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「日産の会議」についてのまとめ

「日産 驚異の会議 - 改革の10年が生み落としたノウハウ」という本を読んで日産社内で実践されている会議についていろいろ知ることができたのでそれをまとめてみます。

ネタバレ要素もあるかと思いますので、本を読む前に中身を知りたくない!という方はぜひブラウザのタブを閉じてください...

この本自体は2012年発行なので、少し昔のものになります。今も日産がこの本に書かれているような会議を行っているかは正直わかりませんが、本書からいろいろ気づくことがありました。また、自分は大企業に務めたことがないので、「大きな企業だと会議周りでこんな問題があるんや」という意味での気づきもありました。

ちなみにちょっと前までいろいろ世間を騒がせていたカルロス・ゴーンさんはあまり本の中では出てきません。改革を推し進めた、ということは書かれていますが、会議の内容やルール自体は日産社員が他の企業のやり方などを元に編み出したみたいです。

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V-FASTとDECIDE

日産の会議では、大きな課題に対してじっくりと解決策を協議する会議、通称DECIDE(Define and Estimate + Create a team + Improve / Innovate + Deploy + Evaluate)と、すぐに対処できる問題に対して素早く解決策を決める会議、通称V-FAST(Value-up FAst Solution Team)の2つのタイプがある。

DECIDEの場合は連続ではないにしろ数日かけて、V-FASTの場合は一日で結論を出すということですが、V-FASTでも一日ほぼずっと会議するらしく、先日読んだGoogleとのギャップに少し驚きました。

もちろん日産で行われている会議すべてがこの2タイプのどちらか、ということではなく、もっと短い会議もたくさん行われているとは思います。あくまで決められた手法で行う会議をここでは「日産の会議」と称し、そのタイプとして上記のように2つある、ということです。

様々な可視化ツール

系統図:
一つの問題に対して「なぜ」を突き詰めることにより出来上がるツリー構造の図。問題の原因の切り分けなどの可視化が可能になる。

親和図:
アイデア整理のために用いられる。ある問題解決に関する提案のうち類似するものをまとめる。

ペイオフ・マトリクス:
解決策の優先順位を決めるために用いられる。複数の解決策を実現性と実効性という2つの軸でわけ、それらの数値からそれぞれの解決策を評価する。

本の中には他にもいくつかツールやテンプレートがでてきます。

意思決定者は会議中不在

意思決定者は会議の冒頭に課題に対する思いの表明と課題への質問に対する回答、そして会議最後の採用判断の決定以外、討議中はずっと付き合う必要はない。

メリットとしては意思決定者の顔色をうかがったり、発言にバイアスがかかったりすることを防ぐこと。そして一般的に職位の高い意思決定者を一日中拘束することがない、という点。

議事録を作らない

上記の様々な可視化ツールや結論が書かれた課題達成計画書という目に見えるものに会議の内容を落とし込んでいるため、それらをデジタルカメラで撮るだけで、特別議事録というものを作らないのが日産の会議。

これにより議事録を作成するプロセスで起こり得る、結論のわん曲やダブルスタンダードといった問題を阻止することができる。

発言者の名前は書かない

会議中に作られたポストイットなどあらゆる文書や模造紙、表には一切発言者の名前は載せない。

「誰のアイデアか」を問わず、それに左右されないという趣旨で、これはGoogleの本でも似たようなことが書かれていました。