「モチベーション」
「おい…何だよこれ…」
美羽のテストに書かれた×の数々。
『しょうがないじゃーん。』
『これでも教えてもらったこと全部覚えたし』
「覚えても発揮できなきゃ意味無いんだよ」
「全く…」
「んで、補習の範囲、どこ?」
『えーと、ここからー』
俺は、大きくため息をついて、
美羽と一緒に、課題に向き合った。
大きく背伸びをする。
「やっと一息つけるな」
「ちょっと、飲み物とってくる」
テストで衝撃的な点数を叩き出すたびに
いつも彼は、私の勉強に付き合ってくれる。
ぶつぶつと文句を言うことも多いけど、
それもまた、彼の良さなのかな、と最近思い始めた。
「お待たせ」
彼が、お盆に飲み物とお菓子を載せて持ってきた。
「はい」
私の手元にやってきたのは、イチゴジュース。
「好きだったでしょ?」
『よく知ってたね、私の好きなの』
「当たり前でしょ。そりゃ…」
と言ったまま、彼は口ごもってしまった。
「あ、そうだ」
「今度のテストの目標決めようぜ。」
「美羽が全科目平均点以上取ったら、何でも言うこと聞くよ」
『本当に?絶対?』
「もちろん、約束する」
「その代わり、俺が全科目5位以内に入ったら、1つだけ、俺のお願いを聞いてほしい」
『え、いいよ』
『ちなみに、それって?』
「言う訳ないだろ」
『だよねー』
次へのモチベーションが出来た気がする。
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