プリン賛歌について


渋谷系の残党ことTWEEDEESを聴き漁っていた時のこと、突如として聞き覚えのあるフレーズが飛び込んできた。

おじゃる丸のエンディング?

2017年発表のアルバム『à la mode』に収録されていたのは『プリン賛歌 〜20th à la mode edition』。
調べるとアニメおじゃる丸20周年を記念しての新バージョンとのこと。


本アレンジはTWEEDEESらしい細やかなリズムに爽やかなサウンド、輝くチャイム...
原曲を見事に消化して自分達のものにできている...

しかし、本題はここから。
念の為原曲も確認したところ、

こんなサウンド分厚ちかったか…?

TWEEDEESと比べてKeyは半音下(D♭)。
チャイムもストリングスも入ってるしサビ後半のクリシェ前のギターとか、全く記憶に残っていなかったが、改めて聴くとこちらも良曲!

アレンジ版ではコードの変更も多いが、原曲はたかだか1分の曲中で耳馴染みのいい進行が多く使用されているため、時代に耐えうる名曲になり得たのだろう。

Aメロ、Bメロの大まかな進行は
G♭M7 | A♭7 | D♭M7 | B♭m7
王道コードとも呼ばれる
Ⅳ | Ⅴ | Ⅲ | Ⅵ
のⅢをⅠM7に変更した形。

何故王道コードじゃないのか、考えられるのはメロディーのノート取りにあると思われる。

ナタを知って
はクラクラ

太字で示したノートはコードの構成音のM7にあたる。小節頭にメロディーがこの音をなぞることでどこか切ない響きを出すことができるのだ。また、開始10秒以内にこの4小節を終えるため楽曲全体の印象に大きく寄与している。

Bメロの1小節目のメロディーは6度と7度を行き来するフレーズとなっており、複雑で悩ましい雰囲気を見事に表現している。(歌詞も♪スプーンでつつけばふるえる とあり相関性が伺える)

サビはお馴染みカノンコードでD♭からくだっていく進行。♪デザートのノートは9thとなっており空間的広がりがある響きとなっていて、ダレがちなカノン進行の後半部を軽やかに進んでゆく印象。

一連のカノンが終わるとクリシェ進行がスタートし終結部のⅡ | Ⅴ | Ⅰへ向かう。
抜かりないのがⅤの時メロディー、
♪かえらない
この太字部分が2度4度をなぞり3度へすぐ解決しないところにまたイジらしさがある。

1分ほどしかないアニメEDだが非常に端的で印象深く刺さるように設計されているように思える。


コードを分析していたとき、サビ2小節目を
Ⅴon Ⅶ
ではなく
Ⅶdim - Ⅲ7
とするのもアリかな?と思ったが、KeyD♭だとちょっと野暮ったいかも。アレンジ版はサビ1小節目にドラムフィルが入っているため2小節目に不安定なコードは置けないほうがいいという判断かも知らない。
(アレンジ版はちゃんと分析したわけじゃないけど…)

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