「斜め上の角度から。」
斜め上の角度から見上げる彼は、
いつもクールで、感情をあまり表に出さない。
「ん」
今日もこうやって、ぶっきらぼうに左手を差し出す。
私とは、真逆だ。
『ほんまにあったかいわ。わたし冷え性じゃけん』
「でもさ、体温と心の温度は反比例するけんさ」
「俺は、純葉の温度が好きじゃわ」
『いひひひひ…』
思わず、笑みがこぼれちゃう。
斜め上と、斜め下。
あったかいとつめたい。
真逆なようで、実は、似ているのかも。
夜露の染みる帰り道を、
街灯が優しく照らしていた。
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