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VTSが好きすぎてスキップで進んでたら、原っぱに来てた<前編>

「VTS ー Visual Thinking Strategy」
ニューヨーク近代美術館(MOMA)で開発された、美術鑑賞法。
最大の特徴は、作者や作品名、時代背景等のキャプションは一切明かさずに作品を鑑賞すること。鑑賞者が絵の中に何を見つけ、そこから何を感じ、考えたのかを一番大切にしている。
日本語に訳すと、「対話型アート鑑賞」。

大学の授業でたまたま知った、VTS。
それも抽選で15人しか枠がなかったから、まさに運命の出会い。

記念すべきその授業の1回目は、先生のwifi環境が悪すぎて声がとぎれとぎれ、ほんとに宇宙との交信みたいだった。

「日本語のリスニングに必死で内容入ってこない、、これは大変な授業になりそう、、」

まさかこれが大きな出会いになるとも知らず、パソコンに距離0センチで耳をくっつけて音を拾ってた。
2回目以降は先生がだいぶ改善してくれたおかげで、だんだん声が宇宙から地球に近づいてきて、無事に同じ惑星で会話できるようになった。

そんな感じではじまった授業。
3か月の間にVTSの観賞とファシリどっちもやってみて、もうとにかく楽しかった。

作品の中に何が見えたのか、他者の解釈を聴くことでまた新たなものが浮かび上がってくるし、自分の解釈の根っこをファシリの力を借りながら探ることで自分の考え方の「クセ」も知れる。
どうしてそう思ったのか、その根拠に自分でも気づいていないことってけっこうある。だって、そういうもんでしょ?がVTSには存在しない。
根拠を必ず示さなければいけないから!むずかしい~。

それと、アート作品の捉え方にも、大きな変化があった。

もともと、正解なんてないんだから。
わたしなりの見方で楽しんでもいいんじゃん。

でもそうはいっても、鑑賞後気になって美術史を調べてみたり。
美術館をチェックしたり。気づけばアートが遠いものではなくなっていた。

そうそう、アートをこう解釈している人がいた。
「作品と人の間に起こる不思議なコミュニケーション」

ならば、VTSをやっているとき、わたしたちはみんなアーティストだね。
友人が言っていてそれ素敵だなあと思った。

そんなこんなですっかりVTSに魅了された私は、この気持ちを誰かと共有したい!と思って、会う人会う人に食い気味にその良さを語っていた。

そうしたら、インターン先のボスのアンテナに引っかかって、「やっちゃいなよ!」ってまるでジャニーさんみたいなノリでワークショップを社内で主催することになった。

そこから、わたしのタネの探求の旅は予想外の方向へと続いていくことになる。








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