KLONNS & 鏡 台湾ツアー DAY1
こんにちは。KLONNSのボーカルSHVです。
2023年5月12~14日にかけて、関東/名古屋のハードコアパンクバンド・鏡とともに台湾ツアーを敢行しました。KLONNSにとっては2019年のオーストラリアツアー以来、鏡にとっては初の海外遠征となりました。コロナ以降国外のバンドやカルチャーに直に触れる機会がめっきり減っていましたが、このツアーを通してかなり大きなインスピレーションを得ることが出来たと思うので、ツアーレポートとして記憶を書き残そうと思った次第です。長いですが是非お付き合いください!
まずはツアーに至った経緯を簡潔に。昨年秋ごろにSNS経由で鏡にツアーのオファーが来る→オーガナイザーWilly氏(Suck Glue Boys)が鏡とKLONNSのベーシストが同一人物であることを把握しており、KLONNSも一緒に来てくれ!という流れでした。
協議の結果、5月12日(金)に台北、13日(土)に台中の全2公演が決定。さらに今回のツアーは台北の「Halfway Coffee」というお店で開催される、日台両国のパンク・アーティストによるフライヤー展と併せて組まれており、14日(日)のレセプションパーティーにてコーヘイ(鏡)、ザイ(KLONNS/鏡)それぞれがパフォーマンスを披露するという、短期間ながらテンコ盛りな内容に。ザイに至っては3日で5回ライブするという限界突破系スケジュールとなりました。
台湾入国は基本的にゆるくビザは必要ないのですが、なんと就労ビザ(アーティストビザ?正確な名称は不明)を取得してくれるとのこと。堂々と楽器を持ち込もうかとも思ったのですが、経費削減のためエフェクター等だけ持ち込んで、ギター・ベースは現地の人から借りることにしました。
今回我々を招聘してくれた「Suck Glue Boys」とはバンドではなく、レーベル活動やイベントのオーガナイズ等を行うコレクティブ。幸運なことに、主宰のWilly氏が東京藝大で開催された展示に参加するためGW前後で来日しており、ツアー直前のナイスなタイミングで実際に会って話すことが出来ました。前回のオーストラリアツアーはオーガナイザーと完全にSNSのやりとりのみで現地で落ち合う流れで正直結構不安だったので、この時点でもう安心感が半端ない。またSuck Glue Boysだけでなく、台北のハードコアパンクバンドToxic Baldのメンバーによるレーベル「Twin Peaks Records」、SxEハードコアDefeat The Giantによる「DIRTI」も共同でツアーをメイクしてくれました。
そんなこんなで時間は流れ、いよいよ出発日。コーヘイは展示の設営のために数日前に台北入り、テル(鏡)は名古屋在住のため、それ以外の5名で成田空港にて合流。待ち時間、トイレに関して非常にセンシティブな我々は台湾のトイレ事情を今更調べ絶望するも、そこはグッと飲み込んで機内へ。
3時間半ほどで飛行機は台北に無事到着。どう見ても行商人ですというレベルで物販をキャリーバッグに詰め込んで来たので、入国審査で何か突っ込まれたりするかな?と軽く心配してましたが、突っ込まれるどころか一言たりとも会話せず無事通過。
空港ではHalfway CoffeeのスタッフでもあるLoftpou氏が出迎えてくれました。Loftpouは日本に住んでいたこともあるらしく日本語が超堪能。彼女には幾度となく超助けられました。感謝…。空港の外に出ると、思ったよりも涼しい。以前、同じくらいの季節にトランジットで台北に降り立った時はとても蒸し暑かった記憶があったのですが、ここ数日は曇りもしくは雨とのこと。
桃園国際空港から台北市内まではタクシーで1時間ほど。ちなみにこういった細かい移動やホテル等の手配は全てSuck Glue Boysの面々が済ませてくださり、完全に至れり尽くせり状態でした。本当に感謝してもしきれない。いつか必ずこの恩を返したいです。
