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「便秘」のツボをおさえたありがたい本

鍼灸師が鍼灸以外の書籍で臨床の支えになった書籍を紹介しています。


読んだ書籍⑥
「なぜ?どうする?がわかる! 便秘症の診かたと治しかた」 
中島淳 著 南江堂 刊

鍼灸院では「腰痛」「肩こり」以外にも「便秘」に困っている患者さんに
出会うことは比較的多いです。

施術者によって、「便秘」に使うツボや刺針方法は異なるのですが、私自身は鍼灸だけでは難しいと感じることも多く、未だに試行錯誤の毎日です。

さらに、往診では高齢の患者さんが多く、身体を動かす機会が少ないこともあり「便秘」の程度も強くなります。


私が開業した当時は自身の経験不足もあり、「高齢者の便秘」に対する理解はまだまだでした。

その時に出会った「まちがいだらけの認知症ケア」では、
高齢者の健康と便秘がいかに密接に関わっているかが書かれていました。


特に印象に残ったのが下記の一文でした。

「認知症の問題行動の原因の半分以上は、便秘です」(p110)

まちがいだらけの認知症ケア


「半分以上!!」と衝撃を受けるとともに、介護の世界では常識ともされていることを知りました。


その後、臨床経験を重ねるにつれ、認知症の方に限らず、「便秘」
患者さんに及ぼす影響は精神面でも本当に大きいと実感しました。

ほとんどの患者さんは「酸化マグネシウム」を処方されていることが多く、あまり改善がない場合に、相談を受け、そのつど鍼灸で可能なアプローチを私はしてきました。

しかしながら、やはり鍼灸で難しいことも多く、何かできることはないかと下記書籍を読んでみました。


「なぜ?どうする?がわかる便秘症の診かたと治し方」

率直にいって、私には得るものが多いありがたい1冊でした。
下記はその内容の一部です。

  • ここ数年で「酸化マグネシウム」以外の安全性の高い薬が出ていること
    (電解質異常のリスクがある場合、他の選択肢がある)

  • 酸化マグネシウムの効果が乏しい時に、次の選択肢が複数あること

  • 「便秘」のレッドフラッグを再確認できた

  • 「便秘」が腎機能悪化や、フレイル、サルコペニアの原因となっていること、また命に関わること。病気の悪化やQOLの低下などを招くため治療すべきものであること

  • 医師の「便秘」へのアプローチ方法を知ることができる。


このような情報を知ると、鍼灸院での「医療面接」や「お薬手帳」を見せていただくことの意義がより高まります。

「この薬飲んでみては」と鍼灸師は患者さんに言えませんが、
「今のお薬が合わない場合、他のお薬もあるみたいですよ、ぜひかかりつけの医師に相談してみては」と言えるかもしれません。

文中では患者さんの内服のアドヒアランスが低いとも書かれているので、
私は鍼灸院から主治医にうまくつなげられて、患者さんの「便秘」の改善に寄与できればと考えています。




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