釈迦み 僧侶み 風やばみ // 藤井風Stadium Live
パナスタで風を浴びたあと、伊勢神宮を参拝して帰ってきた、過去イチ浄化されてるしののめです。清らかになりすぎて消えちゃわないよう気をつけます。
なんて言っていたら、とうとう流行り病になってしまい、すっかりレポが遅くなってしまいました。その分、記憶と感想が熟成されているといいのですけれど( ´ᵕ`* )
開演前の狂騒曲
暑かった。とにかく暑かった。雨予報でカイロも必要かという天気予報だったのに、16日は開けてみれば夏日。風民の「晴れろ」の念送りが強すぎちゃったようだ。
どなたかがつぶやいていた「まって、風に会う前に勝負下着がデロデロ」という言葉に、ニヤニヤしっぱなし。ほんとそれよ。どうしてくれるのw
新幹線では、アリーナ席でもないのに水を買い、ライブ用にとヘンレコ水筒に入れ替えてご満悦だったのに、大事にしすぎて、途中、水分不足で足がつるという大失態。大慌てでアクエリ2Lを購入。
グッズ売り場の人の多さに慄きながら、そして暑さにへこたれながら、唯一の楽しみは漏れ聞こえるリハの歌声。やっとやっと順番がきたら、目の前で野菜缶が売り切れて。
エキスポシティに戻りつつ、KAZE KITCHENの様子とのぼり旗を見に行こうと歩いていると、途中謎の草道に入り込み、履いていたパンツに絶望的な数の植物の種がくっつくという悲しみ。
一つ一つ取りました。あのときお手伝いしてくださったマダム、ありがとう。ちなみに3粒ほど、自宅まで連れて帰りました。これがわたしの野菜缶?
いよいよライブスタート
うっすらと暗くなり始める会場。いつものように上がるSEが流れるなか、観客の視線は今か今かとステージに集中している。空中をするすると移動するカメラが目の前をよぎっていく。少し歓声が上がり、みんな笑顔で手を振っていた。円盤化されたら映っているといいね。きっと最高の笑顔をしているはず。
Lizzoの「About Damn Time」がかかると、会場は一気に総立ち。Lizzoの曲がライブ開始の合図だとみんなよく知っている証拠だ。1曲まるごと手拍子をして、会場は十分に温まった。
白い釈迦風、登壇!
だから、もう好き。出方から好き。座禅を組んだ姿が美しくて見惚れてしまうやんかー。
衣装も最高。袈裟をイメージしたようなドレープが優雅で、白メインの色合いも上品で、風さんが帯びている神性みたいなものとマッチしていて尊すぎた。
そしてスクリーンが巨大!! あのグレーのあみあみの、ステージを両脇から囲むようにそそり立っていた壁が、そのまま全面モニターになるなんて。目がよくないわたしにもはっきりと風さんが見えたので、すぐさま双眼鏡をしまった。
1曲目は「何なんw」。ジャンピングピアノは花道を使って。今までで一番長い距離を走った?
続いて「damn」。こんなノリノリでみんなが大好きな曲を2曲目にやってくれるなんて、このライヴは相当熱いものになるぞと予感。まふさんのウッドベースがおなかに響くのよ。
「へでもねーよ」はLASA editで。アルバムとも違うアレンジに聞こえて、新鮮だったな。長谷川将山さんの尺八の迫力に恐れ入る。
「ガーデン」は、花を愛で、ブランコに乗るあざとかわいい風さんの映像にやられた。確信犯のダッチ監督の顔が思い浮かんだぞ。
「やば。」はやばかった。ただでさえ、切なくて胸が苦しくなるのに、生の音が激しく揺さぶりにくる。ちょっとこれは、たまらない。
ダンサーを従えベンチを小道具にして踊るミュージカルスターみたいな風さんにもだえる。ベンチにあおむけになって歌う美しい姿は、脳内に永久保存だ。
ガラリとアレンジを変えた「優しさ」が始まる。ヤッフルさんとこの日のために作りあげたんだろうなと思うと、ありがたさでいっぱい。
サプラーイズの「grace」。スマホで撮影OKなんてことある!? 自分で撮った歌う風さんがいつでも見れるなんて、ほんとスゴイこと。1曲だけでみんなスマホをしまってくれるだろうと信用されているのもうれしいな。
そして、grace終わりのレゲエ調のメロディーが「帰ろう」につながるなんて誰が想像できただろう。“手放して帰ろう”というメッセージはもう十分に伝え終えて、次のステージに上がったかのよう。“手放せなくても、それでもみんな帰れるし、しあわせになれるよ。大丈夫”という新しいメッセージを受け取れた気がする。
唐突な入りでおなじみの「さよならべいべ」。みんなで腕をフリフリするのがたまらなく楽しい。
「疲れたじゃろ。座ろうか」のやさしい声掛けで始まったしっとり優美なピアノコーナー。
風さんのピアノはほんとウソみたいに魅力的だ。一音目で体が反応し、全身が耳となり、音色を、リズムを、わが身に浸み込ませようと開き始める。そんな体になってしまったじゃないかー。
「ロンリーラプソディ」では「きれいなもんだけ吸って~、ネガティブなもん吐き出して~」の深呼吸。でもすでにネガティブなものなんて、ライブが始まった瞬間にどっかに飛んで行っちゃってた気がする。
「それでは、」はとてもドラマチックだった。永遠にピアノと歌声を聴いていたかった。ピアノに向かう風さんをずっとずっと見ていたかった。
さあ踊るぞ!と気合が入る「青春病」。すると野ざらしダンスで今までになかったことが。両隣りの人と腕がぶつかるの!
