「野生」
「にゃー!」
仕事を終えて家に帰ってくると、
天が、黒猫になっていた。
『天、何やってんの?』
「だって、今日は猫の日だよ?」
「じゃあ、猫になるしかないじゃん!」
いや、何故そうなる。
「だからさぁー、今日はぁー」
「たっぷり甘えさせてね」
まぁ、振り回されるのはいつものことだ。
ここは、付き合ってあげよう。
「はい、じゃあこれつけて」
天の右手には、茶色い猫耳カチューシャが。
『え、本当に??』
「これでイチャイチャしようよぉ~」
「その方が、野生にかえって楽しめるかもよ」
『いや、その理屈はおかしいだろ』
とは言ったが、天のある言葉が引っ掛かった。
あ、そうだ。
ひらめいた。
俺は壁ドンする形で天を抑えた。
『なぁ?天』
『本当に野生にかえっていいんだな?』
「え…うん」
俺の野生は、天を容赦なく飲み込んだ。
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