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#一皿評
フロリレージュ「筍、帆立」
筍は、静かで厳かな芽吹きに満ちた春か、荒くれた祝祭のような春のどちらかをイメージさせるものだ、と思っていた。これまでは。このお皿の筍が喚起するのは、暖かくて明るい春の日だまり。それは筍から受けたことがなかった印象だった。
主役の筍は、節の隙間に、帆立とクリームのペーストが詰めてある。その上には、昆布の炭がまぶされたクレソンが載せられる。筍に寄り添うのは、茹でた蛤。
主役の筍は、と書いたが、誰が
レフェルヴェソンス「雪の下〜 鰆、蛤とスティックセニョール、金柑と生姜」
あまりにたっぷりとして、穏やかなお料理。命が膨らむ春の豊かさ。
刺身にした鰆の上に、刻んだ蛤とスティックセニョールが載せてあり、オリーブオイルで作った泡がかぶせてある。わずかな金柑と生姜の香り。
鰆はしっかりとしつつも柔らかな香りを持つ。例えば甘鯛や皮剥、カサゴといった魚と比べるとき、鰆が華やかすぎない、だけどたっぷりとした香りを持っていて、なおかつ、くせがない魚であることが理解されるだろう。
ĂnĐi(鰆、きゅうり、大葉、穂紫蘇、フェンネル、カリフラワー)
香り、食感、色彩のそれぞれにおいて、散逸しそうなほどの多様性を見事に調和させ、かつ、厳密に調和を重ね合わせている。春の始まりを鮮烈に告げる。
蒸した鰆の下にはカリフラワーのピュレが敷かれ、上には刻んだきゅうり、大葉、穂紫蘇、フェンネルが載せられている。
きゅうり、大葉、穂紫蘇、フェンネル。これらの野菜が調和していることにまず驚くべきなのだろう。この緑の野菜たちは、いずれも個性的で強い香りを持つ