あ、そうか、これまではずっとすき間だらけの市松模様座席だったけど、今日は満席。ずっずさんもさぞうれしかろうと考えたら、ぎっちりみっちりの窮屈さも愛おしく思えてきた。
赤い僧侶風、登場!
白の次は赤~。はい、たまらん。僧侶チックな、作務衣チックな衣装にグッときてしまった。
曲は「死ぬのがいいわ」。この夏世界中でバズった、熱いチューンだ。風さんはサックスを吹きながら登場。それにしても、サックスを演奏しているのか、サックスで歌っているのかわからなくなる感覚があるのが不思議だ。
ビジョンにはモノクロの映像。ただそこにあるだけで色気を放つ指の長い手と妖艶な表情で、この曲の「情念」みたいなものを表現していた。ダッチ監督の凄みを感じた映像だった。
「燃えよ」「きらり」「まつり」の怒涛の盛り上がりコーナーは今思い出しても熱い。火柱は上がるし、ヤフさん仕込みのEDMが鳴り響くし、最後には花火まで上がった。風さんも、いつのまにかステージ遥か上の高いところに移動してるし。
最後の曲は「旅路」。やさしいリズムで、ライブの興奮を整えてくれる感じが好きだ。
歌い終わると、まずバンメンがはけ、続いて風さんが左右中央のオーディエンスにごあいさつ。自分のエリアに来たときは、腕がもげるほど手を振っちゃうよね。
そして、エアハグ。ライブ終わりにこんなあたたかい気持ちにさせてくれる人、絶対にほかにはいない。
ヤッフルさんの手腕やば
今までのライブとの違いを感じたのは、スピード感。曲名紹介はなく、しかも、イントロにアレンジがきいているからすぐに何の曲かわからないワクワク感もあった。
曲と曲のつなぎもヤフさんの玄人の音で埋め、いや埋めるというより聴かせ、バンメンとのたわいないおしゃべりはゼロ。
今までのライブが12面体の輝くミラーボールだとしたら、ヤフさんが入ったパナスタライブは20面体くらいに複雑化して、音がキラキラしているなと感じた。
バンメン紹介のときの、カメラを見もしないヤフさんも、とてもらしくてよかったw。だからその後の写真で、最高の笑顔を見せてくれたのがたまらなくうれしかった。
ひとつの完成形に到達
風さんはパナスタで圧倒的なスターだった。完成していた。
岡山の青年が、「わし、こんなとこでやらしてもらうん?」とステージに立っているのではなく、日本を越え世界をも魅了するスターとして、3万5千人の前に立っているんだと感じた。
震えるように、ヒリヒリとした緊張感さえ感じられた武道館。
「お客さんがいっぱいいる」と、うれしそうに客席を見渡していたホールツアー。MCはたどたどしくて、バンメンに助けてもらってた。
1万人規模の箱で行ったアリーナツアー。初めて踊る風さんを生で見て、進化を感じたな。
ああ、うれしい。いつもより良いバージョンの自分でいたいという風さんの願いは、着実に叶っている。
MCは少なめ。でも心に残る言葉ばかり
どのタイミングだっただろうか、風さんの言葉に、涙腺が崩壊してしまった。
ああ、なんて優しくて、視野が広くて、あたたかい人なんだろう。
チケットに当たるのか、そもそも大阪まで行けるのか、家族はどうするのか、迷わずにホテルまで帰れるだろうか…。
そんなつぶやきがあふれていたのを風さんはしっかり見ていてくれたんだと思った。
一夜のライブのために、みんなそれぞれ調整したり、交渉したり、折り合いをつけたりして大阪にやってきた。そんなファン一人ひとりの、パナスタにたどり着くまでのストーリーを思いやってくれての言葉に、涙が出ちゃうのは致し方ない。
俺の歌を聴けーって、ステージに立ってるわけじゃない。ここに来てくれてありがとうって思いながら、歌ってくれている。
振り返ってみれば、座禅を組んでせり上がってきたオープニングは、祈りのステージが始まったことを意味していたのだろう。
歌うことは祈り。
祈ることは愛。
あの日わたしたちは、風さんが歌で届ける愛を受け取ったんだ。
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