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「変わった自分」

静かな子。
大人しい子。
物憂げな雰囲気が似合う子。

他人からのイメージを押し付けられて、
私はその世界の中に押しとどめられていた。

でも、檻の鍵を開けてくれた人がいた。

それが、彼だった。


「夏鈴は、どんな服も似合うんだね。」
「スタイルが綺麗。」
「自分のことを話してくれる、それが僕は好きだよ」
「夏鈴は、笑ってる顔が一番素敵だね。」


どんなに些細なことでも、彼は褒めてくれる。

それが、どれほど嬉しいか。
私の価値観を、いくつも変えてくれている。


今日は彼とデートする日。

いつもより早めに起きて、服を選ぶ。


今日はどんな服にしようかな。
前とは、違う雰囲気に挑戦してみようかな。

彼の喜ぶ顔が見たくて、
悩む時間は、デートを重ねるごとに長くなっている。


時間をかけて服を決めても、
メイクという壁が待っている。

服に合うヘアスタイルから決めようとしていると、
時間はあっという間に経っていく。


『あ、あかん!時間や』

彼に『遅れる』とメッセージを送り、
もう一度意識を戻す。


だって、ここだけは譲れない。


変わった自分を見せて、 喜んでもらいたいんだから。

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