ルービックキューブは何秒で解けたらスゴイのか

こんにちは。スピードキューブトレーナーのShuheiです。

突然ですが、みなさんルービックキューブを解けますか?
解けるとすれば、何秒で解けますか?

・いやいやタイムを競うどころかそもそも解けないよ
・タイムを競うことばかりが楽しみじゃないだろう
・昔ちょっとだけ遊んだけれど辞めちゃった

いろいろな方がいると思います。

今回はそんな中でもごく少数のマニア、スポーツ競技として極限までスピードを追究している私たちスピードキューバーの感覚をお伝えします。

何秒?なんて大雑把すぎる

まず、自分でこの記事のタイトルを書いておいてなんですが、「何秒」という単位で捉えることがそもそもナンセンスです。
2019年7月にオーストラリアで行われた世界大会2019決勝戦を見てみると、優勝者のタイムは6.74秒、2位は0.04秒差の6.78秒。
4~6位は文字通り0.01秒刻みの戦いでした。

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いきなり世界トップ選手を持ち出されてもよくわかりませんか?
では、もっと一般的な競技者のタイム分布はどうなっているのでしょうか。

10秒を切ってからが本番

スピードキューブ競技の公式ランキングはWorld Cube Association (WCA、世界キューブ協会)というNPOによって統括されています。
先程は優勝争いをするトップクラスだったので、今度は少し下の世界100位を見てみましょうか。

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なんと、96位から100位までは同タイムの7.49で横並びとなっており、もはや0.01秒の単位には収まりきっていません。

本稿執筆時では、6秒と7秒が世界レベルの境目だと覚えておいてください。
陸上の100m競技をイメージしてもらうとわかりやすいですが、トップレベルにおける1秒というのはとてつもなく大きな差です。
スピードキューブで言えば、1秒間にキューブは10回転します。

では、桁を増やして世界1000位を見てみましょうか。

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世界1000位は9.34でした。
ちなみに、この少し上に私がいます。タイムは9.30と0.04秒しか変わらないのに、ランキングは50位近く上昇しています。同タイムの人数も多く、このあたりがボリュームゾーンになっていることがわかります。

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世界トップの6秒に比べると10秒は遠く及びませんが、13万人の競技者のうちの上位1%が1300位であり、10秒以下の記録を持っている人の数とだいたい一致します。
10秒以下でルービックキューブを解ければ、けっこうスゴイ」と言えるのではないでしょうか。

かつては10秒を切るためには2~3年かかるとも言われていましたが、最近のセンスが良い子どもたちを見ていると練習をはじめて1年未満でサクッと達成してしまうこともあります。
進化のスピードが速い業界では、かつての常識はもはや通用しません。

初心者はまず30秒を目指してほしい

ここで記事を終えてしまうと10秒以下はみんな遅いということになってしまいますが、それはあくまで世界トップレベルを狙うならという話。
陸上の競技人口のほとんどは趣味として楽しむ市民ランナーであるように、日常的にスピードキューブを楽しむという視点ではどうでしょうか。

私としては、まずは30秒を目指してほしいと思います。
全競技者13万人のうち、半分の6万人程度が30秒の記録を持っています。
まとまった練習環境があれば1~2ヶ月で達成でき、腕前を披露すれば普通の友達からは信じられないという驚きのリアクションが得られることでしょう。

さらに、20秒を切ればまた一段と成熟してきます。
詳しい技術や上達ロードマップは他の記事に譲るとして、20秒というのは現代スピードキューブの基礎知識を一通り獲得したレベルです。

このあたりから、10秒クラスの人が何をやっているかがなんとなく理解できるようになってきます。
今まで魔法に見えていたことが要素技術に分解され、理解できる楽しさ。
それは同時に、深い深いスピードキューブ沼への第一歩でもあるのですが…

モデルケースとして、私の大学後輩の事例を挙げましょう。
彼は始めてから2ヶ月程度で30秒程度になったところで初めて大会に参加し、その後2年かけて20秒切りも間近です。

画像は彼の成長推移。2017年の初参加からじわじわ成長しているのがわかります。オレンジ色は自己ベスト更新の意味。小刻みに成長を実感できるのがモチベーションになるようです。

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また、このくらいの実力になると別の競技も楽しめるようになります。
一般的な3x3x3キューブ以外にも大会では多くの種目があるのですが、それらを楽しむ基礎体力がついた状態といえます。
彼も3x3x3目隠しを見事成功させてくれました。

何秒で解けたらスゴイ?

結局の所、昨日の自分より少しでも速ければスゴイ!が答えです。
自身の成長をタイムを通して実感できるのがスピードキューブの魅力です。
毎日タイムが伸びるわけでもなく、時には調子が悪いこともあるでしょうが、それでも自己ベストを出したときの興奮や喜びは格別です。

気がつけば「何秒で解けたらスゴイ?」なんて打算はどこかに消え、毎日キューブに向き合うようになっていくとき、あなたはもうスピードキューブの魅力に取り憑かれているのです。

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