鍼灸の「効果」と「効能」により謙虚に
鍼灸師が鍼灸以外の書籍で臨床の支えになった書籍を紹介しています。
読んだ書籍①
「医療情報を見る、医療情報から見る
エビデンスと向き合うための10のスキル」 青島周一著 金芳堂 刊
「鍼灸の純粋な効果=「効能」に対して、もっと謙虚に」というのが読後の感想でした。
この感想に至る理由はいろいろありますが、
文中にある「効果」の多因子性についての図を目にするだけでも、
私にとっては十分すぎる価値がありました。
論文を読めるようにと思い、参考文献などで何度かチャレンジしてきました。しかしながら、専門用語の壁や、辞書を片手に英語を日本語訳するも、結果をどう解釈していいかなど、挫折を繰り返してきました。
今回、再チャレンジということで、この書籍を購入したところ、
まさかの「慢性疼痛に対する鍼治療の有効性」についての文献が取り上げられていました。
この文献の結果とともに、ひとりの開業鍼灸師としての個人的な感覚ですが、これは「鍼治療の純粋な効果ではなく、他の要素で患者さんの症状が改善したのではないか」という場面は時折あります。
鍼治療の効果を高める努力はもちろんですが、他の「効果」の多因子性を高めることができれば、全体としての「効果」はさらにあがるかもしれない。
一方で、そもそも「医療」が患者さんの健康に寄与する割合が私が思っていたほど高くないこともわかりました。
そう考えると、やはり鍼治療の限定的な効果、そして「医療の寄与割合」などからやはり謙虚にならざるを得ないというのが現時点での感想です。
うまく表現できませんが、論文を読むための方法を知る目的で購入したところ、「効くってどういうことか?」について多くの気づきを提示してくださっていると思われます。
最初から順を追って読んでいくと、理解が進む構成もありがたかったですね。
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