「いつ?」という問題
新規事業やイノベーションにおいては「何を?(=WHAT?)」と「どうやって?=(HOW?)」と「誰が?=(WHO?)」という論点にフォーカスが当たりがちですが、実は
いつ?(=WHEN?)
という論点が、それら以上に重要です。
経営学やマーケティングでは、市場調査をやってニーズがありそうだったらやろう、ということになるわけですが、ニーズが顕在化するのを待っていたら手遅れになってしまう、ということもあります。
下図を見てください。これは日本におけるインターネットの普及率を示す総務省統計局のデータです。
日本におけるネットビジネスの老舗(という言い方も変ですが)となると、まずはヤフー!、楽天、サイバーエージェントということになりますが、この三社の創業年は次のとおりとなっています。
Yahoo! Japan 1996年
楽天 1997年
サイバーエージェント 1998年
では、その時点でのインターネットの普及率がどうだったかというと、
1996年 3.3%
1997年 6.4%
1998年 11.0%
となっており、それが翌年の1999年には19.1%となっています。
マーケティングでよく言われる「この一線を超えたら一気に普及するライン=キャズム」は一般に16%前後と言われていますから、この三社はまさに「このタイミングを逃したら波の一番乗りになれない」というタイミングで創業していることがわかります。
この数字は、ともすると見過ごしてしまいがちですが、実は非常に大きな示唆を与えてくれるように思います。
大きな社会的変化を捕まえて何かを起こそうとするなら、その内容、つまりWHAT?はなんでもいいから、市場浸透率が数%の段階でチケットを買って飛び乗れ、というのが一つの学びになります。
一方で、誰がどうみても「インターネットがこれから来る」ということがはっきりしてきたのは、普及率が50%を超えた2000年から2001年にかけてのことです。
この普及率50%というのは、私の経験則的には「大企業のオジサンたちですら言い出すタイミング」ということで、これはこれでわかりやすい目安ではあります。
いまならSDGsとかAIとかDXとかですかね。
日本の大企業のネット関係ビジネスは2000年を境に雨後の筍のごとくニョキニョキと発生したわけですが、そのほとんどは鳴かず飛ばずのままクロージングを迎えることになります。
つまり、誰の目にも「これから来る」ということが明らかになった状況ではすでに手遅れであり、武道でいうところの「先を取る」ことを狙うのであれば、特に大企業のオジサンたちが「?」と反応するようなタイミングで仕掛けることが必要だということです。
私の思い出
実はこれはいろんなところで話してしまっているので、開示ちゃいますと、私は1994年に電通に入社して、なんと1995年からソフトバンクを担当しておりました。
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