気づきのことば ~ 人生は悲劇?それとも喜劇? 2023.11.11
立冬を迎え、日が短くなり木々は紅葉し、秋の深まりを感じます。
さて、今回はある興味深い研究をお知らせしたいのですが、その前に質問を。
問:幸せな人生に必要なカギが一つあるとしたら、それは何だと思いますか?
健康、お金、地位、名誉…?
誰もがいつまでも健康でいたいし、お金はあればあったに越したことはないでしょう。また、地位・名誉があれば、今の世の中ではそれなりに尊敬されるというものです。
ですが、これらが必ずしも幸せな人生を送るために必要かと問われると、なんとも曖昧な返事しかできないのではないでしょうか。
このような「人生論」ともいえるテーマについて、アメリカのハーバード大学では、長期にわたり大規模な追跡調査・研究をしているのですが、その成果が先日「現代ビジネス」に掲載されていました。
https://gendai.media/articles/-/115556
この研究(「ハーバード成人発達研究」)の始まりは1938年(昭和13年)ですから、実に85年の歴史があります。そのため被験者は3世代にもわたり、その数は1300人を超えるとのこと。
被験者の若いころから高齢期にいたるまでの人生を、幸福度や健康状態などたくさんの項目について追跡調査しており、その意味では、「人の生き方についての最大規模の縦断研究(長期間にわたる研究)といえます」とは、研究の4代目責任者である、ハーバード大学医学大学院・精神医学教授のロバート・ウォールディンガー氏の言。
「幸せ」という宗教的・哲学的な命題について、長い年月をかけて大規模調査・研究をしてしまうのが、アメリカの大学のすごいところですが、長年にわたる調査の結果には説得力があります。
さて、それでは「幸せな人生」に必要なただ一つのカギとは一体なんでしょうか?先のウォールディンガー氏によると…
長期の研究からわかってきたのは、「人間関係の満足度」と、幸福度や人生の満足度のあいだに、驚くほど強い関係があることでした。
(中略)
私たちの研究の被験者が80代になったとき、「人生を振り返って、なにに最も誇りを感じるか?」と聞くと、ほとんどすべての人が人間関係について答えました。「おカネ儲けをした」とか「大きな賞を勝ち取った」とかいう人はほとんどいない。人生の終盤にたどりついて、幸福にとって最も重要だと思われたのは、他人とのあたたかいつながりだったのです。
どうやら良好な人間関係(人とのあたたかいつながり)が、幸せな人生を送るのにとても重要だ、ということをこの研究は示しています。
仮に、健康でかつお金・地位・名誉があっても、いつも人と争ったりいがみ合っていたりしたら、あまり幸せではないかもしれません。逆に、多少不健康で経済的にはそれほど豊かでなくても、家族友人とこころ通う毎日を過ごせるなら、精神的な満足感は高いでしょう。
たとえるなら、どんなに高級で美味しい料理でも、嫌いな人と一緒に食べたのではあまりおいしく感じませんが、ふつうのおにぎりでも、気の置けない仲間と一緒に食べればおいしく感じられる、というようなことです。
やはり人は社会的な生き物である以上、生きていくうえで良い人間関係を保つことはとても重要なことなのです。
「人間関係は、この世で天国も地獄も味わわせてくれる」
ということばを聞いたことがありますが、それほどまでに人生の幸不幸は人間関係に左右される、ということですね(みなさんも同感ですか?)。
では、どうしたら良好な人間関係を保つことができるのでしょうか。
そのためには、相手に共感する、感謝する、与える、などいろいろありますが、今回は「笑い・ユーモア」を取り上げてみたいと思います。
笑いが人間関係を良くする(?)というのは…人は自分を楽しませてくれる人に対して好意を感じるものだからです。
「笑う門には福来る」というように、笑いは人間関係の潤滑油のような役割を果たしてくれます。ギスギスした関係や深刻な状況であっても、ちょっとした笑いがその場を和やかにし、コミュニケーションをスムーズにしてくれます。
そこで、その「笑い」という潤滑油を人生で生かすためには、自分の「視点」を切り替えることが必要になってきます。
なぜなら、わたしたちはついつい日常生活にのめり込んでしまいがちですが、そうすると目先のことしか目に入らなくなり、必要以上に深刻で悲観的になりがちです。それが人間関係に悪影響を与えるようにもなってしまいます。
ところが、仮に、自分がどんなに大変な状況にあったとしても、それを他人ごとのように見ることができたら、それだけでだいぶ気持ちは楽になり、冷静な判断ができるようになります。
「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くらか見れば喜劇だ」
とは、英国の喜劇俳優チャップリンのことばです。
生きていれば、もうこうなったら笑うしかない、ということがありますが、(良い意味で)自分の失敗や苦境を笑えるようになったら、人生の達人の域に達したといえるでしょう。
さて、先日、『シルバー川柳13』が発売されました。出版元のHPを見ると…
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008432.html
加齢も、夫婦のギクシャクも、笑いとユーモアでふっとばそう!
物忘れも、医者通いも、はたまたビミョーな夫婦関係も。シニア世代を中心とした、まさに人生の達人たちによる川柳傑作選。お達者パワー全開の、笑えてしみじみ、そして家族で仲間で楽しめる1冊です。
先ほどのチャップリンのことば「人生は近くで見れば悲劇だが、遠くらか見れば喜劇だ」を実践しているのがシルバー川柳なのでは?と思うほど。
そこで、参考までに今年の入賞作をいくつか、有老協HPより転載させていただきます。
https://user.yurokyo.or.jp/senryu/view/566
5時起床 7時散歩で 9時昼寝(66歳・男性)
脱マスク よけい分からぬ 誰だっけ(67歳・女性)
自己紹介 名前、出身、趣味、持病(61歳・男性)
どの顔も 詐欺師に見える インターフォン(71歳・女性)
同窓会 アルバム持参で 顔認証(70歳・男性)
免許より 夫返納 したい妻(70歳・女性)
そこでわたしの人生も悲劇から喜劇へとドラマチックに変化させようと、川柳をたしなんでみました。
早くしてッ! トロトロしてると 妻沸騰
温暖化の時代はとうの昔に…
「お気持ちで…」 AIに聞く? 布施相場
…AIでなく、住職にお尋ねください。
人生は悲劇なのか?喜劇なのか?みなさんはどう思いますか?
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