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わたしは質問ができない

良質な問いは、誰かの物語を引き出す力をもつ。自分でも気づかなかった自分の物語が口をついて出てくるとき、すごく満たされた気持ちになる。

予期してなかったタイミングで、大切にしている価値観、信念が垣間見えるとき一種の高揚感を感じる。そんな瞬間が好きだ。最高に生きている心地がする。

自分を知ることはすごく大切だ。しっかりとありのままの自分とチューニングできることは、自分を大切にすることだ。きちんとメンテナンスができることに越したことはない。

私はどんな病気より、認知症になることがこわい。自分が誰であるのか、目の前のこの人が何者なのか、わからなくなることというのは世界で一番残酷なことなのではないか。そんな自分を見て、大好きな人たちを悲しませてしまうこと。大事な思い出を呼び戻せなくなってしまうこと。大切なことを、見失ってしまうこと。そのすべてのことも、鈍い光としてしか自分に届かなくなってしまうこと。

自分を知ることはすごく大切だ。私たちは、誰かになりたい、こう見られたい、認めてもらいたい、そんな蜘蛛の糸みたいに巻き付きてくる外界に巻き込まれそうになりながら日々もがいている。やっかいだ、とても。

私は自分の物語をもっと知りたいのだ。何通りも、何通りも眠っているストーリーたちを自分の中から収穫する。それは、豊かに、幸せに、伸びやかに生きていくためのコンパスとなってくれるはずだ。

私は質問が苦手だ。あなたと、話したいことはたくさんある。あなたとわたし、いま、ここ、だからこそ創り出せるものがあるはずなのに。いつも的はずれな流れに乗って、奇跡的なそれから離れていってしまう。

良質な問いの神さま。どうか私に力を!あなたのために、今日も私は思い悩む。



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