1日目の会場は台北の「Continue Music Studio」。その名の通り普段は練習スタジオなのですが、スタジオとは別にライブスペースが併設されており、PA環境もある程度整っていました。この日は完全に貸し切り状態で、スタジオを楽屋や物販エリアとして利用するスタイル。ウォーターサーバーも設置されていて飲み水に困らなかったのですが、これはこの会場だけでなく、台湾だと大抵の施設にはあるとのこと。ツアーにタンブラーは必須ですね。さらにケータリングの弁当まで用意されており、手厚すぎる待遇…。一旦楽屋で荷解きして物販等を準備した後、Loftpouの案内で近所を散策しに行くことに。この一角は日本人エリアらしく、東京によくあるような居酒屋や家系ラーメンのお店もありました。ファミリーマートに入ってみると、店内に八角の香りが充満していてびっくり。おそらくホットスナックとして売られていた味玉の匂いなのかなと推測。ミウラ(KLONNS)はアスパラガスティーなるパックのお茶に挑戦しあえなく撃沈。なぜかクレヨンしんちゃんシグネチャーのコーヒーとかお菓子がたくさん売っていたけど流行っているんですかね?さらに少し歩くと所謂夜市の様なエリアがあり、油揚げっぽいものが乗ったフォーっぽい麺をテイクアウト。これが素晴らしく美味しく、もう毎日食べたいという気持ち。
会場に戻りスタジオで軽く音出しを済ませると、もうオープン時間に。前情報では前売チケットはソールドアウトとのことでしたが、実際にオープン時間にはエントランスに長蛇の列が出来ており、流石に気分が高揚しました。そして何より驚いたのが、客層がとにかく若い!何年も前から高齢化が囁かれている日本のパンクシーンとは真逆で、これからシーンが発展していく予感に溢れており、何かが始まる前夜に居合わせることが出来たように感じて、とても光栄でした。それと、ここ1、2年くらいで日本ではよく見かけるようになった所謂Y2K的なファッションの若者は1人もいなかったのも印象的。欧米人の客も多かったのですが、現地の人に聞いてみるとかなり珍しいケースとのこと。また、何年か前に代々木で開催された「OASIS 2」のパーティーでシュウト(odd eyes)に紹介してもらったイラストレーションアーティストのナガオカさんやNUMBERNINEの元メンバーの方、自分は話せませんでしたがELMOのチクワさんなど、台湾在住の日本の方々も駆けつけてくれて嬉しかったです。
自分たちの物販はエントランスエリアで展開されていましたが、それとは別にスタジオ一部屋を使ったディストロルームもあり、覗いてみるとパンク/ハードコアのカセットやレコードだけでなく、幅広いジャンルを扱ったレコードコーナーもありました。ブチ上がり過ぎて正気を失ったテルは何故か細野晴臣とJudy And The Jerksのレコードを満面の笑みで購入。また、Twin Peaks Recordsによる無料配布のZINEも置かれていたのですが、この内容が凄かった。2種類あって、片方はなんとKLONNSを始め日本のパンク/ハードコア・シーンについての特集記事!DisciplineやBushbash、果てはXIANのことについてまで言及されており、中国語全く読めなくとも感涙を禁じ得ない…(泣)。マジで今まで自分らのやりたいことをやりたいようにだけ活動してきて良かったと思えた瞬間でした。台北Discipline待った無しか?そしてもう片方の内容はegg punkについての特集記事で、これもよく調べられていて濃い内容。egg punkにまつわるミーム画像も多数掲載されていて、20代前半と若い彼らならではのインターネット超活用スタイル。日本国内では海外の現行パンク/ハードコア・ムーブメントに関する母国語で書かれた情報があまりに少ないので、こういったZINEや記事などの文化的な活動は見習うべきかなと。イベントやバンドだけ増えても、そのカルチャーというかライフスタイルへの本質的な理解が深まらなければ一過性のブームにしかならないと思うので。この2つのZINEはしばらくKLONNSの国内ライブでの物販スペースに置いておこうと思うので、お越しの際は是非立ち読みしてみてください!
