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旅日記・ジパング見聞録5 ~ 布引観音(長野県小諸市)

長野の善光寺といえば「牛に引かれて善光寺参り」ということば(ことわざ)を思い出す方も多いのではないかと思います。調べてみると…

 「信心のない老婆が、さらしていた布を角にかけて走っていく牛を追いかけ、ついに善光寺に至り、後に厚く信仰するようになったという話から」、思ってもいなかったことや他人の誘いによって、善い方に導かれることのたとえ(デジタル大辞泉)。

 そこでこの言葉の元になったお話を探してみると、長野県小諸市の布引観音にまつわる伝説に行きつきました。

布引観音駐車場の立て看板

 この布引観音ですが、正式には布引山釈尊寺(しゃくそんじ)という、創建は神亀元年(724)と伝えられる千曲川の布引渓谷にある天台宗のお寺です。

同じく駐車場の立て看板


同じく駐車場の立て看板


こちらの観音様が牛に化身し、欲深い老婆を善光寺に導き改悛させました。そんな観音様は、布引渓谷から参道を20分ほど上った断崖絶壁にある観音堂にお祀りされています。 

しかもこのお堂は、切り立った崖などに建てられる懸崖造(けんがいづくり)の建物で、離れて見るとお堂が崖にへばり付くように建っています。参道はところどころ険しい山道ですが、これも修行と思って…。

それではみなさんも一緒に参りましょう。参道はここから始まります。

途中の岩陰に仏さまが祀られていました。

ちょっとした滝や、

木の根の張り具合に山の険しさを感じます。

参道にお祀りされた見守り地蔵

他にも信者さんたちが安置した木仏・石仏が参道のあちらこちらに祀られています。

「牛にひかれて善光寺参り」の伝説に因んでなのか…巨岩の中に牛の姿が浮かんで見え…ますか?

 
赤で囲んだところが牛のお姿に、左側に頭があるように見えないことも⁈
みなさんは、どこに牛を見つけましたか?


善光寺穴。これは長野市の善光寺まで通じていると言われ、昔、善光寺が火災の際に煙が出たと伝えられる穴です。

入口まで行ってみましたが、入ったら出てこられなくなりそうな…


山道をせっせと上がって来て、ふと見上げると上の方に観音堂(朱塗りの欄干)が。

さらに上っていくと、立派な山門(仁王門)に出ます。


山門(仁王門)の真上に観音堂が見えますね。

昔は仁王門から観音堂に向かう参道があったそうです(今は行けませんが)。

 さらに上って、ようやく本堂にたどり着きました。

本堂の前からの眺めは素晴らしく、断崖絶壁に立つ観音堂、遠くには浅間山が望めます。

本堂の横にあるお堂と

お堂の脇にたたずむ牛

さらに、崖伝いの道を観音堂に向かって歩いて行きます。


参道途中の岩窟のお堂と、その先には岩壁をくり抜いたトンネルが見えます。


手掘りのトンネルを抜けると、


観音堂が眼前に。


参道の左手には、奪衣婆(だつえば)、閻魔(えんま)大王、六地蔵様が並んでいます。

岩窟の愛染明王のお堂をお参りして、

いよいよ観音堂に。



中(観音堂の舞台)はこのようになっており、賽銭箱の奥にはびんずるさんがお祀りされています。

ここは断崖絶壁に建っているので、足元は崖下…です。
お堂の岩屋内には正嘉2年(1258年)建立の宮殿(重要文化財)が安置されています。 

外の眺めは素晴らしく、眼下には参道の石段や本堂が見えます。また、右側の岩壁にさきほど通って来たトンネルの出口が…すごい所を通ってきたのですね。


ここは桜の名所としても知られていますが、わたしが訪れたのは4月上旬、あいにく桜の開花前でした。

さて、牛にひかれて善光寺参り、ですが…
布引観音から善光寺までは距離にして50キロはあるでしょう…牛もお婆さんも、きっと健脚だったんですね。


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