今、思っていること

ただのファンとして出来ることは何もなく、事の行く末を見守る他ないと思っていたのですが、黙っていることが「無関心」あるいは「劇団の対応を是としている」と取られるのも癪だなと感じ、現時点の気持ちをメモしておきます。


遺族側弁護人の会見一部始終を映像で見ました。

過重労働については、「まさかそこまでとは」というのが正直なところです。

千秋楽から次の公演の集合日まで短すぎること。
誌面で「髪飾りを徹夜で作るor早起きして作る」みたいな質問が平然と載っていること。
「一つだけ願いが叶うなら」的な質問に多くの人が「もっと寝たい」と答えていたこと。

思い返せば違和感は色んなところにありましたが、想像を絶する労働時間でした。

もちろん、芸の道は難しく1日8時間定時帰りで成り立つ仕事だとは思ってない。時に「ここぞ」という正念場では時間をかけてじっくり取り組むことも必要だと思う。
でも、徹夜前提で稽古がスケジューリングされたりろくに休養が取れない日程で興行が組まれているのはおかしい。
まさか阪急阪神東宝グループ。まさか阪急電鉄。日本を代表するような大企業の中でここまで杜撰な労務管理がされていることに絶句です。

私は新人公演自体は宝塚独自の素敵なシステムだし下級生にとっては自分を売り込む最高のチャンスだと思っているけど、それがこのような結果を招いたのならシステム自体に改善の余地があるのではないでしょうか。

たとえ年間公演数が減ったり、新公自体が無くなったり、収益確保のためにチケット代が値上がりしたとしても、心身共に健康な状態でタカラジェンヌが舞台に立てる道を優先してほしいなと思います。


ハラスメントについて。

難しいな、と思いました。

中卒〜高卒の若者を囲い込んで、守り育てるべき「生徒」と呼びながらも、自主性の名のもとハラスメントを関知しない/あるいは知っていながら黙殺してきた劇団の監督責任が問われることは明白。

そして事実関係を明らかにした上で「被害者」と「加害者」がいるならば、(劇団は現時点でハラスメントの事実を否定しているのでこういう書き方になります)遺族に対して誠実な対応がなされるべき。

でも、じゃあ「加害者」とされた人が謝罪なり処分を受ければそれで万事解決なのか?と言われたら、そうではない気がするからです。

そもそもの問題は、宝塚が守ってきた上下関係という「伝統」「文化」に根ざすものなのではないか。
「加害者」とされる人も多かれ少なかれ「被害者」になった経験があるのではないか。
ほんの一握りしか人事異動のチャンスもなく、嫌なら文字通り去るしかない、上に上がれば上がるほど生存者バイアスが掛かっている集団が、自浄することはかなり難しいのではないだろうか。
それは単なるハラスメント研修などで解決できるものなのだろうか。

根本的な解決には、かなり時間が掛かるだろうなと感じます。



もはや劇団の言う「いじめ問題」でも週刊誌の真偽定かでないゴシップでもなく、過労死問題であり、企業として人権意識を問われる段階だと思います。阪急電鉄には、事実を矮小化せず、遺族、そして所属する生徒に対しての誠実な対応を求めます。

私個人、そして現時点では、
エンターテイメントとしての「宝塚」は大好き。
幕が上がる限り、手元にチケットがある限りは、楽しみたいと思っています。
でも、運営する阪急電鉄は信用できそうにない。
チケットを買うことは応援、とよく言いますがチケットを買うことが劇団の対応を評価することになるなら、かなり複雑な気持ちです。

私は宝塚からときめきも癒しも感動も学びもたくさんのものを頂いているけど、それは出演者の心身を犠牲にしてまで受け取りたいものでは決してありません。

舞台に関わる全ての人がすこやかに舞台を楽しんでくれること。
宝塚が受験生、音楽学校生が目指したい場所、保護者が安心して我が子を預けられる場所になること。

それを何より願っています。


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