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菫草【詩】

芭蕉を気取り
鍵盤に指踊らせ
僕は
今宵も電子の仮想空間を旅する

辿り着いたのは
虚偽も真実も綯い交ぜの暗い森
腐臭放つ名も無きイドの底
覗き込めば
ヒトの本性に嘔吐する

唾棄すべき澱みだが
視線は外せない
そこに居心地の良さを
感じるのも事実だから

いったいどれだけの時が
過ぎたのか
ふいに僕は気がつく

水底に映り込む
言葉が見せる
吐瀉物混じりの醜貌は
何千万の分身
つまりは己自身であったことを

僕は静かに絶望し嗚咽し
そして涙も涸れ果てたある日
またふと気づくのだ

イドの傍ら
名も無き言葉の花々が咲き誇っているのに
なぜか心惹かれる詩の花たちに

視線は外せない
神は未だヒトに絶望しておられぬ
そう思わせてくれたから

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