そうこうしているうちに最初のバンドがスタート。L-Schemaは日本人ドラマー擁するクラストコアバンド。着ているシャツがKRIEGSHOG、FRAMTIDという時点で分かる通り、日本のクラスト(特に大阪)からの強い影響を感じさせるD-BEATノイズクラッシャースタイル。お客さんもトッパーから大盛り上がりでいい雰囲気に。2番手のHeteropod Buddhaは男女ツインボーカルのアナーコ・ハードコア。プリミティブかつノイジーなサウンドに中国語とスペイン語で捲し立てるスタイルはなんとも強烈。3番手のSPIT!は知っている人も多いのではないでしょうか?数年前にツイッターでライブ動画がバズったことがあり、日本版のCDもリリースされています。パワーヴァイオレンスを基盤に、SPYやGELの様な現行USハードコアパンクのエッセンスも強く感じるスタイルで、本ツアーで共演したバンドの中では最も現行感のあるサウンド。演奏力も高く素晴らしいライブでした。来日する話もあったらしいので、是非実現させてほしいです。
さて、本公演ですが若干というかかなりタイムテーブルが特殊で、3バンド終わったところで休憩及びKLONNSと鏡のサウンドチェック。台湾ではこれが普通なのかと思いましたが、お客さんは我々のリハーサルをライブ直前の音出しだと勘違いしている様で、どんどんフロアに人が集まって来る(笑)。おそらくリハ時間を確保出来ていなかった我々への配慮でこういうタイムテになったのかと思われます(優しさ)。このあたりでかつて高円寺に住んでいた友達のLi-Yang(破地獄 Scattered Purgatory)に再会し乾杯!ちなみに彼は私のリクエストで最終日のパーティーでDJをやってもらうので、3日目に再登場します。
そして遂に4バンド目で鏡の登場!慣れない機材でトラブルもありましたが無事に大盛り上がりで終了。5バンド目のToxic Baldはテン年代以降のアメリカのロウなハードコアパンク、例えばDawn Of HumansやNosferatuなんかを彷彿とさせる、捻れつつも強烈にビートを叩きつけてくるサウンドで滅茶苦茶カッコよかった。ちなみにボーカルは音楽活動と並行して漫画も描いているのですが、これがサイバーパンクかつ強烈にサイケデリック。彼の漫画ZINE、ザイが西調布のStudio REIMEIに寄附したっぽいので、お立ち寄りの際は是非読んでみてください。
そしていよいよ我々KLONNSの出番に。この日のトリだったのですが、なんともう深夜1時近くで疲労がピーク越え…。前乗りして体調を整えるべきだったと後悔しましたが、それは7月の韓国ツアーに活かそうと決意…。それにしてもお客さんは明らかに終電無い(台北の終電はだいたい12:30くらいで東京とほぼ同じ感じ)のに、多少は減った気はするが基本帰らない。日本に比べてタクシーがかなり安いというのもありますが、そもそもパンクやハードコアのギグが月に数えるほどしかない貴重な機会なので全力で楽しもうという気概に溢れ、全てのバンドでモッシュが絶えませんでした。ちなみに、台北パンクスたちのモッシュは、ウィンドミルやスラムダンスといったスタイルではなく、ただひたすら体をぶつけ合う最もプリミティブなモッシュだったのもなんか良かったです。マイク関連のトラブルはあったものの無事ライブ終了!アンコールで数年ぶりのFeeling In Soilカバーかまさせて頂きました。
すでに2時近くになっていましたが、バーカンの酒がすべて売り切れていた(見たことないクラフトビールっぽいのあったので飲みたかった…)ためコンビニでビールをゲット。欧米圏と違って路上飲みOKなの嬉しいですね。しばらく駄弁って午前4時ごろにタクシーで宿に向かい就寝!
滅茶苦茶長くなりましたがDAY1はここまで!続編をお楽しみに~。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?