軌道旋風ギャブリエル 『楽園の地獄』 第三話 「空から来た女」
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この物語の登場人物たち
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瓦礫と化した貧民街の片隅で、ルウルウは見あげていた。
それは神々しくも、畏怖を抱かせる光景だった。
エクサゴナル共和国の首都、パリス上空。
黒煙たなびく空を貫くように、一条の、赤い光が落ちてくる。
軌道旋風ギャブリエル
『楽園の地獄』第三話
「空から来た女」
ルウルウの十メートルほど後方。灰色の髪が静かに揺れていた。
デミル。〈屍衆〉の青年だ。
デミルは幼馴染の少女セレンの屍を抱きながら、冷徹にいまの状況を整理し