下町やぶさか診療所 5 第一章 散骨の思い・後/池永陽
【前回】
羽田空港を早朝の七時ちょっとの飛行機に乗り、麟太郎たちは出雲空港に向かった。
びびりまくるのではないかと心配されていた高史は窓際の席に座り、ガラスに顔をくっつけるようにして外の景色を一心に見入っていた。通路側に座った麻世も最初のときのような恐れる様子はほとんど見られず、静かに両目を閉じて黙って座っていた。ただ、両手で肘掛けだけはつかんでいたが。
いちばん大変だったのは、高史の隣に座っている「飛行機が怖くて、お天道様の下を大手を振って歩けるもんけえ――」と大見