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WAKAZE から Linné へ

《創業から参画していたWAKAZEを卒業します》
2024/4/1

多くの皆様には突然のご報告となってしまいますが、2024年3月をもってWAKAZEを退職し、個人の会社を創業いたしました。

「日本酒を世界酒に」「SAKE FOR EVERYONE」を掲げ、伝統文化《国酒》たる日本酒の新しい価値を切り拓くべく、皆様に支えられ日仏米3カ国にわたり最先端ともいえる挑戦の場をいただいたWAKAZEですが、技術開発者として一定の役目を果たした節目と捉えて、今後は独立して自身の酒造りの場を再びゼロから立ち上げていきます。

2014年末に出会った20代の社会人たちが2016年法人化して以来、業界やバックグラウンドを超えてたくさんの方々に支えられ今まで走ってくることができました。委託醸造によるORBIA / FONIA、三軒茶屋醸造所創立、KURA GRAND PARIS創立、日本でのTHE CLASSIC委託醸造、そしてアメリカでのプロジェクトをこの10年に満たない期間で仲間と共に駆け抜けてきました。言葉にならない思いがあります。本当にありがとうございました。

2018年、三軒茶屋醸造所の最初のタンク

私が酒業界に入ることを決めたのは、業界のうねりによる実家の変化や東日本震災を経験し、どう生きるか思案した結果、一番最後にのこった「自分が生きているうちに実家がなくなったら絶対後悔する」という本心に辿り着いたからでした。7代目の父や8代目として社長となった兄が実家を立て直す間、自分はSAKE業界全体を盛り上げることで、それが最終的に実家に還元されるほどのインパクトをもたらすことはできないか。自身の寿命を超えた先にSAKE文化をどう発展させ繋げるか。日本酒を世界酒にし、世界中でSAKEが造られる世界をつくるため、世界中に造り手を増やす、それを先導する造り手になる。これが人生の目標となりました。

そうして代表稲川に出会い、天の戸・森谷杜氏やノルウェーの欧州初酒蔵ヌゥグネ創業者・シェティルジキウン氏のような大きな背中を見つつ、偉大な修行先や委託先で技術や思想を研鑽するなかで、ずっと造り手としての場所を与えてくれたのがWAKAZEでした。そのWAKAZEでの役割が大きく変化するなかで、麻井宇介氏(現代日本ワインの父)のご縁を感じるたくさんの刺激を受け、造り手として技術も思想ももっと成長するために、日々素材に触れる生き方として次のものづくりの場所をつくることにしました。

2019年、初の水麹。米×麹×水×酵母が初めて出会う。

年明けからWAKAZEと並行して開始した個人事業は、この度《Linné(リンネ、博物学者由来)》という会社として改めて創業しました。

今後は、SAKE / KURA / CULTUREの3レイヤーそれぞれのものづくり事業を推進し、世界に誇れるような酒造りの新しい可能性を引き続き探っていきます。すでに次への構想は開始しており、年明けの帰国以来、お世話になった方々への挨拶や米国出張を挟みながら、2月後半から種麹屋訪問、九州の麹素材技術を学ぶための焼酎蔵訪問、茶農家訪問、京都移住と準備しながら、先週より福島・小高&浪江に醸造所をもつ haccoba, Inc. にて製麹試験と独立後最初のSAKEを醸すため1ヶ月半ほど滞在しています。

直近では、いくつかの酒蔵で場所をお借りして、新技術を盛り込んだSAKE造りに従事していきますのでぜひ楽しみにしていてください(九州訪問先ご紹介含め、詳細は後日発表)。フランスで輪郭を掴んだ《国菌》麹の立ち位置を飛躍させ、宮大工の世界に学びながら、並行複発酵を解放するためのもう一つの扉を開いていきます。そうして、日本の成り立ちや原風景そのものにも向き合っていく予定です。

一つの区切りではありますが、私が退職したあとも「日本酒を世界酒に」「SAKE FOR EYERYONE」を掲げるWAKAZEのミッションは終わることはありません。むしろ、その夢を共有しながら、アクションや時間軸を変える決断だと捉えています。引き続きご愛顧ご支援のほど、心よりよろしくお願い申し上げます。

今後WAKAZEの連絡先は使用できなくなりますので、ご用件などありましたら、SNSか個人向けアドレスにてご連絡いただけますと幸いです。

Berkeley、米国初のSAKE醸造所Japan Brewingがあった交差点

最後に、お世話になった皆様へ

これまでご愛顧いただいている世界各地のWAKAZEのお客様、
前衛的なWAKAZEに共感し魅力を伝え続けてくださっている酒屋様、
食卓を創造し続けるパートナーであるシェフ・ソムリエ・飲食店のプロの皆様、
米や副原料素材の発酵を通じて繋がった素晴らしい生産者の皆様、
茶や色彩や芸術など、酒と並走して頂きを目指し大きな着想を与えてくださる各分野の巨人の皆様、
多面的に心を支えてくださった創業地・山形鶴岡、秋田・富山・新潟・群馬、東京・三軒茶屋、仏Paris、米Californiaの皆様、
駆け出しの頃から取り上げ続けてくださっているメディアの皆様、
自分たちを信じて最大の支援を続けてくださっている投資家の皆様

《委託醸造先・協業先》
法人化前(飲み比べセット・四季酒):聖酒造株式会社 Takeo Imai
ORBIA LUNA / GAIA:渡會本店 渡會 俊仁
ORBIA SOL:千葉外房の地酒 木戸泉酒造 荘司 勇人
FONIA SORRA / TERRA / Oriental / Chai:オードヴィ庄内 佐藤 宅真
THE CLASSIC:東光 小嶋総本店(Toko) 小嶋 健市郎

宝ホールディングス・日米宝酒造の皆様

《修行先》
新政酒造様、桝田酒造店様、阿部酒造様、聖酒造様
※秋田と富山の間の夏研修、人生で初めて副原料に触れた湘南ビール(熊澤酒造)様

《技術支援・酒蔵設立》
FONIA開発(その他の醸造酒、後のクラフトサケ):山形工業技術センター石垣先生
三軒茶屋醸造所:国税庁鑑定官 倉光先生
三軒茶屋醸造所:建築士 望月様
KURA GRAND PARIS:Atelier ÈS様
三軒茶屋醸造所・KURA GRAND PARIS:北村商店様
対面や文献などを通じて、歴史・現代を問わず挑戦を続け、相互交流やご指導ご鞭撻くださる酒蔵や技術者の先達の皆様、

クラフトサケの仲間達、
醸造酒・蒸留酒の領域を超えて自由な創造性に溢れる造り手の皆様、
食や発酵や酒造業界に携わるすべての皆様。

そして、
初期の社会人メンバーたくま、まも、ころ、よりこ
法人化して創業直後から一緒に走ってきたいわどん、
愛すべきWAKAZEのみんな、友人の皆様、家族

本当にありがとうございました!たくさんの御恩を未来へのものづくりで繋げていきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。

Linné 2024年創業
今井翔也

2016年ORBIA、翌年2017年FONIAリリース
三茶製造チーム、フランス出発前
三軒茶屋醸造所、Whim SAKE&TAPAS(のちのWAKAZE TOKYO)
KURA GRAND PARIS2年目

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