

僕は2000年頃から自分のソロユニットにrufusという名前をつけて音楽を作り始め、何枚かの作品をリリースしてライブも沢山やった後、2011年2月リリースのコンピレーション『SECOND ROYAL VOL.6』への参加を最後に、様々な理由が重なって徐々に活動をフェイドアウトさせた。そしてスライドするように他のアーティストのプロデュースや作編曲家としての活動を始め、今に至る。現在はrufusとしては継続的な活動もできていないので、20周年という節目に対して「めでたい!」という気持ちはあまり湧かないのだけれど、それでも初めて自分のCDをリリースしてからそんなに月日が経ったのかと思うととても感慨深いので、少し振り返ってみようと思う。

rufus『introdufus』のジャケットデザイン

90年代の終わり頃、京都の大学に通っていた僕は楽器も弾けないのに背が高いからという理由だけで誘われたboys&girls togetherというバンドでベースを弾いていて、そのバンドが「Second Up Vol.2」(クラブイベントSecond Royalの前身パーティー)に出演したことがきっかけで、その後レーベルを立ち上げることになるDJでオーガナイザーだった小山内信介君たちと知り合った。

毎週のように京都メトロなんかのクラブイベントに通ううちにSATORU ONOさんや当時SWINGSETをやっていた橋本竜樹さんと知り合い、彼らが宅録で自分で音楽を作っている事にすごく影響を受けた。僕もそれを見て4トラックのカセットテープレコーダーと借り物のギターを使って自分で曲作りをするようになった。竜樹さんとSATORUさんにレコーディングを手伝ってもらいながら完成させた曲でSECOND ROYALの最初のコンピレーションに参加して、その流れで単独CDを作る事になった。そうして生まれたのが『Introdufus』だった。

リリース当時のフライヤー

さて、この『Introdufus』という作品、自分では今聴くのは本当に気恥ずかしい。それは自分で歌っているからだ。自分の声というものはいつまで経っても慣れない。20年経ってもそうなのだから一生そうなのだろう。楽曲やアレンジは今聴いても好きだ。CDが出ることが前提になった次の作品以降は、人気曲にしたいとか盛り上がる曲にしたいとか欲みたいな意識が芽生えていたけれど、まだこの頃の楽曲にはそういうのが一切ない。ひたすらワクワクしながら自分がその時に良いなと思うメロディーを作って、自分の好きな音楽と交信していた。こんなピュアな音楽との向き合い方は今も昔もこの瞬間にしかなかった。

それにこの作品を作るのに、たくさんの人たちが関わってくれていたことも記しておきたい。レーベルの小山内君、プロデュースやアレンジ、ミックスなどで尽力してくれた竜樹さん、ギターを弾いたり自宅をレコーディングに使わせてくれたSATORU ONOさん、トランペットのSSPの伊藤さん、ジャケットデザインをしてくれたナヲさん、アーティスト写真を撮ってくれた岡田陽子さん(写真を撮ったのは小山内くん説も、とにかく3人で南禅寺に行った記憶)、マスタリングエンジニアの瘋癲の故・藤谷正樹さん、レコーディングでもドラムを叩いてくれた南くん、ベースを弾いてくれた近松くんはじめ当時のライブバンドメンバーとして支えてくれた福田くん、今堀くん、そしてリミックスしてくれたHALFBY高橋さん、この場を借りて改めて本当にありがとうございました。

当時、CDを買って聴いてくれた方々、それを売ってくれたCDショップの方々、イベントに呼んでくれた全国のオーガナイザーの方々にも感謝します。今も持っていてくれてる人はいるだろうか。もう聴き返すことはなかったとしても、誰かの
CD棚の片隅に懐かしいものとして今でも並んでいてくれたら、それだけでも嬉しい。

当時20代前半の何者でなかった僕にとって、曲作りもレコーディングもCDを出すことも、クラブで踊ったりレコードを買ったりする事と並列の「遊び」のひとつだった。音楽と接している時は、なんの悩みもなく楽しかったし、成り行きに任せて気楽にやっていたんだと思う。

それから月日は流れ、活動を続けていくうちに世の中や周りの環境も変化し、自分が作りたい音楽に対する考え方が根本的に変わり、「遊び」から始まったrufusとして作品を出したりライブをする意味は、自然と自分の中で小さくなっていった。それで良かったんだと思う。なんなら悩みながらも今の方が楽しんで自分らしい音楽を作れているし、そうやってこれからも変化しながらゆっくりとだったりあっという間にだったりしながら時を重ねていくのだろう。

20年前にひとつ目印を作った。振り返ればいつもそこにあるこの『Introdufus』という作品は、僕の20代のモラトリアムで少し遅い青春そのものが記録されたものとして、少しずつ遠ざかっていきながら、今もキラキラと輝いている。

そして最後に、せっかくの節目だしもう一度rufusで何かできるかなと考えている。音楽活動20周年。振り返るなら今だ。最初に「めでたい!」とは思わないと書いたけれど、やっぱりめでたいよね。この文章を書いていて20年という時間を少し受け止めることができたような気がする。ライブをする?新しい音源を出す?いや相当重いぞ、この腰は。でも少し考えてみる。いや、その前にとりあえず古い友人たちに連絡しよう。

あれから20年も経ったよ!って、やばくないか?

※Second Royal Recordsの小山内くんが写真や資料を提供してくれたので追加しました。ありがとうございます。

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